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真之介のフォロー

「明日、うちの亜美たちと忘年会することになったから」


もうすっかり聞き慣れた、春香からの突然の電話だ。


「は? 俺は地元の友達と遊ぶから無理だよ」


「え? 来ないの?」


「一カ月も前から決まってたし。話したはずだよ」


「カップルじゃないの、私だけになっちゃうんだけど」


「そうか。仕方ないな」


「……」


「亮太って、そういうところあるよね」


「どういうところ?」


返事はない。


そのまま電話が切れる。


亮太はスマホを握ったまま、小さくガッツポーズをした。


なぜか、少しだけ勝った気分だった。



亮太は地元の居酒屋にいた。


集まったのは、高校時代の友人や、その友人たち。


春香の飲み会とは違い、誰に気を遣う必要もない。


店に入ると、高校時代の悪友、雅也が先に座っていた。


「亮太、久しぶり」


「うい、久しぶり」


二人は笑いながら、軽く拳をぶつける。


最初は、いつものような雑談だ。


仕事の愚痴。


学生時代の思い出話。


誰が結婚したとか、別れたとか。


そのうち、自然と亮太の話になる。


雅也が唐揚げをつまみながら聞いてきた。


「あの可愛い彼女、どうしたよ」


「玲奈なら、七カ月くらい前に別れたよ」


「マジか。もったいない」


「うん。なんか冷え切っちゃってね」


亮太は簡単に別れの経緯を説明する。


一目ぼれした亮太は、玲奈をすごく大事にしていた。


そして、全ての時間を玲奈のために使っていた。


いつの間にか、それが玲奈の重荷になっていたらしい。


「なるほどね」


雅也がおしぼりで手を拭く。


「で、今の彼女とはどうなの?」


亮太は首を横に振った。


「良いところが、お姉さん以外に見当たらない」


笑いが起きる。


「もう別れた方がいいんじゃないのか」


雅也が笑いながら言った。


「まあ、紹介してもらったから」


その時、仕事を終えた真之介が合流する。


「亮ちゃんに雅やん。久しぶり~」


いつも通り、高いテンションで現れた。


「遅いぞ、真之介」


真之介のジョッキが届き、もう一度乾杯をやり直す。


「春香ちゃんとは、うまくいってる?」


真之介がいきなり聞いてきた。


「いや、もう限界かもしれん」


「今日だって、こっちをすっぽかして来いって言われたよ」


「マジか……」


真之介は苦笑する。


「この前、春香ちゃんと電話で話したんだけどさ」


「お、なんか言ってた?」


亮太が少し身を乗り出す。


「いつも亮ちゃんを怒らせちゃうって、落ち込んでたよ」


「そうなの?」


「うん。大事にしてもらってるから、つい甘えすぎるんだってさ」


「……」


亮太は考える。


春香は、そんなふうに思っていたのか。


「もう少しだけ、様子を見てあげたら?」


真之介は穏やかな声で続ける。


「春香ちゃんも、少しずつ変わるかもしれないし」


亮太も、それ以上は何も言わなかった。


ただ、真之介の言葉だけが妙に耳に残る。


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