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こちら、救世主メシアより

「人間界とはつまらないものだ。」

僕は天使、と言っても仕事がら、有名企業の天使 人間界で言うところの恋のキューピット!みたいなやつではない。

今ちょうどだらけてる先輩天使さんの仕事を見せてもらうところだが…。


「先輩さっきからそれしか呟いてないっすよ、いつ仕事見せてくれるんすか?」


「ちょうどいい。今これを見ている仕事のいろはの意味わからずここに飛ばされた新人天使くん。にもわかるように見せてあげよう、私の仕事を」

そう言って先輩天使は、信号に指をさした。

青色に光ってる信号は黄色に一瞬だけ変わり赤に光った。


「うぉ!急に赤信号になりやがった!」

そう言いながら、スーツを着た男は運転していた車にブレーキをかけた。

ギリギリなところで車はちゃんと止まった。


「先輩天使のくせに酷いですね。」


「え?酷いって?違うよ。ほら」

そういい先程止めた信号のある車道を先輩は指さした。

その瞬間赤信号とか関係なく、勢いよくバイクが飛ばし去っていった。


「あれ。赤信号にしないと車止めた男は死んでたかもしれない。 私たちの仕事はこれだ。」


「これっていうのは人を殺さない?」


「そう、自分たちの仕事は人間に天使と知られることなく救う事 通称僕らは救世主(メシア)と呼ばれてる職だ。」

ため息混じりながら、先輩はそう説明した。


「さぁ、分かったらパトロールついでに人を2、3人ぐらい救ってこい。」

そういい先輩は手で僕を追い払った。


「なんだよ、その態度」

ボソボソと嫌味たらしながら先輩から離れようとすると


「あ、そうだ。僕らの仕事に必要なのは相手の思いではない、自分がどうするかだ わかったな?」

そう言い先輩は先に離れて行った。


「最後にカッコつけたつもりかよ」

そう先輩の背中に吐いて、行くあてもなくフラフラと街をさまようことにした。


天使は仮の姿として人間の姿を借りることにより人やものに触れることができる。

天使にはお腹を好かせるという概念はないが、なんとなくハンバーガーに立ち寄り


ハンバーガーという人間界の食べ物を買って、1口かじりついてみた。


「まっっず! なにこれ…、」

口に入れた瞬間ドロドロとした黄色い半溶けの個体と、なにかの死体を固めたもの、そして緑色の対して味もしない水臭い葉を草原臭い塊でまとめたこんなもの、なぜ人間は好んで食べるのか分からず口に運ぶのをやめた。


「ん、あそこ」

ふと、空を見上げたら、見るからに身体を震わせているスーツを着ている人が屋上の隅に立っているのが見えた。


「仕方ないな」

そう呟いて、勢いよく空に飛び、屋上にいる人の所まで一瞬で着いた。


「そこ危ないですよー」

そう言いながら、スーツ姿の人の首元を持ちそのまま、ぬいぐるみのように軽い身体を自分の元に引っ張りあげた。


「な、な、な、」

そりゃ怪力の人が自分の首元だけ掴んで持ち上げたら、こんな反応するか…。

そう思いながらその人から立ち去ろうとした時


「何してくれてるんだ!」

急にスーツの男が怒鳴りあげてきた。


「なに、って助けたんだろ」


「余計なお世話なんだよ!死のうとしてたのに!!」

呆れて、声が出なかった。

自分の仕事と相手の意見が矛盾した時に初めて、しかも初の仕事でぶつかった。


ごちゃごちゃ言いながらスーツ姿の男は去っていき、屋上にはなんとも言えない感情を持つ天使だけが残った。


「さぼりか?」

先輩天使が偶然すれ違い様に声かけたが、黙り込んでる新人天使をみて、屋上に足をつけた。


「おい、どうした。」

先輩天使は新人天使の肩を揺すった。

その時見えた新人天使の目には涙を浮かばせていた。


「自分、今まで人間にあんな顔されたことなくて、前までは恋のキューピットしてたので、嬉しい顔や楽しそうな顔を僕にみせてくれてたんです。 最近ノルマを達成出来ずに、この課に落とされたと思ったら、初っ端から酷い目に」

心に貯めていてた言葉が涙とともに溢れて止まらない自分に、先輩天使は腕を組みながら黙って聞いていた。


「こんなのなら僕なんか!!」


「「居なくなればいい」って?」

新人天使の発言をわかってたかのように、同じタイミングで言葉を発した。


「そうやって、消えようとする人達を見てきた、その先にある幸せを向こう見ずにな。」

先輩天使はどこが遠くを見るような目で空を見あげながらそう語った。


「そりゃ、生きてるんだ。不遇なことも生きていれば来るさ、どんな人生だろうと平等に必ず来る。」


「だが、そこで途切れるにはもったいないかもしれないじゃないか、もしその先にあるかもしれない幸せに包み込まれながら死んだ方が楽だろ?」

先輩天使のその発言に睨みながら


「我慢できないんだよ!その幸せがいつ来るかわかんないのに待つ時間が、耐えきれないんだよ!!」

と新人天使は罵声を浴びせた。


「なら、生きる資格ないと思う。 周りはまだ君の人生には幸せがあると信じて傍にいるのに、その優しさすらちゃんと受け止めれないやつは俺らが助ける必要なんてないんだよ。 だがな、俺はお前はまだこの先に幸せがあると、信じてるからここに居るんだろ。」

そう込み上げる感情をギリギリまで抑え込むように先輩天使は語った。


「止まりたいなら、居なくなりたいなら勝手にしろ その代わりこっちがてめーの分までしあわせ頂くからな」

そう言って、先輩天使は空に浮いて、遠くの雲に向かい飛んで行った。


―次の日


「飛んだか、」

集合時間になっても来ない新人天使を待ちながら先輩天使はそう呟いた。


(まぁ、よくある事だ。幸せなんて誰かが決める事でもないし、そんな大きい出来事でもない。その人自身の奇跡みたいなもんだ、 だから見つけるのも難しい。)


「ま、俺はこうやって緩やかに人間界を覗くこんな日常が幸せなんだかな、」

そう言いながら、先輩天使は飛び去ろうとしたその時


「なら、その幸せ、僕にも見せてくださいよ」

昨日初めて聞いたばっかだが、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。


「あぁ、人間界はつまらないな。お前と居ないとな」

微笑みながら、先輩天使は後ろを振り向かず前に飛び始めた。

ありくらげ。です

感想、ご質問受け付けております。

ストーリーに干渉しない程度の質問にはお答えします。

ではまた。

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