瞬間最大風速のときめき
休日の電車内は割りと空いていた。やはり地方の人間は車を使うからだろうか。
空いている席にトリカ、僕、吉岡さんの順に並んで座る。僕の両サイドを女子で固める夢のような布陣となったが、これにはワケがある。ワケというか気遣いだ。トリカという得体の知れない存在が隣に居たら吉岡さんも落ち着かないだろうと配慮した結果なのである。ちなみにミカは僕の膝の上にいる。
発車して風景が流れ始めるのを目にしていると、吉岡さんがしみじみ言った。
「今日はいい天気ですね」
「そうだね。こんな晴れた休日はしばらくないかも」
今は梅雨を迎えんとする六月初旬。このあたりはあと一週間もすれば梅雨入りするのではと気象予報士が言っていた。
だからこそ今日は出掛けることにしたのだ。雨は嫌いじゃないが、出掛けるのには適さない。
吉岡さんはこちらに笑顔を向けた。
「こんな日に外出しないなんてもったいない、って思ってたところに守谷さんから電話がかかってきたんですよ」
「そうだったの。ラッキーだな僕」
「ふふ、ラッキーなのは私ですよ」
吉岡さんはその仕草や発言でいちいち僕をときめかせてくる。TPS、つまりトキメキ・パー・セカンドが群を抜いている。
“意味わからないことを考えてるわね……”
脳裏に響くトリカの声はドン引きしていた。顔を窺うとわかりやすく怪訝な表情をしていた。
ミカは僕の膝の上でリラックスしていた。首周りを撫でてやる。
その様子を見ていた吉岡さんが尋ねてきた。
「もしかしてミカもいるんですか?」
「うん。珍しくね」
吉岡さんは僕の膝の上をぼーっと眺めた。
「ミカはいい子にしてます?」
「超優等生だよ。朝僕のこと起こしてくれるしね。ごはんごはんって言って」
「あはは、うちでもそうでした」
笑顔の後に吉岡さんは一瞬寂しげな表情を見せた。赤目がいなかったら今も吉岡さんちで過ごしてたんだよな……。
ミカがのそりと起き上がり、とことこと吉岡さんの膝の上に移動した。
僕は吉岡さんの膝を指して教えてあげる。
「吉岡さん、今そこにミカ行ったよ」
「わ、そうなんですか?」
「うん。リラックスしてる」
ミカは大人しくしていた。
吉岡さんは目を細めて、自身の膝の上を見ていた。
「何も見えないですけど、確かに“いる”ような気がします。重みを感じるというか……」
ミカは相応の重さがあるし、体温もある。なぜ普通の人はそれを感じ取れないのかトリカに聞くと、魔力を認識できないからだと言っていた。実際には触っているし重さも感じているが、脳がそれを認識しないという。
それはあくまでトリカの所見だが、おそらく正しいと思う。魔力は常識の外側にあると心底思わされる。
「ミカは元気でやってるんですね。それだけで嬉しいです」
吉岡さんは優しい笑みを浮かべていた。
その言葉を聞いたミカが、吉岡さんのお腹あたりに頭をこすりつける。
「そういえば、ミカは私のことを話したりしてませんよね?」
上目遣い気味に尋ねられた。かわいい。ずっと見てたい。
「吉岡さん本人というよりは、家のことを話してるかな」
「例えばどんなことですか?」
強めの追求に僕が面食らっていると、トリカが顔を覗かせた。
「ユリは冬になると黒タイツを穿くのよね?」
「え? はい、そうですけど……そんなことをミカは言ってたんですか?」
「ええ、アキラが聞きたがっ」
「トリカ! お腹空いたろ? ほれ、飴やる」
僕は慌ててトリカの口をふさいだ。トリカは上機嫌で飴を舐め始めた。くそっ、トリカが実体化している弊害がもろに出たな。
不審な顔をしている吉岡さんに弁解をする。
「とにかくミカは変なこと言ってないよ。僕がスポーツニュースを見てたら、吉岡さんの家はあまりこういうのは見ないとか、そんな感じ」
「なるほど、そうですか。守谷さんはスポーツが好きなんですね」
「うん。結構好き」
なんとか僕が黒タイツ大好き人間であること隠すことに成功した。
それからテレビや中間テストなどについて話していた。これがもう本当に楽しくて、トリカのことをちょっと忘れるほどだった。完全に意識の外に置いていると、脇腹をつねられた。
高校の最寄り駅が近づくと、吉岡さんが口を開く。
「次で降りますよ」
「え、次で?」
「はい。意外と穴場なんですよ」
電車が止まると、僕らはホームに降り立つ。僕ら以外の人間はほとんど降りなかった。
駅舎には部活に行くのか帰りなのかわからない高校生が数人居た。知り合いとエンカウントしたら嫌だなと思う。
駅舎を出ると、吉岡さんは高校とは反対方向に歩き出した。
「こちらです」
「了解」
よかった。これなら知り合いと遭遇する確率も減るだろう。
その古着屋は、友達とぶらぶらしていたときに見つけたのだと吉岡さんは言っていた。清水さんかな。
“男でしょ”
ダメージを受けながら十分ほど歩くと、通り沿いに小さな古着屋があった。さっそく店内に入る。
古着屋特有の空気を吸い込みつつ、僕は吉岡さんを窺った。
その吉岡さんはトリカに目を向けていた。
「トリカさんは何か希望はありますか? こういう感じがいいとか」
「ないわね。あえて注文するなら、アキラが気に入るような感じがいいわ」
トリカはふざけるわけでもなく、真面目な顔で言った。
それを聞いた吉岡さんは一度を目を見開いた後、笑みを浮かべた。
「守谷さんが基準なんですね」
その言葉を僕が思わず否定する
「いやそれはさ、僕がトリカ目立ちすぎーっていちゃもんつけたからであってね?」
「そういうあてつけで言ったわけじゃないわ。単純にアキラに可愛いって思って欲しいの」
トリカはまたしても真剣な顔で言った。何言ってんだこいつ。
「ふふ、わかりました。守谷さんに可愛いって思ってもらえるように頑張りましょう」
吉岡さんはそう意気込み、僕に予算などを確かめると、トリカを連れて店内を見て回り始めた。別にデフォルトで可愛いだろトリカは……。
あんなふうに言われると、僕が彼女たちについて回るのは躊躇われる。買うものが決まるまで適当に待っていよう。
結界範囲の半径二十歩を気にしつつ、僕も服などを見る。あまり古着屋に来る機会はないのだが、意外と良いかもしれない。まあ、この店はレディース中心なので、僕が見るものはあまりないが。
それからしばらく手持ち無沙汰な時間を過ごした。見るものがないのである。女物を僕が真剣に見ていたら妙な趣味があると思われかねない。
「お待たせしました。守谷さん」
背後から吉岡さんに声を掛けられた。どうやら買うものが決まったようだ。
と思ったら、すでに吉岡さんの手には袋があった。
「あれ? もう買ったの?」
「はい。とっても状態の良いモノを見つけたので、これに合う服を別のお店で見つけたいと思うんです。いいですか?」
「ああ、そりゃもうお任せします。で、それってなんなの?」
「ふふ、秘密です」
そう言って人差し指を口元に持ってくる吉岡さん。これ天使じゃん。
何を買ったのかは不明だがそのお金を払おうと吉岡さんに言うと、手を振って固辞された。
「あ、これは私からのプレゼントなので大丈夫ですよ」
「えぇ、悪いよ」
「気にしないでください。前のお礼です」
これがトリカに対するものでよかった。僕にだったら申し訳なくて土下座するところだった。
件のトリカはいろいろと服を見たことで、こちらの世界のファッションについて理解を深めたようである。店員さんとも話していたようだし、もう僕よりおしゃれ番長だな。
古着屋を出ると、吉岡さんを先頭に次の店へと向かった。
女子の買い物は本当に長い。
僕のようなファッションに疎い人間はできれば一つの店で全て済ませたいと思うのだが、女子は違う。あらゆる店を訪れた上でそこから判断する。その間、僕はすこぶる暇だった。
ただ、退屈だったかといえば、実はそうでもない。なぜなら吉岡さんとトリカが楽しげに話しているのを見ると、僕も楽しい気分になるからだ。特に吉岡さんの笑顔を見ると癒やされる。
それにトリカはこれまで同性と話す機会があまりなかった。だから今みたいな時間はとても貴重なのだ。女子同士の方が気兼ねなく話せることもきっとあるだろう。
さて、ようやく買い物が終わり、現在駅ビル内の女子トイレでトリカがお着替え中である。吉岡さんも付き添っている。
僕はトイレの近くのベンチで休憩しているところである。
「ミカ、疲れた?」
「ううん。アキラが抱っこしてくれたし」
僕が退屈しなかった理由としては、ミカが隣に居たことも大きい。話し相手が猫しかいないなんて字面でみるとぼっち極まりない上にやばい奴だが、ミカが人語を解せてよかった。
ミカの顎をなでていると、吉岡さんがトイレの方向から現れた。僕に近寄ってくると、いたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
「トリカさんが変身しましたので、目を閉じててくれますか?」
「あはははっ、すげー勿体ぶるね」
「勿体ぶりたいくらいの出来ですから。もう、目を閉じないなら私が目隠ししてあげます」
僕の背後に回った吉岡さんが手で僕の目を覆った。ちょ、ちょっと待って、これ興奮しちゃう。
その状態で数十秒ほど待っていると、吉岡さんが囁く。
「ではどうぞ、見てください」
覆っていた吉岡さんの手がなくなると、目の前にはトリカが立っていた。
――それを目の当たりにするまで、正直なところを言えばたいした驚きはないだろうと思っていた。元の素材が良いのだから何を着たってある程度似合うだろうと、そう思っていた。
ただ、実際に目にすると、そういう想定を超えてときめかされた。
白いシャツにストライプ柄のスカートを着て、頭には紺色のベースボールキャップをかぶっていた。銀色の髪は三つ編みのシニヨンにされ、すっきりとした印象に。足元はスニーカーと短いソックスを履いており、全体的にカジュアルかつスポーティーにまとめられていた。
魔法使いから、地に足をつけた少女に。そういう変化だった。
「どうですか? 可愛いですよね?」
吉岡さんは僕の反応を楽しむように尋ねてきた。
僕は素直な感想を述べる。
「おー、凄く可愛いよ。もうほんとびっくりした。え、あなた誰? って感じ」
「やった! トリカさん、聞きました?」
目の前に立っているトリカは、最初こそ珍しくもじもじとしていたが、僕の感想を聞くといつもの自信に満ち溢れた顔になっていた。
「ふふふふ、これであなたも私を女だって意識したんじゃない?」
「いや、元から女だとは思ってる」
僕がそう言うと、トリカは眉をひそめた。
“嘘つき。ユリやリンほど私にはときめかなかったでしょうが”
それを脳裏に語りかけてきたのは、トリカのプライドだろう。
確かに僕はトリカに対してときめきを覚えることは少ない。それはやはり、トリカが魔法使いだからとか、異世界から来た女だからとか、魔力で再現された姿だからとか、いろいろと要因はあった。
僕は確実にトリカを綺麗で可愛く美しいと思っているが、それはどちらかと言えば客観的な見方であったように思う。そういう思考がトリカのプライドを傷つけていたのだろう。
要は、誰からも可愛いと思われたいお姫様気質なのだ。今回それが達成できたから満足しているようである。
トリカと吉岡さんが視線を交わす。
「ユリが言ったように、鍵は親近感だったわね」
「作戦成功ですね」
そうして笑顔で頷き合っていた。
親近感。確かに今のトリカには以前より親近感が湧く。服の力に驚かされる。
充実した表情の吉岡さんに僕は尋ねる。
「そういえば、古着屋で買ったのってなんだったの?」
「ああ、アレは帽子のことです。守谷さんはスポーツが好きということですから、そういう要素を入れてみたんです」
スポーツが好きだからといってそういうファッションが好きということにはならないと思うが、トリカの格好が可愛いことは間違いないし、吉岡さんのしたり顔も可愛かったので特に突っ込むことはしなかった。
それにしても……。
「なぁに?」
僕がトリカを眺めていると、にこっと微笑みで返された。
注目度は減ったと思うのだが、何やら僕の方がトリカを直視しづらくなっていた。あーやだやだ、きっとこの思考を読んでニヤニヤしているのだろう。
「うふふふふふっ。素直に認めたらどうなの? 私の魅力にメロメロだって」
トリカは満面の笑みで僕の顔を覗き込んできた。もう勘弁してくれ。
さて、気付けばとっくに正午を過ぎてもう午後一時である。昼飯を食べたいところだ。
「今からお昼にしようと思うんだけど、吉岡さんも来るでしょ?」
「あ、はい。是非お供させてください」
「じゃあ、ここの中に入ってる店でいいかな」
「なんでも大丈夫です」
「なんでも? じゃあジローにするね」
「あはは、ないですよね。この辺には」
僕らは駅ビルの中にあるレストランで昼食を取ることにした。
イタリア料理を出すオシャンティーなレストランに入ると、四人がけのテーブルに案内された。
席につくなり、トリカがいの一番にメニューを眺め始める。その様子に吉岡さんが微笑んだ。
お冷が運ばれてきて、その後それぞれ注文すると、僕は吉岡さんにお礼を言った。
「今日はほんとありがとね。トリカの服を見てくれて」
「いえいえ! 私も楽しかったですから」
「よかった。こんなこと頼めるの吉岡さんしかいないからさ」
女友達と断言できるような人がゼロの僕には、吉岡さんの存在はとてもありがたい。
その吉岡さんは、僕の言葉に小首を傾げていた。
「辻村先輩はダメなんですか? トリカさんのことを知ってますよね?」
「ああ、あの人はダメ。春待が関係してこないと多分何も協力してくれない。あと春待以外には当たりが強いから、あんまりね」
「確かにあの先輩、春待さんのこと大好きですよね」
「にも関わらず、春待がそれに気づいてない雰囲気なのが凄いよ」
「そうなんですか? てっきり付き合っているものかと」
仮に付き合うにしても、春待の周りには常に女がいる。きっと気が気じゃなくて、発信機とか監視カメラとか使っちゃうだろうな、辻村先輩は。
「まだフリーだから吉岡さんにもチャンスあるよ。諦めないで!」
「モノマネ似てない……ていうか、別に私は春待さん狙いじゃないです」
涼しい顔で否定する吉岡さんである。照れてるのかな。
トリカがタバスコの瓶を眺めながら、吉岡さんに尋ねた。
「ねえ、ユリはアキラとずっと同じ学校なのよね? 昔のアキラってどんな感じだったの?」
吉岡さんの隣で寝そべっているミカもその質問に反応する。
「わたしも聞きたい。ユリの子供の頃の話も」
僕は吉岡さんのことを意識していたから彼女の過去を話せるが、吉岡さんは僕のことなど眼中にないから話せることもないだろう。
吉岡さんは視線を上げて「そうですねぇ……」と呟いた。必死に過去の僕のことを思い出そうとしているようだ。
「小学校のころは、輪の中心にいましたよね。いつも校庭でボール遊びをしていた印象があります」
「そうかなあ。確かにサッカーをしてた記憶はあるけど」
覚えられていたことに気恥ずかしさと嬉しさを感じる。いや、吉岡さんの記憶力に驚くべきか。
トリカはにやりと笑う。
「アキラが中心だなんてね。いったいどこで道を間違えたのかしら」
「間違えとらんわい。今も中心じゃい」
「思ってもないことを」
確かに中心とは言い難い。はて、どこで道を間違えたのか。
吉岡さんの小学生時代は、やはり一緒のクラスにならなかったこともあり、思い出は少ない。それでも覚えていることはたくさんある。
「吉岡さんもかなり人気あったよなー。あと昔からおかっぱでー」
「おかっぱはいいじゃないですかー。今ならボブって言えばお洒落な雰囲気出ますし」
吉岡さんは前髪をいじりながらいじけていた。はいときめきポイントゲット。
「昔から同じ髪型なんだ」
ミカがしげしげと吉岡さんを眺めていた。どんどん洒落た感じになっているが、ベースはおかっぱである。
そのキューティクルを眺めながら、吉岡さんに問いかける。
「何かこだわりがあるの?」
「そういうわけじゃないですけど、髪型変えるのって勇気いりません?」
「ああ、まあ、確かに」
「ですよね? だから今もこの髪型なんです」
それにしても女子なら一度くらいは別の髪型にしていそうなものである。
話題を切り替えるように、吉岡さんがトリカに言う。
「そういえば、守谷さんはスポーツ万能だったんですよ。トリカさん」
話を振られたトリカは、信じられないというように笑った。
「嘘でしょう? だって、最近あった体力測定ではアロヴィロフみたいに貧弱な記録を出してたけど」
「だからアロヴィロフってなんだよ」
その僕のツッコミはスルーされ、吉岡さんが続ける。
「シャトルランでいつも最後の方まで残ってて、凄いなぁって見てたんですよ。短距離も早かったですし、運動神経いいんだーって」
照れる。吉岡さんにそんなふうに覚えてもらえていたなんて。
そうして小学生時代の思い出を語りあいながら、僕はあることについて尋ねようと機を窺っていた。
他愛のない話を装いながら、そのことについて探りを入れる。
「いやー、懐かしいな。なんかうちの小学校のやつって、中学でも中心になるやつが多かったよな。鈴木さんとか、あと加藤とか」
加藤とは、僕が吉岡さんを諦めるきっかけとなったサッカー部のイケメンである。きっかけといっても、ただ二人で話しているのを見かけただけという僕の雑魚メンタルが如実にわかるだけの話なのだが。
その加藤と吉岡さんは実際のところどこまで進展していたのか、女々しいと思いながらも気になっていたのである。
「加藤さんはとても人気ありましたよね。私の友達も告白してましたし」
告白という単語に心臓が跳ねつつも、ごく自然に言葉を返す。
「へぇ~。誰かと付き合ったりしたのかね」
「さぁ、私はあまり興味がありませんでしたから」
僕は吉岡さんと目が合うまでずっとその表情を観察していた。
特別動揺した様子もなく、平静そのものだった。しかし女とは生まれながらにして女優などと聞いたことがある。付き合っている(た)ことを隠すなら、表情など変えないだろう。
そこでふと冷静になる。もし付き合っていなかったとしても、僕のような糞メンタルな男と吉岡さんが結ばれることはないのだ。そう自覚していながら加藤との関係を探ろうというこの卑しく未練がましい心! 心底情けない男である。
「ユリはそのカトウって男に興味なかったの?」
無邪気にトリカが尋ねていた。僕の気持ちを読んだのかわからないが、トリカは僕に視線をよこさなかった。
「ないですよ。だって、興味を持つ理由がないですから」
「人気があったのに?」
「人気があっても接点がありませんから」
先程と変わらずドライな反応を示す吉岡さんである。だからといって浮かれてはいけない。ドライだからこそあやしい。いや、あやしいからって僕には関係がない。
思考が堂々巡りに入ったので、お冷に手を伸ばす。ごくりと一口飲み下していると、注文した料理が運ばれてきた。
ひとまず腹を満たして、本来の目的を果たそう。今日はパワースポットに行くことが目的なのだから。




