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森の奥の白い家の魔女  作者: プーマン
白い家の魔女と僕
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7/14

【7】僕と◯◯◯

 

 「シロイ、ちょっと来なさい」


 ローズの元に通い始めて一ヶ月くらい経った頃、叔父さんが物置こと僕の部屋にやって来た。


 名前を呼ばれるのはいつ振りだろうか。

 

 「こんな夜にどこへ行くのですか?」


 「黙って着いて来るんだ」


 そう言うと、叔父さんはスタスタと歩き出す。

 なんとも言えない嫌な予感がしたけど、着いて行くしかないので黙って後に続く。


 そうして着いた先は、議会長の家だった。


 「議会長様、シロイを連れて参りました」


 「おお、待っておったぞ! 久しぶりだねぇ」


 「……ご無沙汰しております」


 議会長は、ついこの間まで商人をしていたけど、転がり込んで来た資産を元に、あっという間に議会を牛耳った人だ。


 耳障りの悪い声で僕に笑いかけてくる。


 「シロイくん、儂はちゃあんと知っているよ」


 僕の悪い予感は当たりそうだと思った。


 

 「お前は魔女の森に入っているね? 魔女の家を見つけたかい?」



 内臓がひっくり返ったように気持ち悪い。

 が、ここで言葉選びを間違えてはいけない。


 なんの証拠もなく、こんな事言うはずはないのだから。


 「……はい」


 肯定するしかない。

 ウソをついた時、それがどんな取り返しのつかない事になるか分からないのだから。


 今さえ乗り切れたなら、なんとか出来る可能性は残る。


 「オイオイ! シロイ、良くやったなぁ!!」


 「え、?」


 横に立っていた叔父さんが、不意に僕の背中を叩く。それもものすごく嫌な笑顔を浮かべて。


 「おお、おお! お前が森に出入りしているという噂は真であったか! 素晴らしい功績だ!」


 「は、はい」


 事態が飲み込めない。

 どうして僕は褒められているんだろう。


 「ようやく魔女を見つけられた。我が町の近くに住み着き何百年。ようやく、ようやくだ!」


 「み、見つける、ですか?」


 見つけるも何も、魔女の家が森の奥にある事など誰でも知っている。

 何故この人達はこんなに喜んでいるんだ?


 「あ? あー、そうかまだお前しらねぇか」


 困惑している僕に、上機嫌な叔父さんが説明する。

 僕にとって絶望的な説明を。


 「魔女の家はな、誰も見た事ねえんだよ。昔話にゃ森の奥に住んでるって書かれてるけど、どれだけ探しても見つからねぇから、そのうち森自体を封鎖しちまったんだ」


 叔父さん、説明を、続ける。


 「曰く、森の魔女は人を惑わすって言うからな。封鎖してりゃ、その内何か起こるだろうって。15になるまでは秘密にしてるけどな。ガキの方が誑かされるんじゃねえかってよ」


 「そしたらどうだ、お前が最近森の周りでフラフラしてるって噂が出てきたんだ。いやぁ、まさか本当に見つけてるとは思わなんだよ!」


 「そう、だったんだ! てっきりみんな知ってると思ってた! 森に入っちゃってごめんなさい……」


 間違えた。

 僕は答えを間違えた。


 取り繕うための時間が欲しい。

 無邪気な子供を演じなくてはいけない。


 「いいんじゃよ。シロイ、お主は本当によくやった。魔女を退治でもしたかったのだろう? 勇気ある若者だ、何も咎めまい」


 「は、はは。ありがとうございます……。そう言う事でしたら、明日明るくなったらご案内しますよ!」


 この場から離れなければ。

 この人達がどういう思考をしているのかは、いやでも分かってしまう。


 「ハッハッハ。本当に素晴らしい子じゃな。すまんが、明日ではなく、今から案内してくれんか?」


 「い、いえ、でも暗い森は危ないですよ」


 「心配いらぬ。明るい松明を山ほど持っていくのでの。30人ほどで山に入り、魔女も家も全て焼いてしまうのだ」


 ああ、神さま。


 本当に貴方がいて、ローズの行く末が見たいのでしたら、なんとかお救い下さい。

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