【5】それからの僕の話と彼女
この街では誰もが魔女を当たり前のように毛嫌いしている。理由なんてない、魔女だから当然だ。
でも。何故だか僕は昔からそれが好きじゃなかった。
悪い事は全部魔女のせいだと言われているけど、そこに人の悪意を感じる事があった。
「いやぁ、辛気臭い話をしてすまなかったね。話を聞いてくれたついでに、一つ質問をしていいかい?」
「……質問?」
考え込む僕に、彼女が声を掛けて来た。
正直なところ、彼女に対する敵対心のような気持ちは無くなっているのだけど、接し方がイマイチ分からないので、ついぶっきらぼうにオウム返しをしてしまう。
それでも彼女は気にする素振りもなく言葉を続けてくれる。
「意味が分からなかったらそれでもいい。ーーキミはどうやってここに来たのかな?」
「え、っと、歩いて、来ました?」
「ふふっ、そうか。それならいいんだ」
拍子抜けする質問に思わず吃ってしまった。
でも、その答えを聞いて彼女は何だか楽しそうにしている。
「ああ、ところで」
そう彼女は切り出した。
「殺され掛けた身としては、キミがここに来た理由も聞きたいのだけど、構わないかい?」
「ーー大丈夫。でも、まずはごめんなさい。さっきの貴女の話が本当だとして、僕は間違っていました」
彼女の問いかけに、心から詫びて自分の身の上を話す事にした。
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「キミも大変だったね」
僕の話を聞いた彼女は、眉をひそめて僕の境遇を哀れんだ。その哀れみに嫌味な感じはなく、他人から向けられる感情としてはどこか心地よいものだった。
それだけに申し訳ない気持ちが止まらない。
「本当にすみませんでした。他に捌け口がなかったんだと思う。貴女が憎いという気持ちではなく、僕の気持ちのゴミ箱にしてしまっていました」
「……キミは他の人と自分がズレていることには気が付いているのかな?」
僕の謝罪に、彼女は真面目な様子でそう言葉を返した。その言葉に心当たりがある。
「みんなが魔女の話題になると、なんていうか盲目的になっているなとは思っていました。僕はそれが少し変だとも」
「ふむ……」
僕の答えに思うところがあるのか、しばらく何やら考え込んだかと思うと、彼女は少し眉間に皺を寄せると、僕に語りかける。
「……色々あったけれど、ここでの事は忘れてしまいなさい。久しぶりに人と会ったせいで私も口が回りすぎた。気になる事はあるだろうけれど、もう町に戻って二度とここに来てはいけないよ」
「でもーー」
「ダメだ。アレはキミが来た事にも気が付いているだろう。今は面白がって見過ごしているのだろうが、いつキミに危害が及ぶとも限らない」
「分かりました……」
押し問答をしても無駄だろう。
彼女は明確に僕を拒絶している。
「早く行きなさい」
急かされるように彼女から追い出された。




