【13】 彼のはなし
「おーい。そろそろ起きられるかー?」
「……起きられます」
男の声で目が覚める。
同じようなことが少し前にもあったけれど、彼の声はローズとは違って目覚めに聞いて心地いいモノではなかった。
「あれから、どうなったの?」
第一に気になることを尋ねる。
「とりあえず大丈夫だ。パパッと上手いことしておいたから安心しろ。3日経つけどなんの問題もねぇよ。……それよりも、だ」
「……なんでしょうか」
適当にはぐらかされた上、話の主導権を奪われた。
「お前、ローズの知り合いであってるんだよな? 勢いで助けたはいいんだが、ロクに話も出来なかったからな」
「知り合いというか……あの人は恩人です。返したい恩があるんだ」
「へーえ? 忌み嫌われてる魔女相手に変わったヤツだな」
「その辺りの話はローズから聞いている。揶揄っても無駄だよ」
「話が早くて助かるねぇ」
軽薄な口調で言葉を返す彼。
その正体にも流石に勘づいている。
「ローズは貴方のこと、ずっと待ってたよ。手紙残したの、貴方だよね」
「 あー、そう……か。そりゃ悪いことしちまったな」
短い付き合いだけど、これが彼のバツの悪い顔っていう事はよく分かった。
「俺の話は一旦置いとくぞ。お前はローズの居場所も知ってるし、そこへの行き方も分かる。それでいいか?」
「そうだけど……。行き方って言っても、森を真っ直ぐ歩くだけだよ」
「なに言ってやがる。ローズの家はアイツが許可した人間以外に見つける事も出来ねぇよ。ましてや入る事なんざ不可能だ。俺でも大まかな気配を探すのにすら手こずったからな」
そういえば、オジサンもそんなことを言っていた。
でも僕は、ただ真っ直ぐ歩くだけでローズの家に辿り着いたし、普通に玄関から中に侵入した。
「僕は迷ったりしなかったよ?」
「ん? そりゃお前はーーっと。アイツが何も言ってねぇなら俺から話す事じゃないな。まあとにかく、お前はちょっと特別なんだよ」
「特別?」
「おっと、その話は終いだ。俺の本題に入るぞ。お前には今から直ぐにアイツの家まで案内して欲しい」
またしても僕の話をはぐらかし、彼の本題に移られた。
「言っておくが、お前のせいで急ぐ事になってるんだぞ。俺だって準備してからローズの居場所を特定して、会いに行こうと思っていたんだ」
彼は続ける。
「お前を起こす前、ローズの魔力を一瞬感じたんだけどな、それがすげぇ不安定だったんだ。……多分、間の悪い事が起きちまったんだと思う」
「簡単にいうとどういう事?」
「ローズが悲しんでるから急ぎたい」
「分かった」
「……急かしといてなんだが、お前変わってんなぁ」
ローズの為という話に嘘はないと感じた。
だったら細かい話なんて後でいいと思っただけのことです。




