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森の奥の白い家の魔女  作者: プーマン
白い家の魔女と僕
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10/15

【10】 魔女の怒り


 もう誰も来ない、白い家の中。

 どうやってここに帰ってきたのか、覚えていない。


 私は自分の過ちを、ただ一人悔いることしか出来ない。

 先ほど見た光景だけが、脳裏にこびり付いて離れない。


 私などと関わったせいで、あの子はあんな姿になってしまった。


 「ーーもう、いいかな」


 どれだけの時間、人間を見てきただろう。

 その残酷さや愚かさは、もう十分知っている。


 ーー優しさや温もりも知っている。


 今でもこの世界は好きだ。

 私に冷たい世界になったけれど、人間同士が愛し愛され生活を営む姿を覗き見ると、辛く退屈な日々もどうという事は無かった。


 ただ、折れてしまったんだ、私の心が。


 どれほど痛かっただろうか、苦しかっただろうか。

 シロイ君の事を思うと、全てを投げ出して終わりにしたくなってしまう。



 コンコンコンーー。

 


 「……?」


 不意にドアをノックされた音が響いた。


 この家は私が張り巡らした結界により、誰からも認識出来ないようになっているはずだけれど。


 コンコンーー!


 先ほどよりも少し強くドアが叩かれた。


 やっぱり誰か来たようだ。

 シロイ君といい、ここは神とやらにも場所を探る事は出来ないはずなのだけれど。


 最も、シロイ君の一件以来、ドアの開閉にはより強固な魔術で鍵をしてあるのだから、放っていてもいい。


 なんて、ぼうっと考えていると、外から話し声が聞こえてきた。


 「居留守決め込んでやがんぞ、アイツ。ようし、こうなったらーー」


 「ダメですよ! なに壊そうとしてるんですか!」


 それは男性と少年の声。

  

 私には、どちらにも聞き覚えがあった。


 

 「ーーッ!!」


 玄関まで駆け寄り、そのままの勢いでドアを開ける。


 「シロイ君!!」


 「うわっ! ローズ、そんなに慌てて……って、泣いてるの?」


 「君は……本当に……」


 「そんなに心配かけちゃったかな……? ちょっと来なかっただけだよ?」


 「いいんだ、シロイ君が無事で本当によかった……」


 あんまり状況が分かっていない様子のシロイ君だけれど、実際この子は何も分かっていないのだろう。


 よく状況を理解しているであろう男に説明をしてもらうとしよう。


 「ーー貴様。私がどんな感情か分かるか?」


 「怒って……いるよな、そりゃ。俺にとっても急な事だったんで手段を選ばなくてよ……」


 「うん。とても怒っているよ、私は。さっさと全て詳しく説明をしなさい」


 「分かってるよ」


 私が怒りの感情など抱くなど、そうそうないと知っている彼は、軽薄そうな声を最大限申し訳なさそうにして、言葉を続ける。


 

 「まあ、なんだ。ーーまずは、遅くなって悪かった。久しぶりだな、ローズ」


 「それと、私のことをバカ呼ばわりした事も訂正してもらおうか」


 「もしかしてお前、それずっと根に持ってたの?」

 

 「それらもちろん。だけれど、今回の件の方がより怒りを覚えたよ」


 「うへぇ……」


 あの手紙の主である『私の古い友人』は、当時と変わらない雰囲気で私との会話を交わしてゆく。

 

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