改良設計!そして量産化!
エーリッヒへの報告が終わると、ミリアは行動を開始した。
ヌルの工場の設計室に入り、過ごしやすい服装で作業を始めた。この部屋は、増設された生産ラインの廃熱の影響で真冬でも暖かく、夏は地獄であった。
まずは、自走砲・装甲兵員輸送車の自衛用の銃の設計から入る。平行して、新しい銃が完成するまでは従来通りの訓練をするようにとヤークに伝えていた。
ミリアは、マシンガンを考えて、弾倉を設計する。構造は、現実ではバネ式で弾を送り込んでいるが、強靱なバネが作れるかどうか未知であるため、二つ案を出す。1つバネを使った箱形弾倉、2つねじ巻き取りの円盤型の弾倉。
新技術に挑戦するか信頼性の高い既存の技術にするかである。
ミリアはしばらく悩んだが、ヌルに相談して両方作ってもらうことにしたのだった。
次に、口径を決めて銃の機械部分の設計に入る。マシンガンの場合人力で装填・廃薬を行う物と、バネと弾薬の燃焼ガスを使った物に二分されるが今回は後者の設計にした。
銃の機械の構造は、下から装填して、撃った時の燃焼ガスの反動を利用して、装填部より後方の上方に開けた穴から廃薬する方法を採用
口径は、30口径に設定していた
装甲兵員輸送車に拡張性を持たせるため作ってあったスペースに乗せるため、同じ大きさの鉄の輪を作り土台とした。
この銃の設計をヌルに見せ、装甲兵員輸送車の装甲の設計に入る。
ミリアは、少し考えていた。単純に装甲を厚くするか、厚さはそのままにして特殊な加工をするか、より硬い合金を作るかと。
特殊な加工では、圧延鋼板(一定の方向に伸ばした鋼板)の表面に炭素を染み込ませて、表面硬化処理をする物があるが一度してしまうと、加工機械の刃が負ける弊害が発生してしまう。それに加え、工業力や技術が成熟していないと、強度のむらが出来やすく、衝撃を与えるとそこから割れてしまう事になってまう。
単純に厚くする場合は、厚さに比例して重量が増えてしまう。重量増加は、反動には強くなるが加速性能・最大速度・軟弱地盤での走行能力・燃費悪化を引き起こしてしまう。
より硬い合金の場合は、研究時間が長く必要である。
追加装甲も考えたが溶接技術では、電気溶接がまだ無く、薄い鋼材であれば炎魔法でガス溶接のような事が出来る程度であったので断念
それらを考えていたミリアは、しばらく土嚢をつんで装甲の代わりにしばらく使うことにしたのだった。
2週間ほど設計に集中していたため、久々に外に出てみると物凄い格好になっていた。
毛艶が悪くなり全身アフロと化していたのだ。
周りを気にしない彼女であるがために、ヌルの工場から帰宅するまでの間、いろいろな人とすれ違うたびに二度見されながら帰宅するのである。
そのころ、トレドニアでは、国王がトレドニア国民により処刑され国は解体、奴隷となっていた多種族達は、北東の旧トレドニア内で各部族ごとに集まり村を作り始めた。北西の旧トレドニア領は、空白地帯となっていた。
世界各国ては、ミニア国とトレドニアの戦争で使われた榴弾砲の性能を考察し始め、対抗策として塹壕を掘り、場所によって塹壕に役割を持たせるというのを考え出していた。
それに加え新火砲の開発競争がはじまったのである。
ヴィーレ市周辺では、固有の兵士を増やし訓練し始め次なる戦いに備えている。
150mmL/10榴弾砲の納品で空いたラインを転用して、ヌルの工場は4本ある生産ラインの3本を輸送車生産に回している。そして、工員を増強しながらヌルは技術を教え、一日に1両の生産速度で生産し各街に輸出していた。
この世界で初めての量産された車両となったのであった。




