トローキ~ヴィーレ線開通せよ
トレドニア降伏後もしばらく突撃砲兵隊は、トローキに駐屯している。それは、ミリアがトローキとヴィーレ市を結ぶ鉄道を作ろうとしていたからであった。
突撃砲兵隊は被害があまりにも多く、動けないのが現状で、鉄道の計画は全員が回復してからになる。それまでは、トローキの復旧作業に従事することなった。
トローキの城壁内の空き地に自走砲、装甲兵員輸送車、指揮車、牽引・輸送車が整然と並べて駐車する。輸送車と動ける装甲兵員輸送車で、瓦礫を退かそうと発車、城壁が崩れたブロックを一つ一つ取り除き輸送車に積んで集積場に運ぶ。
その光景を見ていた敵国だった、トローキの人達は、ミニア国以外ではほとんど見ない車両で迅速な行動で敗戦した事に納得していたようだった。
補給班の牽引輸送車一両は、修理用の物資を前線補給所まで取りに行き、往復する事になった。
負傷兵は、救護所からトローキの病院に移され、回復に専念する。
数日が経ち、死体や瓦礫が大分整理された頃、補給班から装甲兵員輸送車の装甲板が届いた。
突撃に使った装甲兵員輸送車の側面の凹みに使用するためである。
余った装甲板はトローキの馬車のリーフスプリングに使用し少しで輸送しやすくする。
馬車が輸送の主力だったトローキでは、大変喜ばれたのだった。
また、数日が経ち、突撃砲兵隊の隊員が復帰し始めた頃、城壁が崩れた部分を鉄道用の門にする工事が始まった。門本体は鋼鉄製の巻き上げ式の門でシャッターみたいな構造を予定である。
トレドニアとの戦闘でトレドニアの総兵力は半分以下となり、それに伴って、人口は激減、身内または家族が失われた者が多いため、従ってくれるかはほとんど望めない状況である。それでも、女性のみの部隊の突撃砲兵隊には、多少柔らかい空気で接してくれていた。
一ヶ月が過ぎる頃には、突撃砲兵隊のほとんどは回復、工事に従事する事になった。マンパワーが回復した突撃砲兵隊は、鉄道用レールを引く前段階の整地を始めた。ミニア軍は、海岸沿いと新国境警備・トローキ警備に兵力を裂いていた。ミリアは冬までに完成を目指し、まず、前線補給所になっている駅、トローキの鉄道門の2箇所同時に整地を開始する。この時の作業服は、半袖シャツと厚手のズボンで男の工員とほぼ同じである。
補給班はひっきりなしに砂利を運び、それ以外の者は砂利を平らにしながら延長していく。両端が1㎞くらいまで延びた時、レールを引き始めた。皆が皆汗水流しながら工事していた。トローキの人達からは、働く獣人達と認識されたようだった。
5㎞ 10㎞ 40㎞と延々と伸ばし、レールもそれになぞるように敷設していく。
順調だった工事は、作業服での弊害で遅くなってきた。そう、作業風景を見ようといつの間にか人が集まり、時々歓声が上がる。
そのほとんどが残留ミニア軍兵士であった。
肌寒くなる頃、なんとか鉄道が完成。
これで安定した北方からの海産物、鉄鉱石などの鉱山資源、石炭などが大量に取引できるようになったのだ。
トローキの駐屯地では突撃砲兵隊の撤収作業が開始され、牽引輸送車、輸送車、装甲兵員輸送車にドンドン荷物を積んでいく。
鉄道での輸送を考えていたが物資の輸送・旅客列車・交易によりキャパシティオーバーになりそうだったために、自走して戻ることになった。
鉄道は、いまやミニア国の大動脈になりつつあったのである。




