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既知との遭遇

「このままじっくり煮込みます。煮込んでいると灰汁が浮いてくるので……こうやって、こまめに取ってください」

何をしてるかって?でっかい寸胴鍋(もどき)でブイヨン作りです。

宿屋の女将さん(リュミちゃんのお母さん)に、こっちの世界のお料理を教えてもらったので、お返しにスープの作り方を。


「魚の出汁は煮込まずに作るけど、肉の出汁は煮込んで出すのね。異世界の料理って奥が深いわねぇ」

ヴィル君は『煮込む料理は無いよ!』みたいに言ってたけど、魚介の出汁は有るようです。

でも、汁物として使う訳じゃなくて味付け用の調味料とかソースみたいに使うらしいね。


「そうですね。魚で出汁を取る時は煮込んじゃうと臭みまで出ちゃうって言いますし。私の生まれた国では干した海藻から出汁を取ることも有りましたよ」

こっちの世界で昆布みたいな海藻ってあるのかな。

醤油とか味噌とか有れば、お吸い物とか味噌汁とか作れるのに。

麦に似たもの(パンは有るみたい)は有るみたいだし、頑張ればうどん作れるかな?

「とは言っても、私はそんなに料理詳しい方じゃないので……作り方知らない物が多いです」

何でブイヨン(コンソメ)の作り方知ってたかって?

もちろんネットゲームの調理生産スキルからですよっ!

ゲーム内では調理人だったもん。リアルでは「お湯を注ぐ」とか「炒める」とかしかやってなかったけど……。


「海藻を干すと旨みが増すって海の民から聞いた事は有るわね。港に行って仕入れてこようかしら……」

ここから通りに出れば、すぐに港なのです。

ミルムの港は商業港だけじゃなくて漁業港も兼ねているので、獲れたての新鮮な魚介が買えるらしい。

「まったく。うちのバカ娘にも見習ってほしいわ。スズネちゃんは若いのにこんなにしっかりしてるって言うのに」

あ、いえ……もうそんなに若くは……。

あぁそうさ!背もちっちゃいし童顔だし幼く見られるさ!……ぐすん。

異世界デビューが任官してから9年目で、かれこれ10年近く色んな世界に居るから……け、計算したくないっ!

永遠の17歳教に入信しますっ!まだぴっちぴちの17歳っ!ううん、違う気がするけど絶対そう!



「いやぁ、でも実際我々は永遠の20台ですからねぇ。こちらでは」

うわっ!びっくりした!?

……ウィルヘムさん、何でここに。

って言うか、今は朝ですよ!

「うん。詳報見てちょっと問い詰めたくなりまして。ちょっとスズネさんを借りていきますね」

何、何っ!?問い詰めるって何!?

女将さん、そこで『ごゆっくり~』って手を振らないでっ!



首元を掴まれてずりずりと部屋へ。

服が伸びるーっ!

「ちょっとオフレコ気味の話をするので結界張りますね」

そう言ってウィルヘムさんが取り出したのは、どこかで見たような某ネズミの人形。

扉を向く様にちょこんと設置。

「これで良しと……」


「何ですか急に。と、言うか某ネズミーランドの人達から怒られますよ」


「まず最初に用件から……。何いきなり『バインド』とかしとるん、『バインドして全力全壊でぶっ放せば親友だよ☆』とか言うつもりなんか!」

うわぁ、なんか急に怒られた。

……ところで、某ネズミと言い某魔法バトルアクションアニメのネタと言い、何で知ってるんでしょ?

「複雑な魔法は使わんように言うてるんに、『バインド使うおwww』とか馬鹿なん?死ぬん?……ふう。失礼しました」

うわぁ、何この……聞き覚えのある言い回し満載、突っ込みどころ満載なお説教。


「えーっと……」

こう言う時は……。

「ぬるぽ?」

とりあえずは、同類確認の合言葉。

別に『バルス』でも良いんだけどさ。


「ガッ!……何言わせるんですかっ!」

確定。ウィルヘムさんも異世界人、しかも同郷人じゃん。

ちょっとスレ建ててきますね。『異世界にでネラー見つけた件についてwww』って。

「コホン。って事で、魔力による拘束なんて複雑な物を使いやがった輩へお説教です」


「拘束魔法ってそんなに高度だったんです?……と、言うか今までのやり取りが色々と突っ込みどころばかりな件について」

魔力の紐で縛りつける。ってだけのイメージじゃないですか。

高度も何も有ったもんじゃないと思うんだけど。


「まず魔法についておさらいです。物質や現象を呼び出す魔法がこの世界では魔法の基本です。そこは良いですよね」

うわ、サラっと流された。スルースキル高いなぁ。

魔法の種別ね。この間教えてもらった時は、確か……

物質を呼び出す……と言うのは氷とか石とか。

現象は、火とか風とか。

って聞きましたね。

「少し異なる空間転移とかもありますが、これは上位系の複雑魔法です。個人での発動は困難とされ、専用の大型魔道具で演算管理してます」

あぁ、アッヅ城にも有りましたね。転送部屋ってお部屋が。

良く分からなかったから近寄らなかったけど……。

「さて、今回スズネさんが使った『バインド』は何にあたるか分かりますか」

何にあたるかって、魔力で紐みたいなもの作っただけですよね?


「紐みたいなイメージで出したんで、物質呼び出しじゃないです?」


「では、『どんな素材の紐』とかイメージはしましたか?と、言うかそもそも某魔法少女アニメの『バインド』のイメージですよね?」

……それは否定しませんけど。

素材まで考えはしなかったなぁ。

「イメージで魔法を使えると言うのが問題なのですが、スズネさんは『バインド』のイメージで拘束しました。この『バインド』は『魔力で縛りつける』と言う魔法になるんです」

なるほど。作中の『バインド』そのままになった訳ですか。

……ん?ってことは?

「想像の通り、物質ではありません。と、言うかそもそも、この世界において『魔力そのものが物質的干渉した』なんて聞いた事有りません。私達の世界で言えば『電気で縛り上げた』位おかしい事なんです」

あー……なるほど。

魔力って言うのは単純にエネルギーなはずなのに、そのままで拘束しちゃった。

なんか色々おかしい。というか、理を曲げちゃった。みたいな感じですか。


「そんな大変な魔法だってイメージは無かったです。これから気を付けます……」



「よろしい。では、スズネさんの疑問に思った事に答えましょう」

疑問に思った事?

あぁ、うん。なんか大体想像は付くけど……そうだね。聞いてみたいね。

「私もスズネさんと同じ、日本から飛ばされてきた異世界人です。スズネさんとは経緯と言いますか、扱いが違うので私は『カムイ』や『導き手』では無いのですが」

今のやり取りで分かってました。

でも扱いが違う?ってどういう事?

『カムイ』や『導き手』ではない。っていうのも気になります。

「私は……いえ、私だけじゃなく他にも確か数百名居たのですが、V.F.L.Oと言うネットゲームをしている最中にこちらの世界に飛ばされました。まぁ、VRMMOトリップ小説で良く有る設定ですよね」

む?そのネトゲ、私もしてたぞ……?


「V.F.L.Oって『ファンタジー世界でセカンドライフを!』って売りのアレですよね。私も一応、やってましたけど」

Virtual Fantasy Life Online。

21世紀のオンラインゲームと銘打って、世界発のVRMMOとして開発されたネットゲームです。

私もOpenβの頃からプレイしてました。


「知ってるなら話は早いです。たぶんここが異なると思いますが、私達は『13.2アップデート』と言われている大型アップデート後、こちらの世界へ飛ばされてきました」

うわぁ。私の知ってる頃から大分経ってる!?

「追加された隠しイベントで新エリアにテレポートした時……でしたね」


「私が異世界に来た頃は6.2とかでしたね。6.3の情報が出た頃だったかな……」

2~3年毎に大型アップデート、って感じのゲームだったし……単純に考えて15年位後なのかな?

「ちなみに、私は仕事中に飛ばされました。上司が変な本見つけてきたおかげで」

なぁにが『神田町で掘り出し物見つけた!』だ。

見事に掘り出し物過ぎて異世界に飛ばされたじゃないですかっ。


「そこが差みたいなんですよね。V.F.L.O組は、スズネさんのような『普通の異世界転移』と違う形で来てしまったので、純粋な『異世界人』とは違うんですよ」

う~ん……?良く違いが判らないです。

結局、異世界から来た人なんだから異世界人になるんじゃ?

「正確には転移してないんですよね。V.F.L.Oのキャラクターそのものになってしまっただけですし」

ん?キャラそのものに?

うん。確かに、ウィルヘムさんって『夜の眷属』って言ってたし本人が転移してきた訳じゃないよね。

キャラクターの種族が魔族だったのかな。確か正式開始時の追加種族で魔族と天使族が居た気がする。

私の頃は人間しか選べなかったし、アバターもプレイヤーほぼそのまんまだったけど……。


「だから人間ではなく魔族?なんですね。そうなると、ウィルヘムと言う名前も?」

日本人っぽくはないよね。

外人さんもプレイしてるゲームだから本名かもしれないけど……。


「はい、プレイヤーネームです。この姿で本名を名乗るのも似合わないですし、V.F.L.O組との付き合いも有りましたので」

うん。確かにこの見た目で『山田太郎です』とか言われたら似合わないわ。

「私達、V.F.L.O組はゲーム内と同じく『契約者』と呼ばれます。呼び名の由来は、ご存じの通りV.F.L.O内でNPCがプレイヤーを呼ぶ時の呼び名です。私達『契約者』はキャラ性能そのままで転移してきました」

うわぁ。なんてお得な。

強くてニューゲームじゃないですか。

「ちなみに私達がこちらに飛ばされて来たのは、こちらの時間で50年ほど前です。こちらの人からは『大異変』と言われているみたいですね」

うーん……?私よりも15年位後(アップデート頻度から考えるとそうだよね?)に飛ばされて来た人達が、50年前にこっちの世界に?

絶対に時間軸が合ってないと思うんだけど。

「まぁ、時間軸云々は置いておいてください。私も良く分かりません。大体、今現在で他国の導き手でジャンヌ・ダルクが居る世界です。深く考えたら負けです」

ジャンヌ・ダルクって何年前の人だっけ……。

うん。時系列は深く考えたらダメだね。


「……それにしても、ウィルヘムさんも同じ異世界人だったんですね。最初に会った時、全然分かりませんでしたよ」

そもそも『他に同じ世界から来てる人がいる』なんて思いもしなかったしね。

カミングアウトされなきゃ分からなかったです。

「他にも、気付いてないだけで似たような人居るんですかね。う~ん……考え付かない、ノーヴの人達は規格外過ぎて皆が怪しく見える……」

プレイヤーでした。って言うなら、一般人離れした異様な強さも理解できるます。

でも三公の人達は千年単位で生きてるって言うし、獣人族とかプレイヤー種族では居なかったよなぁ。


「私は生産職なので、ほぼ一般人でしたから。嗜み程度で魔法覚えてましたが」

嗜み程度で魔法学院長とは……。

ま、まぁ……私の頃とは違うから、サブで取ったスキルも大分育つよね。うん。

「とは言っても、錬金術は素材が異なり過ぎてほとんど役に立ちませんよ。『世界を一新するアップデート』と銘打って、レシピや素材名全部変えてくれたタイミングでしたので」

なんだ。錬金術師だったのね。

錬金術は私の頃は不遇スキルだったなぁ。

フレ……と言うか、弟子?みたいな子で、錬金上げてた子が居たなぁ。

「まぁ、そのおかげで『魔法が少し使える一般人』な程度にしか見られなかったのですが」

魔法が使える一般人って、その時点で一般人では……。

あれ、でもノーヴ的に考えると一般人なのかな?


「私の頃は錬金って不遇の時代でしたね。私のやってた調理もあんまりでしたけど」

薬品で回復するより、回復魔法で回復してもらう方が良い。

そもそも、自力生産の薬品なんて高すぎて使えない。

って時代でした。

料理も『普段食べる物は店売り品で良いじゃん』とか『強敵戦の時は死にまくるから食べる必要ないじゃん』とか言われてましたけど。


「調理されてた方でしたか。私も知人、と言いますか師匠が調理されてる方でした」

あら、私みたいに錬金やる人を弟子に取った気紛れ調理人居たのね。

調理と錬金(特にお薬系)の素材は似通ったものが多い、と言うか調味料や香草はそのまま錬金素材だったので組み合わせとして多いのかもね。



同郷人、しかも同じネトゲのプレイヤーと言う事で無駄話も弾むと言う物です。

V.F.L.Oの話(私の居た頃より後は調理と錬金が超優遇生産職になったとか)、

アニメ(趣向が合ってました。某宇宙賞金稼ぎの話が出来るなんて素敵っ!)とか趣味の話で盛り上がり……

「って、そういう話じゃなくてですね!」

怒られました。

「ちょっと真面目な話に戻りますよ。スズネさんは他の世界も旅してるので大丈夫かとは思いますが……」


ウィルヘムさんと一緒に来た数百人のプレイヤー組(V.F.L.O組)の皆さん。

戦闘職な廃人さん達はこの世界に来てすぐ龍とか未開ダンジョンに挑戦して行方不明になったとか。

お話で良く有る設定の、『復活ポイントでリスポーン』ではなかったようで、そのままこの世界では死亡扱いになってしまったそうです。

すぐに戦闘しに行った廃人さん達以外の人も、

貴族の恨みを買って処刑されたり、

国家間の戦争に参加して戦死や行方不明になったり、

冒険者ギルドの仕事中に行方不明になったり、

と、残っているメンバーは少ないんだとか。

「最初、この世界は新規実装された新エリアやシステムだとばかり思ってましたからね。VRMMOに慣れた身では、異世界に居るのかゲーム内に居るのか区別も付き辛かったのでしょう」

『大異変』から10年も経つと、『契約者』を公言していた人達は居なくなってしまった。とか。

身体能力は高くても、あくまで人間(とか魔族とか)なので、ふとした油断でさっくり……らしいです。

ウィルヘムさんみたいに、『契約者』だと事を隠してた(気付かれなかった)人達は、まだ少し残ってるみたいですが。


「私達『契約者』の存在は色んな意味でイレギュラーでした。高度な能力……スキルやステータスですね。を持ち、異世界の知識を持つ。異世界の知識は『カムイ』も同様でしょうけど」

それが故に慢心だったのでしょうね。プレイヤー様、ですし。

と、ウィルヘムさんは自嘲じみた笑いを浮かべ、ベッドに腰を下ろした。

……せっかく布団畳んだのに。って、それは良いか別に。

「いくら『契約者』でも無敵の神では無いですから。死んだら街で復活、って訳でもないですしね」

まぁ、そもそもV.F.L.Oはサクっと死ねるゲームだったしね。

高レベル帯では同レベルの敵に勝てる職業が強キャラって言われる程度に……。



「スズネさんはカムイとしてこの世界に来てます。それでいて、我々『契約者』と同じ……いえ、それ以上の力を持っています」

だから、布団によりかかるなー。せっかく整えたのに崩れるだろうがー!

「たぶん……いえ、確実に全世界の国がスズネさんを手に入れようとしてきますし、否が応にも様々な事象に巻き込まれるでしょう」

私はそれが嫌で『契約者』であることを隠してますけどね。と続ける。

異世界人だって事を隠せるならそうしましたよ!

目が覚めたら犬耳さん(銀狼さん)こんにちわ。で『カムイ起きたぞー』なんて言われて逃げられねーです。

「既にカムイとして名前が出てしまってますので手遅れなのかもしれませんが、同郷で同時代の人に言いたいのは『死んだら終わりです。生きてください』と言う事なんですよね」


そんなこと、今更言われるまでも無いです。

そりゃぁ、今まで4回の異世界道中で(ほぼ3つですけどね。転送間違い?とやらを除いて)、何回か死に掛けてます。

その度に何とか生き残って今、ここに居るんです。

この世界はゲームでも夢でもないと知ってますので、死んだら終わりだってことも重々承知。

「それは痛いほど分かってます。仕事柄、こんな事言っちゃうのはマズいのでしょうけど……死んで英雄になる気も無いですし、逃げてでも生きて、楽しみぬきたい。と思ってますよ」


あぁ、そう言えば。と言った表情のウィルヘムさん。

「そう言えばスズネさんは自衛官でしたっけ。そんな方にこんな事を言うのも変でした。忘れてください」

そっか。ウィルヘムさんもノーヴの重役なんだし、私の経歴は知ってるのね。

まぁ、隠す事も無い事だし、逆に言えばその道しか知らないんだから。私は。


「いえ、良いアドバイスですよ。私は変な意味で経験者ですから慣れちゃってますが、最初の異世界では『夢の中なのかな』って思って無茶しましたし」

最初の世界で、夢で良く有る『はい、これ死んだよー』な状態になれば夢から覚めるかな?って思った事も有りました。

結果どうなったかと言えば、二か月ほど包帯に巻かれて集中看護でした。(ついつい試しちゃった。てへっ☆)

もうあんな痛い事やらない……。

「魔法が使えても、ファンタジーな世界だろうと、私はこの世界に来てしまったのですから、出来る限りに頑張ってあがきますよ」


「流石、熟練の『異世界トリッパー』と言った所ですか。さて……」

な、何ですか、ニコニコ笑いながら近付いてきて……。

「最初に『あなたは魔力が凄すぎるから無茶はするな』って言いましたよね?覚えてますか?」

こ、これが某国民的アニメの『ぐりぐり』かっ!

痛いっ!痛いからやめてっ!

「ホントに、これっきりにしてくださいね!創作魔法……と言うか、ネタな魔法使いたい時は聞いてからやってください!」

しませんっ!もうしませんっ!

全力全壊で収束魔法撃つとか、某魔法少女アニメ(首から上が食べられちゃう方)の必殺技撃つとかしませんからっ。

「そもそも私だって、某ロボット物のフルバーストやりたいと思ってますが、諦めてるんですから。本当にやめてくださいね?」

やろうとしたんですか……。

と、言うかあのビーム攻撃をどうやって再現するつもりだったのか聞きたい。

ミサイルと実弾分なら似たような事出来ると思うけどね。


「えーっと……銃作ってもらったし、主題歌掛けながらオサレなポーズ取って無双するのは?」

何故か相手の攻撃は当たらないアレです。


「それ位なら。と言いたい所なのですが、あなたがやろうとすると空間ねじ曲げたりしそうなので控えてください。……ところで、主題歌って何掛けるつもりですか」

あぁ、うん。『相手の攻撃当たらない』って所で……って話ですね。

私のテーマソングも思い浮かばないですし……分かりました。諦めます。

「そもそも、スズネさんの場合は常時発動の結界で、意識しなくても魔法や遠隔攻撃は無効化するんですから……これ以上何をしようって言うんですか」

あぁ、そんな事になってるんでしたっけ。自覚がないので忘れてました。


「むぅ。こんなに魔法が上手く使える世界なんて初めてだから、色々やってみたかったのに」

武器を練成して『武器の貯蔵は大丈夫か』とか、『みんな~オラに元気を~!』とか……。



「あぁ、すいません。さっき言い掛けて、すっかり忘れてました」

んに?言い掛けた?何を?

「『契約者』も『カムイ』も、基本的には年取りません。私の感覚だけではなく、『契約者』仲間や『カムイ』の人達に聞いてもそうですね」

年取らないって言われても……最初に異世界飛ばされた時、既にアラサーな年だったのですが。

腐女子じゃなくて貴腐人な年になってしまってがっくりですよ。

まぁ、私は腐った方の趣味は無いんですけどね。やっぱりカップリングはノーマルか可愛い女の子同士じゃないと。

「大体、20代くらいの年齢に固定されるみたいです。以前、ノーヴに『導き手』として山本五十六さんが居ましたが、教科書で見た顔と違って好青年でした。名前聞くまで分かりませんでしたよ」

20代!?私もピッチピチの女子で、路を歩けばナンパされまくったあの頃!?

ごめんなさい。見栄張りました。ナンパされたことありません。

と、言うか山本提督が『導き手』でノーヴに居たんだ。道理で日本っぽい文化が有るはずだね。

どこかで聞いた事が有るような名前の人居る理由ってそれかぁ……。


「なんかサラっと重大な事実を聞いたような気がします」

こんな話は先に教えてほしいです。


「同郷人かつ同胞だと分かりましたしね。それに、ノーヴも正式にスズネさんの『導き手』着任を承認する動きですし、この際『全部説明してしまえ』と独断で私が来た訳です」

正式に……って、既に『導き手』になってるような?

腰を据えてじっくりと話そう。と言う事なのでしょうか。

指をパチンと鳴らしてソファーを取りだすウィルヘムさん。

そんな事出来るなら、最初からベッドに座らずそうしてください。

「さて、どこから話しましょうか……」

異世界で密度の高いネタ談義が出来るとは思いませんでした。


byノーヴ所属のW氏&S嬢

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