第七十八話
建物は神殿でしたってことで移動を開始したのだけど、なぜか妹と黒猫が仲良くなっていてじゃれて駆け回っている。この場合「友達ができてよかったね」でいいのだろうか。しばらく様子見をしたいと思う。
戻りのルートは先ほどと逆で、正面から出ることにした。足元には石畳が敷かれているのだが、割れたところから草が生えていたりと結構荒れている。といっても、石の残っているところは草が生えてこないので道としては機能していると言えるかな。背の高い植物が多いわけではないし。所々鳥が運んできたらしき木は生えているけど。
裏から繋がっているであろう用水路はゴミが詰まっていたりもするが一応ちょろちょろと水が流れている。水の圧力で定期的にゴミのダムが決壊してはまた出来るということを繰り返していそう。
「しっかし何も無かったな」
マタタナさんは残念そうにしている。でも俺思うんだけど、お宝見つけたとしてここはピュエルマの管理する地域なんだよね。発見者だからって何か貰えるわけではないのでは?
契約次第では発見者に報酬なんてこともあるだろうけれど、今回のことはどうなっているんだろうね。元々は特産品や鉱山などそういった資源的なものを探しますということでここに足を運んでいる。こういった遺跡の発見はイレギュラーなわけだ。
端まで移動すると普通に下るための道に出た。こっち側は一本道だね。ぐるりと下ってまた大岩の中に戻り、道なりに進めばどんどんと下の方へと進むことになる。
「ここにいましたか!」
下り切ると通路のような場所に出た。それをそのまま直進していると、進行方向の逆から足跡が聞こえて来て身構えたのだが、相手は例のピュエルマの役人さんたち。
「下の方に宝物庫があり、宝石や金などを見つけましたよ! そちらは何かありましたか?」
「上には神殿みたいなのがあった」
「なんですって!?」
こちらを代表してマタタナさんが説明すれば、役人さんは大興奮。すぐに俺たちが来た方へ足早に進み消えていった。ついていく皆さんも大変そうだ。
「で、宝ってどんなだ?」
「まだ手をつけていませんしそのままになっていますよ。見に行きますか?」
マタタナさんがライエルから派遣された一人を捕まえて事情を聴く。まだ手をつけていないってやっぱりあの役人さんはちょっと変わってるタイプみたいだね。普通ならお宝見つけたらすぐに触れようとするだろうに。
我々はお宝を確認したあと入ってすぐの広間で待っていたのだが、役人さんたちが戻ってきたのは外からの光が乏しくなってきた頃。
結局このまま帰るのは危険だという判断で広間で夜を明かし、翌朝に帰還することになった。
肝心のお宝は古い時代の物なので正直あまり価値がわかんなかった。もちろんくすんだ金製品や宝石の使われた物などは複数あったけどね。もっとピカーっとしてなくちゃいまいち感動しないものだね。
「よくやってくれた」
ピュエルマの役所に辿り着くと、連絡を受けていたお偉いさんが迎えてくれた。ただしやり取りもそこそこに帰還した後の報告は役人さんたちへお任せ。我々はその場で解散してお別れ。俺もみんなも予定外の一泊を強いられて疲れていたのでそのまま帰ることにしたのだ。一応ピュエルマの方は「休んで行きますか?」という確認はしてくれたんだよ。だけれど他人の家って落ち着かないじゃない。だからそのままエルミーナに帰宅。そのままぐっすりモード。
エルミーナに帰って数日。カトル爺からの呼び出しで本館へと向かう。要件は先日ピュエルマにお仕事でいったアレ。
「先方は満足しておるようじゃ。報告にあった遺跡での宝、それに調査の過程で付近に新しい鉱山も見つかったとあって手紙にはこちらに感謝しとると書かれておった」
「ミャ! ミャア?」
へえ。鉱山も見つかったんですね。よかったですね。となればライエルの人との共同開発って話も予定通りに進行しそうだ。
で、ですね。お礼の方は?
「そうじゃったな。見つかった物の中から一部が届けられておるので、その中からアンバーにも渡すつもりじゃ」
おー! 太っ腹。でもお宝って現金化してもいいのかな。ちょっと躊躇しちゃうよね。だったら現金の方がありがたかったかも。猫に小判じゃないけど、猫に財宝だもんね。
「でじゃ。そっちの黒いのが例の?」
「ミャミャ」
そうです。そうなんです。結局例の遺跡にいた黒猫さん一緒に帰って来て妹と同居始めちゃったのよね。しかもオスってことでお兄ちゃん複雑です。




