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先代様の置き土産  作者: 鈴寺杏


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第七十話 蓮の効能

 電子機器の箱の中にいらっしゃる先生に話を伺ったところ、蓮の実も薬になると教わった。日本では乾燥させたものがネット上で普通に売っていたので買ってみた。ちょっと高いナッツくらいの金額。でも薬だと思えば高くないかも?

 見た目的にポップコーンとかそういうお菓子の親戚だと思えば平気だけど、元々の姿からイメージできるのは鉢の子の方。ちょっとグロイきがする。


 そのままでは硬すぎるので、水で戻して加熱するのが普通らしい。所詮は植物なわけで、豆みたいな感覚で扱うといいみたいだね。少しだけ手のかかる子。味については好みによるだろう。変な味ではない。


 効能は胃腸の働きを整えたり、不眠なんかの精神的にも効果あるとか。ほんとかな? 滋養強壮効果もあり女性のあの日にも良いと書いてあるところもあった。需要がありそうだ。


 あとは蓮の葉も使い道がある。お茶にして飲むと脂肪燃焼に効果ありだって。こういうダイエット系の話はどうなんでしょうね。言ったもの勝ちみたいなところあるし。ただ地球産と合わせると結構聞いちゃうかも!

 しかし今回は持ち込んでいない。無理なダイエットになって逆に体調崩しそうだからね。使うとしても混ぜないでそのままがいいと思う。こちらは体型の価値観も今の日本とは違う。すぐに必要な物ではない。


 そんなわけでちゃんと仕事を熟してきた俺は立派。もっとできることがあっただろうと言われても、仕事をしながらだったのでこれ以上は無理です無理。


 俺が用意すべきエルティガへの諸々は揃ったけれど、すぐ先方に向かうわけではない。今は先日持ち帰った物を薬師たちが調べているところ。俺の調べてきた蓮の効果の他にこちら特有のものがあるならば、ちゃんと知らなければ薬にも毒にもなってしまうから慎重に。

 

 しばらくお休みだーってことでラーナツのところにお土産を持っていく。もちろんシャスタ用のカレーの素なんかも渡すんだけど、今回の本命はアザー様に似た猫の描かれたグッズ。要するに俺にも似てるという事でちょっと恥ずかしかったり。

 なぜこれを渡すのかといえば、スーたちのおかげで元に戻っているとはいえ狂信者なのは変わらないのでまた変な物を作らないようにという予防策。いやーこれが結構苦労したんですよ。案外こげ茶の猫グッズって少ないのよね。


「これは……アザー様?」


「ミャ!」


 そうだよ。偽物だよ。偽物というか似てる子だね。


「ありがとうございます!」


 似てればいいみたい。よかったよかった。

 と思って様子を見ていたら自分で糸を足したりして本物に近づけていってるうぅ!まずい。最近普通ぽかったのでこの男を甘く見ていた。全然普通じゃない。でも大丈夫のはず。ベースは別物。何も起きるわけがないのだ。


 ササっとラーナツはグッズの一つであるエプロンをアザー様仕様に変更して身に着けてしまった。料理人なのにそういうのも出来るんですね。


「これでいつもアザー様と一緒です! こちらの袋は後ほどアンバー様にしますね」


「ミャ、ミャア……」


 いや。俺のことはいいんだよ。全部アザー様にしなさいな。特にマグカップ。これは絶対に俺にするのはやめてね。見ながら口を付けられるとか悍ましい。可愛い女の子なら一考の余地ありだが、それでも単純に喜ぶかと言われれば……。


 これ以上ここにいるとテンションの上がり始めたラーナツが面倒になりそうなので厨房から退散。新しい料理についての話は後日でいいよね。うん。


 一度部屋に戻ると、スーとルーに渡すお土産を取り出して渡しに向かう。丁度今日の座学が終わった頃だろう。

 部屋に着くと丁度ヘムテイロ氏が片づけをしているところだった。タイミングバッチリ。


「あっ! アンバーだ!」


 すぐに見つかってしまったので、素直に渡してしまう。二人とも同じような物で、竹トンボと箱型の迷路みたいなやつ。中にパチンコ玉みたいな鉄球が入っていて傾けながら穴を避けゴールを目指すアレだ。

 昨今のおもちゃはどれも機械的だったり、プラスチックが使われているので選ぶのに苦労した。チョコレートや薬などいくつか持ち込んでいるが、どっかしら線引きしておかないといつか面倒なことになりそうだからね。


 中庭に出ると竹トンボの遊び方を説明する。天気もいいし、芝生の上で遊ぶのに丁度良さそう。


「わー!」


「やらせて!」


 超能力で空へ飛ばすとスーもルーも大歓喜。ごめんねこれズルしてるんだ。本当はもっと飛ばないんだよね。

 なんて思っていたら意外と二人とも上手に飛ばしている。ただやはりあまり高さは出ない。相当カスタムしないと重いからね。安全のためについてきたバーマンたちは飛んで行ったのを拾いに行く役。何度も繰り返すそれは、飼い主の投げた棒を拾いに行く犬のようで面白い。


 一度学んでしまえばあとは見守るだけでいい。

 中庭では楽しそうな子供たちの声が竹トンボのように風に乗って遠くに運ばれていた。

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