第五十二話
「それは毒草では?」
同行している一人がそう言い放った。
えっ⁉
昔おばあちゃんに聞いたよ。裏面に白い毛があるのがよもぎって。こっちだと毒草なのかな?
こういわれてしまうと自信がなく困ってしまう。似ているようで違う景色。特別な力を持つ動物が存在するように植物だってきっとそう。食べられないために苦くなったり毒となっていてもおかしくはない。
やっぱり専門家は必要だったんだよ。次回は呼んだ方がいいと思うよ。あと俺は呼ばないでね。
責任が取れそうにないのでよもぎ(仮)は保留として、周辺の草をチェック。ティトの影響下であるため、季節感のようなものはゼロ。といっても薬となりそうな物はやはりわからない。
昔は罪人に食べさせたりして安全か判断していたというのは本当のことなのだろうか? 個人的には動物に食べさせて試すよりはマシな気になる。今は猫だし。
疲れてきた。というか飽きてきた。猫は飽きやすいのだ。
もうさ。たんぽぽでよくないかな? 知ってるのより少々大きくて不安だけど、これはさすがにたんぽぽだよ。
根がコーヒーみたいになるんでしょたしか。それにたんぽぽであれば、子供の頃に茎の部分を笛としてプープーって鳴らして遊んだことがあるので口に入れても安心だもん。効能はまた今度調べておくからこれで帰りましょう。
ひとつ成果が見つかったのであとはお気楽モードに変更。草むらでトカゲを見つけて捕まえたり、出てきたヘビに驚いて頭を叩いたりして時間を過ごしてから戻った。キラキラした青いトカゲの尻尾を持って帰りましょうかね。戦利品だ。
「キャー⁉」
どうも生々しい尻尾がダメだったらしく、お世話のメイドが騒いでしまった。その声にスーとルーも驚いている。表面はメタリックでかっこよくもあるのだけれど、切れた断面がよろしくないんだって。みんなだってお肉食べるのにね。
警戒を解くためにポイッとトカゲの尻尾は諦めて、持って帰っているタンポポを見せる。ほら黄色できれいだよ。普通の倍くらい大きいけれど。
「そのお花知ってる!」
ルーがたんぽぽを見てそう言った。そうでしょう。そうでしょう。だってここにも生えてるもんね。林の中に入った行為はなんだったんだと思わなくはないが、種類が違うかもしれないから両方確保しておこうかな。スーとルーも手伝ってくれて今日の外での作業は終了だ。
屋敷に帰ると報告義務のある猫。働く猫は苦労が絶えないのだ。最初の頃に仕事を探そうとしていた自分が懐かしい。今はいかに自由を得るかの方が課題。
「そう。この黄色い花がね」
こちらに投げっぱなし、任せっぱなしにするのかと思っていたが、カトル爺の方へ届けられた後に専門家に見せて調査するんだって。なんだちゃんと考えていたんですね。
すごく今更だけど、アロエ勝手に使っちゃったけど、あれでかぶれたりアレルギーになっていたと考えると急に怖くなってきてしまった。最悪エルミーナの家終わってたんじゃない?
「アンバーどうしたの?」
「ミャア?」
挙動不審だったのかルアナに問いかけられる。気付かれたら不味いので「なんでもないですよ?」と演じる。
「なんでもないならいいんだけど」
怖いな。
でもおかげで怖さが怖さで上書きされ消えた。ショック療法ってやつだね!
あれ。違うっけ?
部屋に帰るとすぐにクッキー缶を開ける。さっきからアミーが微笑んでいるのが怖い。何か感じ取っていそうなので先に口止め料を払っておく。俺は時々慎重なのだ。
「アンバー様。そのようなことをされますと、やはり何かあったのだということになってしまいます。今後はその点にご注意くださいませ。アミーからの忠告でございます」
「ミャ」
人間社会の上手な立ち回りを学んだ。すぐに渡そうとするとだめらしい。でも褒美や詫びは早い方がいいだろうし、難しいね。
「それでですね。本日はこちらをいただこうかと。よろしいですか?」
「ミャ!ミャ!」
ちゃっかりもらう物は貰うアミー。今日はココア味のクッキーだね。中にアーモンドのスライスを細かくしたのが入っているやつ。もしかするとアミーはチョコ系が好きなのかな。俺もチョコ好きだからお揃いだ。




