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先代様の置き土産  作者: 鈴寺杏


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第五十一話 自然の恵み

 ぽかぽか陽気のこの日。朝のスーとの訓練を終え、林を抜けて屋敷に戻るとルアナに呼び出された。


「調査に向かってちょうだい」


 調査。そう、先日アロエが見つかったあの場所。ティトの影響により自然豊かな環境での調査だ。今回は前回のピクニック観光とは違いカトル爺からの話でもあるらしく、要は「アロエ以外にも役立つ物があるんじゃないか?」という趣旨らしい。


 それ俺いりますかね?


 そんなわけでまたしても山に行かされることになった。メンバーは前回と同じで、妹はお留守番。あの子は迷子になったら大変だからね。もう少し行動を見定めたり、慣れるまで連れて行けない。あと妹はここのところネズミを追うことに執着しているというのもある。褒められるから嬉しいのだろう。食事は別でもらえているのでハンティングを楽しむだけ。持って帰ってきた物はミミズクの餌となる。そう考えると妹も少しは家の役に立っているということか。


「では我々は調査に行ってまいります」


 現地にてスーとルーたちを降ろすと、調査隊はすぐに移動の準備に入る。バーマンは相変わらず真面目だ。

 でもさすがに少し休憩が欲しい俺は、スーの隣にしれっと並んでいたのだが捕まった。今回も魔除け代わりに便利に使われるのだ。動物虐待だ!


 林の中に入っていくと、前回よりも木の香りがする。アロエを回収するために道を整備しているようで、道中切り株がいくつもあった。道幅は二メートルちょっとかな。大人が両手を広げたよりも少し広い。中型の荷車が余裕をもって通れるサイズとなっている。ちなみに今はそれよりもやや小さいサイズの荷車がガタゴトと一緒に移動中。そこに乗るかと尋ねられたのだけどね、あまりにも振動が酷そうなのでお断りした。


 そんなわけでアロエを見つけた場所まではすんなり来れた。以前に比べると何度か回収されていることもあってか葉の数が減っている。

 そういえば見たことがないが、アロエってどうやって増えるのだろうか。根が広がってそこから増えていく感じかな?


 ともかく取りすぎると無くなってしまうことは念頭に置いて行動すべき。採集の調整を提言しなくては。


「一度ここで休憩しましょう」


 今回はアロエ回収が目的のチームではないのでみんなで休憩。といっても二人は警戒状態で待機中。慣れているようなので危険だからというよりも、訓練の一環という感じか。

 

 俺用の水は、水筒から。水袋を使うのは匂いが付いて苦手なのだ。


 乾燥した地面に腰を下ろす面々。そんな中、俺は掘りやすそうな地面に喜んでトイレの準備。でも直接見られるのは恥ずかしいので、岩の陰に隠れる。ここをトイレとする!

 右手、左手と交互に動かして、調子が出てくるとスピードアップ。ほどほどの穴ができたらそこにお尻を突っ込んでジャーっとね。

 終わったらまたシャカシャカとして、今度は土をかける。うんスッキリ。


 あっ。

 アロエから結構近い場所でトイレをしてしまった。どうしよう。


 岩陰からコソコソと出ていくが、何もおとがめは無し。こっちの人はあまりそういうことを気にしないのだろうか? 割と衛生面ゆるゆるなところあるし。


 休憩が終わると、今回はここから少し奥へ行く。まだ見ぬ薬草を探すのだ。

 草や藪を払いながらの移動。これから進む方にもいくらか人の入った形跡が残っているのだが、ほとんどは草木に塞がれている。時期にもよるのだが植物の成長っていうのは本当に早い。一か月も放置していると「前より伸びてる……」なんてこともあったりする。おそらくティトの影響もあってか、俺が思っているよりも植物が元気なのではないだろうか。


 そう考えればアロエも勝手に増えて成長するのかな?

 この辺りは要検証。メモに残しておきたいが、生憎俺は猫なのでそんなものは所持していない。


「アンバー様いかがでしょうか?」

「ミャア?」


 ふいにバーマンから話しかけられた。

 いかがでしょうかってどういうことだろう。


「何か見つかりませんか?」

「ミャ!?」


 赤い木の実を見つけて喜んだり、毛に付着する鬱陶しい草と格闘していて目的を忘れていた。

 でもね。前回アロエの有効活用を思いついたからって俺一般庶民ですよ。薬師でも錬金術師でもあらしまへん。おいそれと簡単に何かが見つかるわけじゃない。

 それにちゃんと探すつもりなら、専門家連れて来るべきですよ。すごい今更ですけどね。もっと早く言えと思われそうだが、忘れていたのだから仕方がない!


 ここの人たちは本当に無茶ぶりが多いとプリプリしながら歩く。すると木々が途切れ、草むらとなっている広場のような場所にでた。


 あ。

 ここによもぎがあるよ!

 よもぎ餅好きだからこれ持って帰りましょう!

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