第三十九話 カレー
料理に使われるサフランが花であり高級ということは知っているんだけど、使い方はと言われると……わからない。頼りのカレーの歌も使い方までは教えてくれないのよな。
まあ、ラーナツは料理人だし何とかしてくれるだろう!
ということでやってきました厨房。ここへ来るとすぐラーナツが出てくるのは俺的には便利だけど、毎度仕事大丈夫なのかと心配になる。マードにスティというアシスタントもいれば、他にちゃんとした料理人もいるから一人くらい変なことしてても平気なのかな?
「またおやつでしょうか?」
すごく食いしん坊に思われていて吾輩ショック。でも間違ってはいないので気にはしない。その方が食べ物をもらえる機会が増えそうだもんね。時々ポジティブシンキング!
さっそく棚に並んでいる香辛料を確認していく。
テシテシと並んだ物の前に手を置けばラーナツが名前を教えてくれるので助かる。クミン、レッドペッパー、ウコンなどなど聞きなれた物が多い。なんでレッドペッパーとかやばそうなものまで俺用の棚に並んでいるのかは謎だが、それが今は有難い。
見える範囲の物を教えてもらったのだが、しょっぱなから躓くことになってしまった。ターメリックがないのだ。どうしたものか。
でもでも、カレーっていっぱいスパイス入れておけばなんとかなりそうなイメージあるしさ、とりあえずやってみますかね。
適当にぽいぽいと選んでいき、ラーナツに用意してもらう。ウコンはどうしようかな。ウコンのお力で便通よくなりそうだし入れちゃうか。名前的にも体に良さそうだし。
「こんなに使うのですか?」
「ミャ!」
「アンバー様がおっしゃるならやりますが」
たまねぎに火を入れて、このあとどうしたらいいんだ。肉かな? トマトも使うよねたしか。あと香辛料ってどのタイミング?
うん。わからない。
こなれば後はラーナツに任せよう。方向性さえわかればやってくれるはずだ。彼とて料理人。しかも主任なのだから。
そんなこんなで出来ました!
途中から感じていたけど、匂いはそれっぽい感じ。色も黄色っぽいけど、茶色が強いよりは初めての人には印象がいいはず。ちょっと水分量が多いのでシャバシャバなんだけど、そこは本場ぽいということで。初回だしさ、失敗してても次から修正していけばいいのだ。
「実にいい香りですね。これで完成でしょうか?」
「ミャミャ」
「そうですね。まずは味見をしてみますか」
じゃあ味見しますか。
ラーナツと顔を見合わせやり取りしていたところ、なんだかすごく視線が多いことに気付く。料理人たちもそうだし、メイドとかも覗いている。今更ながらカレーって匂いが強烈なのを忘れていた。
出来たといったな、あれは嘘だ。
完成していないのでね、みんなが注目してようが味見をするのだ。そういうことにしておく。
俺は猫なのでちょっとだけ。代わりにラーナツはしっかり確認するように。
ちょろちょろと舌の先で突くように舐める。少量なのと器が熱を奪い丁度いい感じに温度が下がっている。
味は、薄味かな。それっぽい出来ではあるが、お店でこれが出てくると残念な気持ちになりそう。カレー風味の何かといったところか。
「香りが強いので心配していましたが、口にしてみると深い味わいで美味しいですね。ただまだまだ改良の余地がありそうですが」
「ンミャ」
「似たような香りの料理を知っていますが、あれを作られているのでしょうか?」
あれってのがわからないけど、ここから改良が必要なのはその通り。これは試作品なのでね。完成度を上げて欲しいわけなんですよ。うんうんと頷きラーナツの意見を肯定する。
何を足せばいいかなってところで廊下からパタパタと足音が。
「奥様がこの臭いはなんだとおっしゃっておりまして、確認にまいりました」
あー。ルアナのところにも届いてしまっていたか。地球でも数軒先のカレーの匂いが届くことはあったもんね。学生の頃、部活帰りに腹をすかしていたところよく被害にあっていたなとしみじみ。
「アンバー様が新しい味付けを教えて下さいました。それを試していたところです」
事実だけど、それ言っちゃうと俺連れて行かれちゃうんですよね。たぶん。
ほら捕まった。
アミーの先輩メイドさん。動きが早いなおい。で、この子名前なんだっけな。まあいいか。ルアナのとこの一人なのは間違いないし。
そうそう。説明が必要そうなので、通訳としてアミーかラーナツをつけてくださいね。お願いします。




