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先代様の置き土産  作者: 鈴寺杏


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第二十一話

 玄関を後にした我々は、本館の執事によりとある一室へ通された。そこはくつろぐためのスペースのようで、庭の見えるリビングという印象の部屋。棚や壁などには子供たちが描いた絵が飾られており、身内が集まる場所というのがわかる。広いので展示室のようにも見えるか。


 それぞれ決められた席があるようで、使用人たちにより誘導された。

 スーとルーの双子はカトル爺の対面。二人が座るとすぐに飲み物と甘い物が用意され、祖父から甘やかされることに。 


 その間に俺はセーラの手よりカトル爺の元へと運ばれる。そこで改めて近くでお互いの顔を見ることになってしまった。男性、しかも爺さんとの接近。接待なのでしょうがないが、あまり嬉しいものではない。

 とりあえず受け取る手つきは合格。猫の扱いに慣れていると感じた。


 まじまじと見つめることになったカトル爺は、双子の祖父のわりには若く見える。推定年齢五十歳前後と日本での父と同年代くらいか。頭髪には白髪も混じり始めているようだが、肌を見るとまだまだ若い。


 こういった場合、まずはこちらから挨拶として声を上げるべきなのかと考えていると、カトル爺が先に挨拶を始めた。


「改めて。エルミーナの当主のカトルカットじゃ。それにしてもアザー殿によく似ておる」


 双子が「カトルおじい様」と言っていたのでカトルという名だと思っていたら、正式にはカトルカットさんらしい。まあ長いのでカトルさんでいいよね。うん。


「まだ幼いが一年くらいといったところか。とすれば、アンバーお主それなりに力が強いようじゃな」


 その言葉にドキリとさせられる。

 カトル爺はこちらを見つめたまま語ってもいない俺の情報をズバズバと当ててきたのだ。初対面、しかも出会って数分だというのに。


 一先ず「ウナァ?」と鳴きわからない振りをしてみる。

 俺の得意技というか、頼りがちな普通の猫ちゃんを装う手段。 


「力のある獣は多くの場合が賢い。隠さんでもええ。お主こっちの言葉を理解しとるじゃろ? 今の反応もタイミングが良すぎるでな」


 おおう。どうしよう……。見抜かれている。

 ただ気を遣ってくれているのか、小声で双子には聞こえない様に配慮してくれていた。正直助かる。言葉がわかると知られて四六時中話しかけられるのも困るのだ。大人ならまだしも子供だとそういうことになりそうだし。


 さて。嘘をついた場合、それがバレると相手を不快にさせる。今後もここで生活するつもりならばそれは悪手。

 なので少し悩んだが、肯定する様に「ニャ」と返事をする。


「お主が孫たちの守護獣になるなら安心じゃ」


 どうやら選択は間違ってなかったようで、そういうとカトル爺はにこにこと表情を崩した。とりあえず俺は合格ってことみたいだ。


 先日のスパイツからの話だと俺に会えずに不機嫌になっていたと聞いていたので、猫好きの人って印象だったのだが実際は孫想いのお爺さんというところだろう。

 新たに招き入れた猫がどのような相手か見極めたかったが、不在であったことが不満だったのかな。

 たぶんこれって俺に対してというより、管理の出来ていないスパイツへ怒っていたんじゃないかと思う。現に俺に対しては怒りの感情なんて一切向けてきていないわけだし。


 スパイツに若干申し訳ないような……気はしないな。奴は俺に何かしてくれるわけではないし。


「そろそろティトとも挨拶してもらおうかの」


 ティト?

 スパイツは次男らしいので、長男もしくはここに姿を見せていないカトル爺の奥さんだろうか?


 カトル爺が執事に目配せをすると、その男はスルリと部屋を出て行った。話の流れ的にティトさんを呼びに行ったようだ。


「彼女すぐに来るかわからんでな。アンバーもゆっくりしておれ」


 彼女ってことは女性。やっぱり奥さんなのかな。

 だとすれば化粧とか準備に時間が掛かるのも頷ける。

 お言葉に甘えて、身体の力を抜きだらりと待たせてもらいましょうか。


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