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ゆかりの自覚

 *** 安良坂 視点


 急にゆかりさんから呼び出された。

 電話の様子だと只事じゃない感じがする。

 一体何があったんだ?


 緊急事態だと思って、ぼくは転移で上原くんの家の玄関前に飛んだ。


 インターフォンを押すと、直ぐにゆかりさんがドアを開ける。

 家の中に誰かが居る気配がするな。

 今日は土曜だから、上原くんは異世界に行っていていないはずだ。


 一人の女子がリビングのソファに座っていた。

 ゆかりさんの友達だろうか?


 これって、もしかして?


「えっと、えっとね…」


 ゆかりさんは、動揺しているらしく上手く言葉が出てこないみたいだ。

 ひとまず落ち着かせるために、一緒にコーヒーでも飲むことにした。


「とりあえず、落ち着こうか。飲み物でも飲む?」


 他人の家だけど、何度もお邪魔しているので勝手がわかる。

 ぼくがコーヒーの用意をしていると。


「凄い。彼氏がゆかの家を熟知してるとか…」


 ゆかりさんの友達に何故か感心されてしまった。

 聞こえなかったことにしよう。





「それで?どうしたの?」


 コーヒーを飲んで、落ち着いたところでぼくが話を切り出した。

 三人でソファに座る。

 窓際にゆかりさんの友達、真ん中にゆかりさん、廊下側にぼくが座っている。


「うん…怒らないで聞いてほしいんだけど…今日ショッピングモールに出かけたの。それで怖い人たちに捕まっちゃって…つい、使っちゃったんだよね…それで…」


「ああ、分かったよ。怒らないから安心して良いよ」


 うん、言いたいことは分かった。

 外で思わず魔法を使ってしまったのだろう。

 それを友達に見られてしまったと。


 ぼくはゆかりさんの友達に向き直る。


「えっと、初めまして。ぼくは安良坂 正です。ゆかりさんのお友達かな?」


「はい、初めまして。あたし、森崎 奈々です。ゆかとは友達です」


 森崎と名乗ったゆかりさんの友達は、髪がショートカットの活発そうな女子だった。

 真剣な眼差しで、ぼくを見つめてきた。


「うん。ゆかりさん、不思議な力の事でいいんだよね?」


 ゆかりさんは頷いた。


「森崎さん。他の人には、この事を内緒にしてほしいのだけど」


 ぼくは森崎さんに、ぼくとゆかりさんが魔法を使える事を明かした。

 当然のごとく「信じられない」と驚かれたけど。


水よ(ウォーター)


 ぼくは、彼女の前で魔法を使って見せた。


「手品じゃないのよね…不思議…」


 目の前でゆらゆらと揺れる水を見て、納得してもらえたようだった。

 どうやら、ゆかりさんはバレない程度に学校で魔法を使っていたらしい。


 森崎さんは、ゆかりさんが最近何かおかしいと感じていたようだ。

 苦手な体育の授業でズルをしていたらしい。

 全くしょうがないな。


 後で上原くんにも言っておかないとね。

 今回の事は不可抗力だったみたいだし。





 次の日の日曜日。

 ぼくは、上原くんに直接会って今回の事を伝えた。


「朝から、家に訪ねてくるから何事かと思ったら…昨日、そんな事があったのか」


「ゆかりさんには怒らないでほしい。逃げるために必死だったと思うから」


「その事については怒らないがな」


 上原くんは腕を組んで考えている。

 魔法を使っちゃうと色々不味いんだよね。


「ゆかり、これから大丈夫かな…」


 来年は高校に行かないといけないからね。

 心配なのは分かる。

 学校でも、魔法を使っているとは思っていなかったものね。


「安良坂、教えてくれてありがとう。しおりに相談してみるよ」



 ***



 安良坂が帰り、自室で俺はしおりに電話していた。


『ゆかりちゃんが学校で魔法を使っちゃってるの?まあ、気持ちは分からなくもないけどね。突然魔法が使えるようになったら使いたくもなるだろうし…わたしも、幼い頃は魔法少女に憧れたものよ?』


 一世いっせい風靡ふうびした魔法少女ものがあったような。

 戦隊ものっぽくて、俺もあれは好きだったかも。


「魔法がバレたら、俺たちも疑われるだろうな」


『ゆかりちゃんも、流石に懲りたのではないかしら?もし魔法がバレたら異世界へ移住しちゃいましょ?』


 俺たちは、ゆかりの様子をしばらく見守る事にした。






 コンコンコン。


「お兄、ちょっといい?」


 神妙な顔をして、ゆかりが部屋に入ってきた。


「今まで、私…気楽に学校で魔法使ってたんだよね。まさかそんな大事になるなんて思ってなくて…ごめんなさい。友達が帰った後、正くんに真剣に叱られちゃった」


 彼女は頭を深く下げていた。

 思っていたより深く反省をしていたようだ。

 ゆかりの今後を心配をしていたが、これならば大丈夫だろう。










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