トラブル
*** 上原ゆかり視点
「ゆか、最近冷たい…彼氏が出来ると冷たくなるって本当だったんだ…」
親友の奈々が愚痴ってきた。
そういえば、最近奈々と遊んでいないな。
「ごめんね。今度の週末一緒にお出かけしよう?」
「まあでも、彼氏できて良かったのかもしれないよね~」
奈々には何でも話しているけど、魔法の事は流石に内緒だ。
最近、お兄の学校でやらかしちゃったし。
「あたしも彼氏欲しいなぁ」
いやいや、私たち受験生だよ?
今から彼氏はつくらないほうがいい…って彼氏がいる私が言う事じゃないよね。
「奈々も、高校になったら良い人がきっと出来るよ」
「そうだといいねー」
*
週末、私は奈々とショッピングモールに来ていた。
前はよくお兄と一緒に来たんだけどな。
二年前、絡まれた私を助けてくれたっけ。
何だか懐かしい。
「ゆかー。何だかぼーっとしてるね」
「ああ、ごめん…ちょっと考え事してた。えっと、コーヒー飲もうか?」
「うん。季節の新作出たって言ってたよね」
あのお店、人が結構並ぶんだよね。
奈々とは、あのクリームが沢山載った甘いコーヒー?(私はデザートだと思うんだけど)が大好きでよく来てたっけ。
私は普通のカフェラテを頼むことにしよう。
コーヒーショップに行こうと歩いていたら、大学生くらいの男子二人に声をかけられた。
「ねえ、お姉さんたち今ひま?一緒にお茶しない?」
金髪の男子と、ピアスを顔に付けている男子。
チャラそうな人だ。
正直苦手。
「私たち、忙しいので」
断って行こうとすると、腕を掴まれる。
「二人して、逃げなくても良いじゃん」
「なー」
ああ、もう面倒くさい。
何とか逃げられないかな。
( 『水よ』 )
無詠唱で水魔法を使う。
男たちの頭上に水を出現させた。
バシャッ!
「な、何だ?冷てえ?」
「??」
「奈々、逃げるわよ」
私は、奈々の腕を引いてその場から立ち去った。
私と奈々は、別のフロアへ移動していた。
流石にここまで追ってはこないだろう。
「はぁ…はぁ…あのさ…今の何?」
「え?」
「ゆかさ、何かしたでしょ。誤魔化しても無駄だからね。最近、何か変だなーとは思ってたんだよね」
「何の事?」
あれ?もしかしてバレた?
というかバレてた?
実は、学校で分からない程度に魔法を使っていたんだよね。
苦手な体育の授業とか。
奈々がじーっと私を睨んでいる。
「分かった、分かったから…正直に話すよ」
私は、観念して奈々と私の家に行く事にした。
*
「ただいまー」
家に帰ってきた。
奈々と一緒に。
今日は土曜日なので、お兄は異世界に行っているはず。
どうしようかな。
そうだ、正さんに相談しよう。
「奈々、ちょっと待ってて」
奈々をリビングのソファに座らせて正さんに電話する。
電話を鳴らすと、直ぐに正さんが電話に出た。
「正さん、あの私…どうしたら良いか分からなくて。とりあえず家に来てもらいたくて…」
『分かった』
申し訳ないけど、彼に来てもらう事にした。
『ピンポーン』
早っ!
魔法で転移してきたのかな。
ドアを開けると正さんが立っていた。
「一体どうしたの?何か様子が変だけど」
彼は心配そうな顔をしている。
「うん。とにかく家の中に入ってくれる?」
「お邪魔します。あれ?誰か居るの?」
まだ玄関先なのに、誰かが居るのを分かったみたい。
奈々が立ち上がって、正さんを見る。
早く到着したから驚いたのかもしれない。
「えっと、もしかしてゆかの彼氏?」
私はコクンと頷いた。
「えっと、えっとね…」
正さんに事情を話そうとするが、うまく言葉が出てこない。
奈々に正くんの事を紹介しなきゃとか、魔法の事も言わなきゃとか…頭の中がぐるぐるしていた。
「とりあえず、落ち着こうか。飲み物でも飲む?」
正さんがコーヒーを入れてくれる。
「凄い。彼氏がゆかの家を熟知してるとか…」
何だか、奈々に感心されてるけど正さんはお兄の友達だからね?
前から何回も家に来ているんだよ?
「はい。コーヒーで良かったかな。ミルクと砂糖も付けとくね」
「彼氏が有能すぎる…」
奈々はひたすら正さんに感心していた。




