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元の世界

「ゆかり、今日は何日だっけ?」


 朝、俺は妹のゆかりに訊いた。

 異世界に来ると曜日感覚が無くなる。

 カレンダーを持ってくれば良かったな。 

 

 学校の夏休みもいつまでもあるわけじゃない。

 期間が決められているのだ。

 一応、この世界にも暦らしきものはあるらしいが。


 ゆかりはリビングで寛いでいた。


「えっ?八月十日かな?」


 ゆかりはスマホを見ながら答える。

 スマホも電池がなくなると使えなるので、俺は電源を落としていた。

 たまに家に戻って充電したりしているのだけれど。

 当たり前だが、持っていてもカレンダーを見るだけでこちらでは使えない。


「ゆかり、少し早いけどそろそろ家に帰るか」


「えー?もうちょっと異世界に居たいな。やっと楽しくなってきたのに…」


 言葉が通じるようになったので楽しくなってきたのだろうな。

 小旅行の気分なのかもしれない。


「あっちは真夏なんだから、体を慣らさないといけないだろ。またいつでも来れるから」


 この異世界は、春の陽気で丁度良い気温なのだ。

 俺も、もう少し居たいところなのだが。


「分かった…もうちょっと居たかったな」


 ゆかりは頬を膨らませている。

 しおりは時々家に帰っているようだし、俺たちもそろそろ帰らないとな。

 親が居ないとはいえ、家にいないと不味いだろう。


時空間移動魔法パラレル



 魔法を発動し、一瞬で家に戻ってきた。


「あーあ。帰って来ちゃった。残念」


「まあまあ、またいつでも行けるんだし。がっかりする事でもないだろ」


「「暑っ!」」


 エアコンの効いていない部屋はかなり暑くなっていた。

 まだ朝だというのに。 

 

 無人だったから仕方ないのだけど。

 リビングが蒸し風呂のようだ。

 体から汗が噴き出る。


 ピッ!

 すかさずエアコンの電源を入れる。

 空気も入れ替えてないから、窓を開けたほうが良いか。


「テレビも全然見てないな。何か変わった事ないだろうな」


 スマホがあるから、情報を取ればいいのだけど。

 俺はテレビの電源を入れた。


 少し前に、俺たちが町で活躍していた映像が流れていた。

 コメンテータが色々と推測をしている。

 

 金髪美人に変身した俺が空中に浮かんでいる映像が映し出されてた。

 自分で言うのもかなりの美人だな。

 写真撮っておこうか。


『テレビ局で作ったトリック映像なのでは?』


『本物ですよ!私、現場に行きましたから!』


 面白おかしくするのが番組の趣旨なのだろう。

 テレビは娯楽なのだ。

 肯定派と否定派を言い争わせる。

 そんな番組もあるしな。


『そういえば、こういうのもあるのですが』


 女性キャスターが一本の動画を紹介する。

 近所のショッピングモールで、俺がゆかりを抱えて二階から一階へ飛んだ映像だった。


『これ、映画ですか?場所はショッピングモールですかね』


『いやいや、どう見ても素人が撮った映像ですよね。映像がぶれてますし』


 春ごろの映像だ。

 懐かしいな。

 しかし、テレビで流されてしまうとは。

 今時ネットの情報が、テレビに出るなんて珍しい事じゃない。


「お兄、家の電話に留守電入ってるよ。親が電話かけてきたんじゃ…」


 家の電話のモニターが、チカチカと光っていた。

 親はいつもスマホに電話かけてくるから、家の電話にはあまりかかってこない。

 スマホが通じないから、家の電話にかけてきたのか。


「何かメッセージ入ってるか?」


 俺たちは、電話に残っていたメッセージを聞くことにした。


ゆう?ゆかり?連絡取れないけど居るの?また電話するわね』


 国際電話でかけてきたであろう母親のメッセージが入っていた。


「たまに連絡くるんだよな。忘れた頃に」


「私たちもすっかり忘れてたね」


「仕方ない電話するか。えっと、アメリカは夜だっけ…今は朝の九時だから、夜の七時頃…ならかけても大丈夫か」


 時差があるから、電話するにも気を付けないといけない。

 仕事中に電話する訳にもいかないからな。

 家の電話から、海外に電話をかける。


『もしもし…ああ、母さん電話ごめんな。友達の家に出かけていて…』


 俺はゆかりと「友達の家に泊まりに行った」と嘘をついた。

 まさか異世界に行ったと言えるわけがない。

 というか信じてもらえないだろうしな。


 親が日本に帰ってくれば、説明のしようがあると思うのだけど。

 まだしばらく帰って来ないだろう。


『ゆかりと電話を代わりたい?分かったよ』


「ゆかり、電話代わってって。母さんだ」


 俺は受話器をゆかりに手渡した。

 ゆかりは母さんと電話で話し始めた。

 国際電話の料金は結構高くて、長時間の通話は出来ない。


 久しぶりに、母親と話すゆかりは嬉しそうだった。



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