表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/65

言語翻訳の魔法

「言語翻訳の魔法を知っているかですって?」


 俺たちは家に帰ってしおりに訊いてみた。

 彼女はリビングで寛いでお茶を飲んでいた。


「聞いた事ないけど…あるのかしら」


 しおりはアイテムボックスから、分厚い魔法書を取り出してテーブルの上に載せる。

 よくみると付箋が沢山付けられているな。

 ぱらぱらとページをめくるしおり。


「魔法薬、補助魔法、翻訳?…んー見つからないわね。ラノベとかだと、教会とかで力のある魔術師が、何らかの魔法をかけるのを読んだ事があるけど…」


「「それだ!」」


「ええ?でもそれは本の中でのお話よ?実際にあるとは限らないのだし」


「ゆかりを連れて、教会へ行ってみよう。何かしらヒントがあるかもしれない」



      *



「お兄、私は何でこんな所に連れて来られたのかな?」


 ゆかりがジト目で俺を見ている。

 俺たちは、転移魔法を使って教会の目の前に居た。

 善は急げという事で、ゆかりに説明もしないで強引に連れてきてしまった。


「すまん。先に言っておくべきだったな。この世界に来て色々と不便だろう?教会に来れば何か解決策があると思ってだな…」


 はぁー。

 ゆかりはため息をついた。


「言葉が通じないって事?確かに不便だけど、何とか生活できるから大丈夫なのに」


「てっきり、説明をしてから連れてきたのだと思ったわ」


「お兄のいつもの事ですよ。思ったら考えなしに行動するところとか。振り回される方はたまったものじゃないけど」




「あの、教会に何か御用でしょうか」


 教会の入口で話してたら、教会のドアが開いた。

 黒いスーツ姿のココアさんだ。

 この間結婚式でお世話になった人だった。



      *



 ココアさんに事情を話し、神官に取り次いでもらった。


 結婚式でお世話になった神父ではなく、神官。

 どうやらこの教会で、一番上の立場の人のようだ。

 着ている服も細かい刺繍が入っていて豪華な感じがする。


「残念ながら、そのような魔法は無いと思われます。聞いた事もありません。みな努力して言語を習得していますからね。

 ……そうだ。もしよろしかったら、祭壇で女神さまに祈ってみてはいかがでしょうか?」


「祈る?」


「はい。貴方がたは、女神さまと少なからず縁がおありのようなので、願い事を聞いて頂けるかもしれませんよ」


 安良坂は、女神は俺たちを見ているらしいと言っていた。

 今も俺たちの事を見ているのだろうか。


 リリア・ホワイトの女神像が置かれている祭壇の前に行き、俺たちはしばらく祈りを捧げた。

 程なくして、金髪の美女が現れる。


『わたくしを呼びましたか?』


 鈴の音ような声が響き渡る。

 女神リリア・ホワイトが目の前に立っていた。


「まさか、本当に来るとは思わなかったな」


「め、女神さま!ほ、本当に?」


 本当に現れるとは思っていなかったのだろう。

 神官は腰を抜かして驚いている。

 立てなくなってしまったようだ。


『一応呼ばれましたので。貴方の妹、ゆかりさんでしたか。言葉が解るようになればいいのですね?せっかくなので、他に魔法が使えるようにしましょうか』


 頼んでもいないのに、出血大サービスだ。

 女神はゆかりの両手を取り包み込む。

 次の瞬間、ゆかりは柔らかい光に包まれていた。


「何これ、体が…温かい」


『これで、言葉が解るようになったはずです。貴方たちには、色々と迷惑をかけましたからね。何かあったらまた呼んでくれて構いませんよ』


「女神さま、ありがとうございます!」


 ゆかりは頭を下げた。


「ああ…目の前に本当にリリア・ホワイトさまが…」


 神官は夢を見ているような、うつろな表情を浮かべていた。


「あっ!本当に言葉が解る!凄い」


「良かったね」


 ゆかりは嬉しさのあまり飛び跳ねていて、その様子を安良坂は穏やかに見つめている。

 女神は微笑んで、いつの間にか姿が消えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ