カップル?
チュン、チュン。
雀の鳴き声が聞こえた。
朝になったようだ。
「黒田さんおはよう」
「えっ?あっ…ごめんなさい。わたしってずっと寝ちゃってたのね」
昨夜は魔物が出てこなかったようで、しばらくぶりにぐっすり眠れた。
ベッドから体を起こしてカーテンを開ける。
窓を開けると、爽やかな空気が入ってきた。
「十二時で起こしてくれて良かったのに」
彼女は毛布で顔を隠している。
恥ずかしがっているみたいだ。
「まだ眠たそうだったし、何だか可哀そうになってさ」
いつもの凛とした感じじゃない黒田さん可愛い。
こっちが素なのだろうか。
「上原くん…笑ってる」
「ああ、悪い。何だか可愛くて」
「か、可愛い!?」
コロコロと表情が変わる彼女。
見ていて飽きないな。
俺はどうやら黒田さんの事が…好きみたいだ。
「今から家に帰って…」
「一緒に学校へ行かないか?」
「え?」
「朝ごはん一緒に食べよう?」
「そこまでお世話になるのも、わ、悪いし…」
「そのくらい、平気だよ」
食パンをトースターで焼いて、マーガリンを塗ってハムを乗せる。
黒田さんと一緒に同じ食パンを食べた。
飲み物はホットコーヒーだ。
コーヒーの良い香りがダイニングに漂う。
「はいどうぞ」
「あ、ありがとう」
彼女はクリームとお砂糖をコーヒーに入れた。
苦いのが苦手なのかな?
黒田さんが家に居るのが何だか不思議で。
胸がポカポカしてきた。
「お兄、にやにやしていて気持ち悪い」
「そんな顔してるか?」
「うん、してるわね」
「原因はまあ、言わなくても分かるんだけどね」
ゆかりが黒田さんをチラリと見る。
黒田さんの頬が赤くなった。
「二人とも食べて、早く学校行ってくれないかなあ」
「お前も学校だろ?」
「カギ閉めるし、今日は少し遅れても平気だから…」
「そうか。カギ閉め頼んだ」
「ごめんね。ゆかりちゃん」
「いえいえ、どういたしまして」
そういえば以前も一緒に学校へ行った事あったな。
前は心配で付き添った感じだったけど。
「行ってきます」
「ご馳走様でした」
「行ってらっしゃい」
ゆかりが手を振った。
俺と黒田さんは一緒に歩き出していた。
「せっかくだから手を繋がないか?」
「え?どうしたの急に…いいけど。こ、恋人同士に思われるかもよ?」
「良いよ別に」
「ふえっ?」
彼女の顔が真っ赤になっている。
俺はそんな彼女の手を優しく握った。
*
「昨日は久々に休めたね~」
昼休み、いつもの様に安良坂が教室に遊びに来ていた。
「毎日こうだと良いんだけどな」
「…そうね」
「あれ?何だか二人変じゃない?」
「変って何がだ」
「うーん。よく分かんないけど」
安良坂は首を傾げている。
「黒田さんがしおらしいし…二人が仲良さそう。仲良いのはいつもか」
「黒田さんは普段と変わらないと思うが」
「そ、そうよ。普段通りよ。確かに上原くんがいつもより頼もしい気がするけど…」
黒田さんは照れているみたいだ。
「ふうん、そっか。やっとカップルになったんだね〜」
「「カップルじゃ無いし」」
「否定しなくても。近いうちになるだろうなって思ってたから。じゃ、邪魔者は退散するとしよう。バイバイー」
安良坂は自分のクラスに戻ったようだ。
付き合ってもいないのに誤解されてしまった。
「上原くん、わたしの勘違いじゃなければ…わたしの事好き?」
「ほえっ?」
思わず変な声を出してしまった。
「えっと、今答えなきゃダメか?俺の家とかで良ければ」
今は学校の教室にいる。
みんな聞いてないふりして、結構俺たちの会話を聞いている気がするんだよな。
遠足の後からよく揶揄われるし。
「彼女大事にしなねー」なんて女子から言われたりした。
「人の目があるから恥ずかしいんだ。一応…」
「そ、そうね。ごめんなさい」
ていうか、これって肯定しているのと同意な気がするのだが?
彼女は恥ずかしそうに目を伏せていた。




