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奴らに捕まった

 *** 黒田しおり視点


「有難うございました~」


 家の近くのコンビニから出たところで、クラスメートの二人の男子に声をかけられた。

 ペットボトルのお茶とスナック菓子を買って出てきたところだった。


「こんばんは。黒田さんだっけ?」


 麻木くんと真崎くん。

 クラスでも怖がっている人が多い。

 主に虐められていたのは上原くんで、他の人は見ていただけなのだけど。

 毎日、蹴ったり殴ったり、恐喝してたりしてたら怖がられるのも当然だわ。


「麻木くんと真崎くんよね。何かわたしに用ですか?」


「そんな怖い顔して睨まないでよ。何もしないからさ」


 怖い。

 自然と後ろへ後ずさった。

 逃げようと思えば逃げられるわね。


「上原を捕まえたいんだよね。協力してくんない?」


 前回痛い目をみただろうに、全く懲りていない様子だった。

 考えてみれば、ずっと上原くんは彼らに虐められていたのよね。

 急に立場が逆転しても、納得が出来ないのかもしれない。


「黒田さん?」


 ツインテールの黒髪の少女ゆかりちゃんが話しかけてきた。

 偶然にも通りかかったみたい。

 タイミングが悪いわ。


「上原の妹も来たとか…運が良いなオレたち」


 麻木くんたちは薄ら笑っている。

 わたしとゆかりちゃんは、麻木くんたちに捕まってしまった。

 しばらく歩かされ見慣れた場所へたどり着く。

 日が沈み、辺りはすっかり暗くなっている。


 ギイー。


 ドアを開けて廃屋に入る。

 廃屋は今にも崩れてきそうだ。

 小さい一軒家は数年前まで誰かが住んでいたらしいのだけど。

 学校で危険だから近づいてはいけないと言われている所なのだ。


 外で待ち合わせしたことはあったけど、室中に入るのは初めてだわ。

 歩くと床がギシギシと音を立てる。

 あまり長く居たくないわね。




 ***




「ゆかり遅いな…」


 壁時計を見ると、19時を過ぎていた。

 近くのコンビニに行ってくると言って、一時間は経っている。

 スマホで電話をかけようとして見ると、メッセージが届いているのに気が付いた。

 ゆかりではなく黒田さんからだった。


「はいおく」


 短い言葉が表示されていた。

 これは何だろう?


「ルルルル……」


 突然、スマホに知らない番号から電話がかかってきた。


「上原か?黒田さんとお前の妹を捕まえてある。一人で学校裏の廃屋まで来い。今すぐにだ」


 ガチャ!


 真崎からだった。

 一方的に言われて、電話を切られる。

 やってる事が犯罪者なのだが?

 俺は直ぐに指定された場所に向かうことにした。


 ゆかりは捕まっても分かるけど黒田さんが一緒なのか。

 魔法で簡単に逃げられると思うのだけど。

 何か理由があるのだろうか?




      *




 廃屋に到着した。

 ドアを開けて、室内に入る。


 ギシッ…ギシッ…。


 日が沈み室内は薄暗く、歩くと床が沈み込む。

 懐中電灯で室内を照らすと、黒田さんとゆかりが麻木の隣に座っていた。

 手を縛られているようだ。


 ここまでする必要があるのか?


「真崎来たぞ。一体何をするつもりだ」


「上原ー、ストレス発散にちょっとサンドバックになれよ。逆らったら、この二人がどうなるか分かってるな?」


 真崎が言った。

 麻木はナイフをちらつかせる。

 逆らったら、黒田さんと妹に危害を加えるつもりなのか。


「以前の俺なら大人しく殴られていただろうが…二人を放してくれないだろうか?」


「は?何言ってんのお前。放す訳ないだろうが!」


 真崎は俺に殴りかかってきた。

 一応穏便に済まそうとかと思ったのだが。


「じゃあ、いいか」


 真崎をかわして、足で尻を蹴とばした。

 外で拾った小石を麻木の手に投げつける。


「痛って!何だ??」


 麻木は持っていたナイフを床に落とした。


『風よ』


 風魔法で室内の埃を巻き上げる。

 これでしばらく目が開かなくなるはずだ。

 その隙に、黒田さんとゆかりを連れて廃屋から逃げ出した。



      *



 夜の公園に来ていた。

 静かで俺たちの他に誰も居ない。

 彼女たちの手首の縄を解く。

 少し縄の跡が付いてしまったようだ。


「ここまでくれば大丈夫か。ゆかり怖くなかったか?」


 無言でゆかりは俺に抱き着いてきた。

 よっぽど怖かったらしい。


「ねえ、わたしには言ってくれないの?」


「あー黒田さんは平気だったか?」


 何故か黒田さんも俺に抱き着いてきた。


「あの?黒田さん?」


「すっごく怖かったんだから…助けてくれてありがとう」


「あのー魔法を使えば逃げられたのでは?」


 ゆかりがいるとはいえ、ゆかりは魔法の事は知っているから今更だ。

 麻木たちにバレないように、魔法を使って逃げることは出来なかったのだろうか?


「だって、貴方に助けてもらいたかったんだもん」


 パチン。


 俺は黒田さんに軽くデコピンをした。


「上原くん何するのよ。痛いじゃない」


「はぁ~。どれだけ人が心配したと思ってるんだ。怪我したら大事おおごとなんだからな。一応女子なんだから」


「ごめんなさい」


「分かれば良いよ」


 とは言え、アイツらには困ったもんだ。

 何か対策を考えないとな。

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