表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/65

ゆかりの友達

「ただいま~」


 俺は遠足から帰ってきた。

 体力的に疲れていないはずなのに、どっと疲れたのは精神的な疲れかな。

 慣れないバスでの移動や集団行動。


「頼まれていた物、買って来たぞ。これで良かったのか?」


「わーい。ありがとう!」


 玄関先で、買ってきた物を渡した。

 実はあの後、道の駅には寄れなかったのだが、高速道路のサービスエリアで妹に言われた物を見つけたのだ。


 キーホルダーの種類が色々あって、よく分からなくて…結局、黒田さんに選んでもらっていたけど。

 キテ〇―ちゃんのキーホルダーとか、色々なキャラのキーホルダーがあったしな。

 ビニール袋の中から小さい包みを手渡す。

 ゆかりは直ぐに包みを開封した。


「わぁ。かわいいー」


「良かった。後で黒田さんにお礼を言っておけよ?」


「黒田さん?」


「選んでくれたのは彼女だからな」


「ふうん、そうなんだ…」


 あれ、落ち込んでないか?

 どうしたのだろう。



「ゆかー」


 奥の部屋の方から女性の声が聞こえた。


「誰か来ているのか?」


「ああ、ごめん。友達がどうしても家に来たいってきかなくて…」


「全く、しょうがないな。奈々は…」


 ぶつぶつ言いながら、ゆかりは自室に歩いて行った。



 *** 上原ゆかり視点



 今から、数時間前の事。

 お昼休みに、学校のベランダで奈々と会話していると。

 奈々が突然言い出した。


「ねえ、今日ゆかの家に遊びに行っても良い?」


「え?」


 多分、お兄を見てみたいだけなのだろうけど。


「なあに、怖い顔して。何もしないから…顔を見るだけだよ?だってカッコいいって聞いたら気になるじゃない」


 お兄を自慢したい気持ちと見せたくない気持ち。

 複雑な思いが入り交じっていた。


 特に断る理由がないんだよね。

 何で今日なんだろう。

 今日はお兄は遠足で、疲れて帰ってくるって言うのに。


 迷惑じゃないかな。

 結局、断れなくて奈々を家に招いた。

 彼女は、しばらく私の部屋でマンガを読んでいたのだけど。



 カチャ。

 ドアが開く音がした。

 お兄が帰ってきた。


「お兄さんが帰ってきたの?」


「奈々は待ってて」


 私は制止する。

 疲れているだろうに、本当は会わせたくないのだけど。

 仕方ないな。



 ***



 コンコンコン。

 俺はゆかりの部屋のドアを叩いた。


「ゆかり?ちょっといいか?」


「えっ?何?」


「お土産買ってきたんだ。良かったら友達に食べて貰ったらどうかな」


 俺はドア越しにゆかりに話しかけた。

 俺はクッキーと、缶のお茶を二つトレーに乗せて運んでいた。


 ドアがゆっくり開かれる。

 部屋にはゆかりと、ゆかりの友人の女性が座っていた。

 二人ともセーラー服の制服姿だ。

 少し暑いのか、上のボタンを外していた。


「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」


 俺は、お菓子と飲み物をテーブルに丁寧に置いた。


「お邪魔しています。お兄様ですか、初めまして。あたし、ゆかりの友達の森崎奈々って言います」


「いつも妹のゆかりがお世話になってるね。兄のゆうです」


 自己紹介されて、少し戸惑ったが丁寧に言葉を返す。

 森崎さんに、じーっと顔を見つめられた。


「ありがとね。お兄、疲れてるだろうから戻りなよ」


「ああ…」


 ゆかりに部屋から出るように促された。

 彼女に見られていたけど、一体何だったんだろう。

 まあいいか。


 パタンとドアを閉める。


「「きゃーっ!!」」


 女性の声がした。

 森崎さんだろうか。


「……」

「……」


 何か会話をしているようだが、聞き取れない。

 女子同士、アイドルの話でもしているのだろうか。



 *** 再び、上原ゆかり視点



「お兄さん?想像していた人とだいぶ違うのだけど!」


 奈々が興奮して、声が高くなっていた。


「カッコいいって言うから、イケメンっぽい人なのかなって…めっちゃ優しそうじゃない。見た目割と普通っぽいのに、落ち着いた雰囲気あるわぁ…」


「そうなんだ…」


 お兄が褒められて嬉しい様な…複雑な気分だわ。


「あたしはゆかを応援するからね!」


「え?」


 何を言ってるの?奈々ってば。


「彼女が居ても、まだ大丈夫よ。こっちの方が若いんだし。いくらでも挽回ばんかいできるわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ