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悪役令嬢がいじめてこないのでストーリーが進まない! 〜もしかして私は、悪役令嬢がヒロインの物語で断罪される元ヒロインですか!?〜  作者: うみの もずく
1年1学期

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15話:第一王子との出会い

「いったぁ……っ!?」

「アリナちゃん、大丈夫!?」


 翌日、私は強烈な筋肉痛に見舞われていた。回復魔法をかけてみるが、全く手応えがない。どうやら「怪我」ではない生体反応は、魔法の治癒対象外らしい。


「あ、足が……!」

 カレンに支えられ、産まれたての子鹿のようにプルプルと震える足でなんとか寮の階段を降り、教室へと向かった。

 


 その日の放課後。毎週水曜日は部活が休みのため、私は生徒会室を訪れていた。

「リリアは部活、どこにしたの?」

「私は生徒会一本よ」


 聞けば、公務が忙しいリリアとアラン王子、それに面倒くさがりなライオス様は生徒会のみ。ハルト様はサッカー部に入ったそうだ。


「ジーク様、筋肉痛とか大丈夫ですか……?」

 昨日、一緒に5キロを完走したはずのジーク様は、涼しい顔で書類をめくっている。

「いや、特にはないな。日課の鍛錬に比べれば、あの程度は準備運動のようなものだ」

「さすがですね……」


 やはり日頃の積み重ねが違う。私も頑張らなきゃなぁと、生徒会室の高級なお菓子を頬張りながら、密かに決意を新たにした。

 

 *

 

 翌日の部活動。演習場に衝撃音が響いていた。


 ドドドドドド――ッ!


(満遍なく、均一に……揺らぎをなくして……!)


 ドドドドドド――パリンッ!


「うぐっ……!」

 ヴォルク様の集中攻撃を防ぐ訓練中、わずかな魔力の乱れを突かれ、防御壁が砕け散った。氷の礫が容赦なく身体を叩く。


「視界の情報に左右されるな。魔力の密度を一定に保て」

「はい!」

 ヴォルク様は固有スキルの「クリティカル」で弱点を見抜く力を持っている。少しでも壁が薄くなれば、そこを確実に撃ち抜かれるのだ。


「ヒーラーは最後まで生き残るのが鉄則だ。防御は徹底的に固めろ」

「分かりました!」


 次は私の攻撃の番だ。ヴォルク様の防御は、氷の壁を風が覆う二重構造。

「行きます!」

 私はありったけの手数で魔法を叩き込む。光属性は一撃が軽いため、手数で圧倒しろ――それが『試練の間』で出会った師匠の教えだ。


 けれど、5分間の制限時間が過ぎても、彼の鉄壁が揺らぐことは一度もなかった。

 

 *

 

 練習が終わり、解散となった後のこと。寮生の子と帰路についていた私は、あることに気づいた。

「あ、部屋の鍵忘れた……!」

 部活前にロッカーへ入れたままだった。私は急いで部室へ引き返す。


「失礼します……」

 部室の扉を開けると、そこには浮世離れした絶世の美男子がいた。美しいブロンドの長髪を後ろで緩く束ね、優雅な微笑みを浮かべている。


「おや、忘れ物かな?」

 その顔立ちに、私は既視感を覚えた。

「……師匠!?」

(いや、師匠にしては若すぎる……若返りの術!?)

 驚いて固まる私に、彼は不思議そうに首を傾げた。


「師匠? もしかして、エドマンド叔父上に会ったことがあるのかい?」

「エドマンド……?」

「彼は雷を扱わなかったかな?」

「は、はい! 使っていました!」

「なら、その人は私の叔父だ。ヴォルクも同じ師に鍛えられたんだよ」


 彼が奥に声をかけると、いつの間にかそこにいたヴォルク様が姿を現した。

「君の妹弟子、ということになるね」

「……やはりか」

 ヴォルク様が低く呟く。

「どこで出会った」

「ええと、洞窟の中で……」


(『試練の間』って普通に言っていいのかな……?)

 言葉を濁す私をヴォルク様が訝しげに見るが、美青年が助け船を出してくれた。

「まあまあ。叔父上のことだ、どこに現れてもおかしくないさ。……自己紹介がまだだったね。私はユリウス・ランカスターだ」


(ランカスター!? ということは、この方が第一王子殿下!?そして師匠って王弟陛下だったの!?)

 私は慌てて跪こうとしたが、殿下はにこやかにそれを制した。

「学園では無礼講だ。殿下なんて呼ばなくていいよ、よろしくね、聖女様」

「改めまして、ヴィリアリナ・イースティアと申します」


 カーテシーで挨拶を返す。彼の頭上には魅了度メーターが見えるが、数値は「0」。王族への精神魔法は断罪フラグだ。絶対に魅了をかけないよう気を引き締める。


(第一王子、小説版には登場してたけど……全員のルートをクリアすると解放される、隠しキャラだ……!)

 ステータスが見えないことで少なくともレベル60以上と分かる彼は、作中でも最強格の存在だったはずだ。


「ヴォルクが君の魔法を褒めていたよ」

「え!? そうなんですか!?」

 意外な言葉に、思わずヴォルク様を凝視する。

「……光属性の練度は悪くない。攻撃力も高く、よく練り上げられている。だが、聖属性はまだまだだ」

 ヴォルク様は不愛想に、けれど確かな評価を口にした。

「レベルが15以上も離れた相手との一騎打ちで、一撃を入れるなんて中々だよ」


(……レベルが15以上離れてる?)

 ユリウス殿下がサラリと言った言葉に耳を疑った。ということは、ヴォルク様のレベルは――


「ヴォルクはレベル68だよ」

「ええええ!?」

 ぶっ壊れ性能すぎる。さらに固有スキルのクリティカル持ち。


(なんでこの人がゲームにも小説にも出てこなかったの!?)


 小説には登場した第一王子に引き換え、ヴォルク様はゲームにも小説にも一切登場しない。

何故これほどの逸材が登場しなかったのか。不思議でならないが、私の脳内では魔王戦のメンバーリストが高速で書き換えられていく。


(ヴォルク様、あなたは絶対に魔王討伐メンバーに入ってもらいます……!)

第一王子のイメージは、えるさんの「原神 ダインスレイヴ(長髪)」です。

性格とかは一切関係なく、ビジュアルだけです…(原神詳しくなくて…すみません)

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