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悪役令嬢がいじめてこないのでストーリーが進まない! 〜もしかして私は、悪役令嬢がヒロインの物語で断罪される元ヒロインですか!?〜  作者: うみの もずく
1年1学期

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11話:魔道騎士部への勧誘と明かされた名

 学園には部活もあるようで、今日から1週間の見学期間が始まった。生徒会とは兼任しても良いということなので、レベリングできそうな部活を選びたい。

 

「アリナちゃん、どこの部活に入るか決めてるの?」

「うーん、色々見て回ろうかなって思ってるけど」

「でもアリナちゃんならきっと、『魔道騎士部』からお声がかかるよ!」

「なにそれ、強そうな名前」

「知らないの? 一番有名な部で、第一王子殿下も所属してるんだよ!魔法の訓練をして、実戦形式の魔物討伐にも参加したりするの。先輩たちも強くてカッコいいから超人気なんだけど、厳しい入部試験があるんだって……」


 部活は高等部と大学部の合同だそうで、現在は大学部に通っている第一王子も在籍しているらしい。魔物討伐に参加できるのなら、公認でレベリングができる絶好の機会だ。


「カレンはどこに行くの?」

「私は吹奏楽とか楽しそうかなって。アリナちゃん、明日見学の感想教えてね!」

「うん、カレンもね!」

 

 *

 

 放課後。先生に呼び出されて少し出遅れてしまった私が部活棟に向かうと、入り口はすでに新入生でごった返しており、中に入るのも一苦労だった。

 人混みを避け、裏口から回ってまだ人の少ない奥の方から見ようと足を踏み入れた、その時。


「危なーい!!」

 鋭い叫び声と共に、視界の端から巨大な炎の球が飛んできた。

 咄嗟に光の防御壁を張り、身を屈める。


(いきなり何!?)

 驚いて火球が飛んできた方向を睨み据えると、そこにはメガネにお下げ髪の女性が立っていた。


「お? 防御壁? この反応速度……やりますね! しかも光属性ですか!」

 女性はニコニコと近づいてくる。制服を着ているから学生だろうが、敵意はなさそうではあるが……念のため壁を維持したまま警戒していると、彼女はぐいぐいと距離を詰めてきた。


「そんなに警戒しないでください! 私、3年のカルティナです。魔道騎士部へようこそ!」

「え、あ、はい……」

「さあさあ、こっちへ!」

 有無を言わさぬ勢いで手を引かれ、連れて行かれたのは体育館程の広さの屋内演習場だった。


「ヴォルクセンパーイ! 有望すぎる新入生、連れてきましたよ!!」

 カルティナ様が、的に向かって攻撃魔法を放っていた人物に声をかける。

 銀髪、長身、見覚えのある洗練された背格好。振り向いたその人物を見て、私は目を見開いた。


「シルベール様!?」

「…………」

 そこにいたのは、やはり彼だった。

「あれ? 先輩、お知り合いですか? さすがです、もう勧誘済みでしたか!」

 カルティナ様が私たちを見比べる。

「いや、そういうわけではないんだが。……ヴォルク・シルベールだ。よろしく」

「ヴィリアリナ・イースティアです。こちらこそ……」


(ヴォルク様……。名前、やっと聞けた)

 今まで頑なに名乗らなかった名前をやっと聞けた。3年生のカルティナ様より先輩ということは、大学部の生徒ということか。


「先輩が勧誘済みじゃないってことは、私の手柄でいいですね?」

 カルティナ様が私の肩をがっしり掴んで、ヴォルク様に詰め寄る。

「ああ。好きにしろ」

「やった! これで今年の新人王は私のものです!」

「……ちゃんとヴィリアリナ嬢の許可は取ったのか」

「え、」

 ヴォルク様の冷ややかな指摘に、カルティナ様がぎくっと目を泳がせた。


「何も言わずに引きずってきたんじゃないだろうな」

「え、ええ、ちゃんと熱烈なプレゼンを……誘拐じゃなくて……ねぇ、ヴィリちゃん? 魔道騎士部、入るよね……?」

 捨てられた子犬のような目で見つめられれば、断る理由もない。そもそもレベリングには最適の場所なのだ。

「は、はい。入部します」

「やったー! 改めて、私はカルティナ・リベルスター。カルティナ先輩って呼んで!」

 リベルスターといえば侯爵家だ。そんな高位貴族を先輩呼びにはできない。

「ヴィリアリナ・イースティアです。よろしくお願いします、カルティナ様」

「だーめ! 『せ・ん・ぱ・い』!」

 グイッと顔を近づけられ、凄まじい圧に押される。

「……カルティナ、せんぱい?」

「よろしい!」

 先輩と呼べば、彼女は花が咲くような笑顔を見せた。


 こうして私は、期せずしてヴォルク様のいる「魔道騎士部」への入部を決めたのだった。

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