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マリア・フォン・ゴルディナー大勝利! 希望の未来へレディー・ゴー!!! 8


 新武装、飛翔魔爪(フライエルルナーゲル)は多数の武装を積み込んだ特殊兵装だ。


 まず、有線による遠隔操作。さらに腕部の前半分には獅子(ローヴェ)でも使用している回転式(リボルビング・)武装腕部(アームズ・)機構(システム)を搭載し、三つのウェポンコンテナを装備できる。工数削減のため、コンテナの規格は壱式獅子(アインス・ローヴェ)のものと共通だ。ちなみにウェポンコンテナ数は三つでも、壱式獅子のような120度間隔ではなく、薔薇獅子(ローズ・ローヴェ)と同じ90度間隔となっている。コンテナを搭載しない部分は固定兵装として、ビームソードやビームキャノンを搭載するためだ。


補足(コンプリメント):現在搭載しているウェポンコンテナは、全てマイクロミサイルですね》


 他のコンテナだと機体サイズに合わなくて敵に届かなかったり、固定兵装と似た役割だったりするんだよな。その辺を考えて守護薔薇(シュッツ・ローズ)を届けてくれた奴は全部マイクロミサイルのコンテナにしたんだろう。試作機段階ということもあり、守護薔薇用に開発したウェポンコンテナは今のところ存在しないしな。


 そして腕の後ろ半分、回転しない部分には推進器がある他、先ほども伝えた通り、雌型マリウス・ジェネレーターを搭載している。ジェネレーター直結型のビーム兵装やプラズマ・コーティング・クローは破壊力抜群だ。お嬢様(フロイライン)シリーズにも引けを取らない。ちなみに腕にジェネレーターを搭載しているのは、変形機構のせいで雄型マリウス・ジェネレーターを搭載するスペースがないという都合もある。


 そしてこの飛翔魔爪(フライエルルナーゲル)は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 再び変形! 長座体前屈モォード! そもそもなんでこんな変態的な変形機構を採用したのか、これがワイの答えや!!



 両腕と両脚、4つの飛翔魔爪(フライエルルナーゲル)を同時に発射した。



 実はこれ、最初は普通に腕だけに搭載する予定だったんだよね。そしたらリアやアリスが「足に搭載してもいいんじゃないっスかね」とか「射出中に壊される場合を想定して、足と腕を入れ替えることが出来るようにするのはどうでしょうか?」とか言い出して、いやそんなの出来るわけないだろ、って思ったんだよね。……俺がイ(ピー)ジスガ(ピー)ダムの変形方法を思い出すまでは。


 ウェポンコンテナを四つ搭載するのではなく、一つを固定兵装にしたのもこれが理由だ。固定兵装部分には、脚になった場合用の足甲部が取り付けられてもいるのだ。


 手と足の入れ替え方法も簡単な理屈で、胴体部分だけを分離して、手足をつないだ交錯点を回転してしまえばいいじゃないかということになった。回転すると左手が右手に移動したりもするんで、マニピュレーターの構造にも手を加え、親指と小指の位置が切り替わるようにもなっている。


 両手が右手の男ごっこも出来るぞ!! ……あれ、両手が左手だったっけ?


 ―――どっちでもいいですわよそんなの。


 よくねえよ! 間違えたら炎上しちまうだろ!!


確信(シュア):しませんよ》


 お、お前ドライコイン……! 普段多用してる感想(レビュー)じゃなく滅多に使わない確信(シュア)を使ってまで断言するのか。


 くそっ、まあいい。炎上したら覚えてろよ!?


 という訳で、この変形方法が採用されることになったのだ! 実際に変形すると、飛翔魔爪(フライエルルナーゲル)誘導用の推進器が全部後方を向くので、この方法が一番理にかなってるんだよな……。


 さて、先ほどは腕一本飛ばしただけで、その進行方向は壊滅したわけだ。それがまさかの四本同時発射である。さて、何分目で死ぬかなぁ~~~?


   ●


 ル・ペイジヴォント軍が浮足立ったのを、リギアは見逃さなかった。薔薇獅子(ローズ・ローヴェ)を猛攻していた青い機体は爆散し、さらにマリアが現場指揮官機と見抜いた緑の機体も破壊されれば、当然だが統率が乱れる。だが、敵軍の旗頭、ル・ペイジヴォントの王女たるエリザベートはいまだ健在。この混乱は即座に収まるだろう。


 さらに、先ほどまでとは目的が異なる。これまでは孤立したマリアの元へと向かうことが急務であり、そこまでの道を塞がれていた。だが、マリアはどうにか新型機に乗り換え、窮地を既に脱している。ならば、次の狙いは―――。


 不知恐怖(ナインフリット)が突撃する。狙いは先ほどまで三機編成で支援砲撃に徹していた機体。中央にいた緑の指揮官機を強襲され、体勢を崩した白と黄色の二機。


 気付かれた。リギアに向けて射撃を飛ばしてきたので、移動しながら黒の雌型騎操剣(シュヴァリエ)を蹴り飛ばして射線に入れてやる。ビームが騎操剣に直撃し、即座に爆発する。


 味方を誤射してしまったことを理解した白い機体がビクリと腕を振るわせ、その手に持つライフルの銃口を不知恐怖(ナインフリット)がいるはずがない真上へと向けてしまう。無意識の動きだろう。バルドル鋼、人の意思を機体に反映させる金属は、機体を思った通りに()()()()()()


 距離を詰め切った。リギアから見て左にいる白い機体、その右側に回り込む。白い機体で、黄色の機体の射線を遮るためだ。


 銃器を持つ腕を掴み上げ、右腕のコンテナに搭載されたプラズマ・パイルバンカーを胴体のコクピットがありそうな部分へと勘で叩き込んだ。回転式(リボルビング・)武装腕部(アームズ・)機構(システム)を介して同一箇所への三連発。だが堅い。抜けない。


『なら、もう一巡!』


 回転式(リボルビング・)武装腕部(アームズ・)機構(システム)がさらに回る。四発目でわずかにヒビが入る。五発目で装甲を砕き割る。六発目で


『待っぶぴょ』


 一瞬何かが聞こえたが、機体内部へと確かに撃ち込まれた。掴んだ腕からは敵機の脱力が伝わる。勘は当たったらしい。


 残り一機は、と白い機体を盾に視線を移すと、こちらへと銃口を向けたところで、



『ワッショーイっス!!!』



 始硬剣(カレトヴルッフ)()(ヴェンデルン)が、大剣で黄色い機体を突き刺していた。リギアには見覚えのない武器であったが、エルバが操っていた青い機体が振るっていた大剣だった。飛んできたのを拾ったのだ。


『狙い通りっス! この位置ならコクピットをぶっ刺しつつ動力には当たらないはずっスからね! 設計者なめんなよっス!!』


 剣を引き抜こうとすると、機体から出てきた刀身はべっとりと赤黒い液体で濡れており、


『うわきったね!? 戻しとこっス……』


 再びズブズブと黄色の機体に刀身が押し戻されていった。


『お、センパイはそれ生け捕りっスか? 無傷っス?』


『いや、おそらく死んでるはずだ。コクピット部分だけを砕いている』


『ほぼ無傷じゃないっスか! いいっスね~。大量っス。……ところで、さっき言ってたマリアセンパイのことっスけど、二人には守護薔薇(シュッツ・ローズ)に飛び乗ったのが見えてたんスね』


『ああ』


 マリアのいる方向では、赤い薔薇の蕾のような構造体から4本の()()が延び、触手の先端からはビームが放たれミサイルがばら撒かれ、敵集団を恐ろしい勢いで蹂躙しているのが見える。時おり薔薇の蕾、『本体』から凄まじい射程距離のビーム砲撃が放たれ、敵機はおろか、離れた位置にいる敵艦までをも一撃で撃沈していた。


『……なぁ、もうあいつ一人だけでいいんじゃないかな』


『気分よく戦ってるみたいだし、あたしたちがあそこに混ざりに行っても邪魔にしかならなさそうですね……』


『あ、じゃあこの戦利品、(ふね)に置きに行きたいっス』


   ●


 マリア・フォン・ゴルディナー、騎乗士(キャバリエ)操縦歴2年。敵艦5枚抜きに挑戦します。


 というわけで射出していた飛翔魔爪(フライエルルナーゲル)を全て回収し、中央部主砲をチャージしていく。射出したままでも撃てないことはないが、チャージにかかる時間には結構な差が出てくるし、推進器としても使えるから移動速度にも影響があるのだ。あと単純に、遠隔操作は割と疲れる。


 腕の推進器も使って、5隻が一直線になる位置へと高速で移動する。


報告(リポート):エネルギーチャージ、完了しています》


 発射ァ!!!


 赤と黒が混ざり合った、禍々しい色合いのビームが残っていた全ての敵艦を巻き込んで、爆散させた。さて、これで面倒くさい長距離援護射撃も、敵軍の撤退も封じることが出来たな。


《感想:仮に撤退を許しても問題はなかったですね》


 それもそうだな。なにせ、この守護薔薇(シュッツ・ローズ)は対艦用を想定した騎乗士(キャバリエ)だからだ。同じく対艦用として作られたアリスの天竺葵(ゲラーニェ)、その発展型ともいえる。軍艦を超える移動速度を持ち、軍艦の装甲をぶち抜ける火力を搭載し、軍艦の護衛機を容易く殲滅させるだけの格闘戦能力を持たせるという、ある意味、剣撃(シュナイダー)追撃(イェーガー)砲撃(パンツァー)三種の『いいとこどり』ともいえる性能なのだ。


 さて、それじゃあ、


『マァリィアアアアア!!!!』


『最後に残しておいた、デザートをいただくとしましょうか』


 人型形態へと変形し、切りかかってきた偽始硬剣(カレトヴルッフ)、そのビームソードを、プラズマを纏わせたマニピュレーターで受け止めた。


『お前さえ、お前さえいなければああああ!!!』


 疲れてきたし巻きでいこうや巻きで。こちとらイギリスはロンドンから飛んで帰ってきてそのまま戦場に直行なんだぞ。


 偽始硬剣(カレトヴルッフ)の両手をこちらも両手で抑え込む。さらに脚を腕に変形させ、胴体を掴んでやった。そして親指だけにプラズマ・コーティングを施し、コクピットへと押し込んでいく。む、意外と頑丈。コピーとはいえ流石は主人公機だな。


『きゃあっ! な、何をする気なの!?』


『何って、決まっておりますでしょう? そんなことも想像できないくらい頭にお花畑が咲いているのかしら?』


 咲いてるんだけどね、脳内にお花畑が。原作でも『あの女を殺せばすべて解決だ!』みたいな考えで、結果としてはやり過ぎて兄妹とか父親とかから粛清されちゃうんだよね。まぁ暴露するのは当の主人公何だけどさ。


 どうせ今回も、俺を殺せば自分が聖女になれるとか、そんなことを考えていたんだろうな。


 コクピットハッチにひびが入り、指先が少しずつ押し込まれていく。


『ひぃいいっ! ま、待って! ねぇ、待ってよ! わたくしは王女なのよ! わたくしを殺せばお父様が』


 さらに指先が食い込んでいく。


『そ、そうよ! あなたたち、これから王都へと進軍するつもりなのでしょう!? わたくしが一緒なら交渉も有利に進むはず、いえ、進むわ! だかぱ!?』


 そして、これまでの抵抗が噓のように容易く、指先が深々と食い込み、空いた隙間から赤い液体が漏れ飛んでいった。


 こいつ、原作だとリーファたち悪役令嬢ズの元締めだったからな。生かして連れて行って、あの三人に悪い影響を与えられたら堪ったもんじゃない。だから殺せる時に殺しておきましょうね~。


 さてと。


『リア~、お望みだった()()()()が取れましたわよ~!』


『おぉ、マジっすか! どんな状態っス!?』


()()だけ潰しちゃってますわ。他はほぼ無傷ですわね。今から持って帰りますわ』


『ウヒョー! さすがっすねセンパイ!』


『おーい、マリア様ー。喜んでいるところ悪いんだけど、ちょっと判断を仰ぎたいことがあるんでこっち来てもらえねー?』


 艦に戻ろうと機体を反転させたら、そんな通信がレオニスから聞こえてきた。


『なんですの?』


『見てもらった方が早いっつーか、なんというか』


『?』


 えーと、レオニスの機体はどこだ? と、こっちの方向か。そちらに向かって飛んで行くと、機影が見えてきた。敵も味方も黒い機体ばかりの中、橙に青に緑、そして赤ととても彩り豊かで。



 ……え、赤?



 近付いてよく見れば、脱力したように動きがない、ユリウスが操縦していたマキャヴェリー、ライトスタッフが浮かんでいた。


『……どうしましたの、これ?』


『いや、なんか、マリア様がそのデカブツに乗り込んだ辺で様子がおかしくなって、それからずっとこの状態。罠なのかも判断できなくて、周りを囲んで監視だけはしてるんだけど、これ、どうしたらいいと思う?』


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