第二話 宇宙防衛隊特殊戦闘部隊第八班
「にしてもですよ、ひどくないですか?」
白い防護服に着替えながら、私は怒りが止まらなかった。
「非認知惑星に新型爆弾が落とされた可能性があるからその偵察って、普通、生身の人間にさせます?最初は無人ドローン機とか飛ばしてやりません?」
黙々と防護服に着替えるタクミさんをよそに、私は続ける。
「防護服貫通して私たちが被爆したらどうするつもりなんですかね?公務災害も公務災害。というか、絶対私たちより現場の近くを哨戒していた班いたはずなのに、わざわざ遠くにいる私たちに任務を振ってくるとか」
いつものことだ。私たちは昔、事件を起こした班だから。
忘れようとしていた思い出したくない記憶がまた頭を巡る。
ふうっとため息をついた。
「………上層部はそもそも私たちのことを人として扱っていませんしね」
「今回は俺一人で行くから。ナツキは待っててよ。」
彼の声が一段と低く聞こえ、私は自分の失言にはっと気づく。
班長の彼は、あの事件のことを今も重く受け止めていた。
「えっと…………あ!もともと私は半分人じゃないみたいなもんですから、危険粒子もどんとこいですよ!それに私たちずっとニコイチだったじゃないですか。2人揃えば新型爆弾だろうが怖いものなしですしね!」
失言をごまかすため、早口に言葉を並べる。それでも彼の表情は固いままだった。
「そういえば、非認知惑星ってどういう意味でしたっけ?」
私は話を変えようととぼけて聞いた。タクミさんは表情を変えずに質問に答え出す。
「惑星連盟の存在を知らない地球のこと。第四地球とか、今回行く第七地球もそう。」
「そう言えば防衛学校で習いましたねー。その惑星に住む人たちは、自分たちの住む地球以外の、別の地球があることを知らないから、原則接触禁止なんでしたっけ?」
「そう。混乱や衝突を防ぐためにも。」
そう言い終わった後、タクミさんは少し考えて、つぶやくように言った。
「……第四地球の時と同じ、使われた爆弾がO2B爆弾なら、まだ生存者がいるかもしれない。もし……」
一度言葉を詰まらせながらも、彼は続けた。
「もし、今回使われたのが、開発途中だと噂があったR2A爆弾なら、きっと生存者はいない。どちらにしても……。杞憂であってほしい。」
宇宙船の窓に、青い地球が近づいてきた。
約12時間をかけて、ようやく今、第七地球に到着する。
「……もし、俺が帰って来なかったら……」
まだ一人で行く気である彼の言葉を制止するように
、私はグローブ越しに震えている彼の右手をぎゅっと握った。
私の震えている左手で。
宇宙防衛隊特殊戦闘部隊第八班。
私たちは嫌われた、二人きりの班だった。
今日も私たちはいつものように死地へ赴く。




