↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/23

第十九話 遠い記憶

私の一番遠い記憶。

それは三歳のころ、三月のまだ寒い日だった。


病院のベッドの上で、産まれたばかりの妹・未希を、お母さんが抱いていた。

ピンク色の服を着たお母さんの髪はぼさぼさに下ろされていて、その隙間から優しい笑顔がちらりとのぞく。

病院食のお肉を、まだ小さい未希に食べさせるふりをしていた。


(ステーキ、いいなぁ)

そんなことを思っていた。


家族四人、笑顔があふれる温かい記憶。


お母さんは少し疲れている様子だったけど、とても嬉しそうだった。


「ミナと初めて会ったときも、すごく嬉しかったのよ」


そう教えてくれた。


ーー


私の誕生日は八月十六日だった。


私はあまり、家族以外の人に誕生日を祝われたことはない。


八月十六日は、夏休みで、終戦の次の日で、そして、お盆に来ていたご先祖様があの世に帰ってしまう悲しい日だった。


今日はそんな八月十六日。

遠くにある第七地球にとって。


『第七地球は戦争が多い危険な惑星で……』


テレビから報じられる私のふるさとは、いつも冷たくて、思いやりのない場所だ。


だけど私が知っているふるさとの記憶は、温かくて、優しいものだった。


悲しいこともあるけれど、寄り添うこともできた。辛いこともあるけれど、手を取り合って、助け合うこともできた。


私はずっと忘れないでいよう。優しい記憶も、温かい記憶も。


私が忘れたら、それは無くなってしまうから。


「……来年は、精霊馬を作ろう。」


お盆は、亡くなった人に思いを馳せる、優しい行事だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。