第十六話 人道的な兵器
ナツキさんがいない間に、私はテレビや本でいろいろなことを知った。
宇宙にたくさんの地球があること。
宇宙共通時間と、現地時間は違うこと。
第一地球では、今は二月であること。
大気に気象膜が張ってあって、四季がなく、雨や雪が降らないこと。
そして、私たちが住んでいた地球は、第七地球と呼ばれていたこと。
テレビでニュースも見た。
第七地球のことも、時々、思い出したかのように報じられた。
本当は見たくなかったけれど、私が知っておかなきゃいけないと思い、目を背けずに泣きながらでも見た。
ニュースの報道によれば、第七地球は第二地球からR2A爆弾という爆弾を落とされたことによって滅亡したらしい。
R2A爆弾はかなり威力の高い爆弾で、人々を一瞬で消し去る殺傷能力があり、私の存在はなかったかのように、第七地球で生き残った者はいないと報じられた。
今回の事件でニュースのコメンテーターや専門家が話すことは、第一地球含む惑星連盟の安全保障の心配ばかりだった。
一応、惑星連盟側も第二地球の一連の行為を非難したらしい。
それでも、第二地球の肩を持つような専門家もいた。
宇宙から見ると、第七地球は危険な地球で、将来的に脅威となり得ると言われていたらしい。
また、惑星内戦争が多く、人種間の差別もある。環境破壊が拡大している一方でそれに対応する技術が追いついておらず、放っておいてもこの地球は滅亡していた可能性もある。
だから、事前にR2A爆弾という人道的な兵器により滅亡させたことは、評価できるという考えだ。
R2A爆弾は、人が苦しむ間も与えずに消滅させる。 だから人道的な兵器。
第二地球の言い分も、このようなものだった。
そして第七地球そのものは、今後第二地球の支配下に置かれるだろうとのこと。
危険残留粒子が消失するのを待ち、建物がきれいに残った第七地球を利用するらしい。
一方、惑星連盟側は、資源が乏しい第七地球に価値はないらしく、義理もない。
第二地球と戦争になる方が嫌なので、報復措置も何もしないそうだ。
今日もニュースで第七地球のことが報じられた。
「本日、第一地球政府と惑星連盟は、犠牲となった住民を悼む慰霊碑を、首都中央公園内に建立しました。」
画面には、公園に建つ黒い慰霊碑が映し出される。
その足元には、色とりどりの花が供えられていた。
ーーこの人たちは、私たちのことを何も知らない
私たちの地球は危険な地球なんかじゃない。
確かに衝突もあって、問題も多かったけど、それでも必死で歩み寄る方法を探していたんだ……
まるで過去の存在かのように、あのちっぽけな慰霊碑だけで片付けられるなんて……
「やっほ!ミナ元気?」
ナツキさんが部屋に入ってきても、私はテレビに釘付けになっていた。
「……大丈夫?……こんな、無理して見なくても……」
ナツキさんがテレビを消そうとするのを遮るように言った。
「私が強くなったら、第七地球は取り返せるでしょうか。」
「えっ……」
ーー私がやるしかない。私が唯一生き残ったんだから。
私が何か成し遂げなければならない。
それは、地球奪還でも、復讐でも。
まっすぐ彼女の瞳を見て言った。
「私、宇宙防衛隊になります!」




