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終末都市の塵芥  作者: Anzsake
ジニア:セオウ/ゼロkgの重り
46/132

異物

‡‡‡


苦しい。

暑い。

なにか触れた。

邪魔。


息を整える。

臭い所だ。

なんでこんなところに居るんだっけ?


口になにか固いものを押付けてくる変な生き物を振り払う。


[モモモ…モ…モモ……]


目の前の6本腕のタネが威嚇してくる。

うるさい。

ムカつく。


周りからも音がする。

胞子がザワついている。


[うるさい!!]


[…!!]


飛びかかる。

タネの動きで胞子が揺れる。

鞭尾鋒の突きを回避する。


生き物が動くと胞子が動く。

だから動きがよく見える。


[モモモモ……モモモ…]


[うるさい!僕は関係ない!]


取っ組み合いになる。

腕が多くたって、致命傷を先に与えた方の勝ちだ。


[モ…モモ…]


[今のお前らのほうが、よっぽと害獣だ]


タネの顎を掴んで引き裂く。

赤い血をぶちまけて動かなくなった。


鞭尾に身体を拘束される。

服を着たタネだ。

黄色いジャケット。

あれ?あのジャケットは


[ハ…ハハハハ………ルル…ルル…]


[………リズ?……リズをどうしたんだ!!]


鞭尾の拘束を解く。

二本腕のタネに飛びつこうとするが、さっき振り払った生き物が割って入る。


[邪魔だ!!]


手に持っている道具を狙うが、躱される。

動きが早い。胞子の流れもほとんど起きない。


何度も攻撃をするが、一向に反撃をしてこない。


[クソ!クソッ!!]


[ハハ…ルルル……]


[お前らにリズは渡さない!!]


さっきとは違う生き物が目に入る。

さっきのより大きい。


目を離した一瞬で、腕を後ろで抑えられた。


[離せ!!リズは僕が守るんだ!!]


暴れるけれど、強い力で抑えられる。


もう1匹、タネがやってきた。

二本腕だ。

そいつがゆっくり近づいてきて、僕の口を強引に開けさせた。


殺される。


そう思ったが、予想に反して、口に何かを入れられた。吐き出そうとするが、今度は口を抑えられる。


[ユユユ……]


‡‡‡


カリンから少し離れた所で座り、様子を見る。

荒れた道路はあちこちめくれていて、ここだけ少し胞子が少なくなっている。

カリンのガスマスクの音が聞こえてくる。寝ていると多く消費するのかもしれない。


暴れていたカリンは、まるで獣のような唸り声を発していた。何か、意味のある鳴き声なのだろうか?


カリンが目を覚ます。飛び起きて周りを確認している。めでたい奴だ。


瞳もいつものカリンに戻っている。


「え!なんで?寝てたんですか?僕」


「…なんか覚えてるか?夢でもいい」


「えっと……春?」


混乱が激しいようだ。横に居るタネが首を傾げる。


「全く。貴重な物だったんだぞ」


ユユが横で不貞腐れる。ユユに気づいたカリンが顔を赤らめながら驚く。


「え!?なんでここに…って、僕はまだ、信用してませんよ!」


「ハイハイ。それでいいよ…で、こいつはなんなんだ?」


ヴィンは、ケラ喰いであるユユを熱心に観察しては、スケッチブックに食いついている。言葉が耳に入ってないようだ。


「ユユが魅力的なんだろ」


「そうか…」


冗談を言ったつもりだったが、伝わってないみたいだ。


「ところで、あの実は一体何だったんだ?」


ユユが颯爽と現れ、暴れているカリンの口を開けさせ、何か植物の実を口に入れていたのを確かに見た。


「あれは、胞子を殺す実だ」


「…なるほど?つまり?」


「体内の胞子を死滅させる効果がある。らしい」


「そんなものを何故持ってるんだ?」


「…美味しい、から」


リズの異常性。タネの胞子発言。カリンの暴走。胞子を殺す実。結べそうな点が増えていく。


「それは、どこで採れる物なんだ?」


「おしえてもいいけど、条件がある。1つ。あんたの持ってるその銃を貰う。2つ。私をあんたらのコミュニティに連れてって」


久しぶりに会うのに強欲なやつだ。まずは空気銃を渡す。


「…撃てないじゃん」


「ボンベは渡せん。生命線だ」


「…わかった」


ユユはスリングを肩に通して、お飾りの空気銃を装備する。


「2つ目に関しては、こちらも条件がある」


「…何?」


「服を着ろ」


「…待ってて」


ユユは立ち上がり適当な建物に入っていく。スケッチしていたヴィンが名残惜しそうに手を伸ばした。


しばらくしてユユが戻ってくる。女性用のキャミソールと、下は男用のパンツを履いてきた。

絶望的にセンスがないが、ケラ喰いにセンスを求めるものでは無い。


「…よし、案内してくれ。ついでにもう少しまともな格好を探そう…」


「…ベゴニア。どう?」


「今んとこ大丈夫だ。ありがとう。ヴィン」


立ち上がると、カリンに切り付けられた脇腹が痛む。カリンが起きる前にヴィンと縫い合わせたが、激しい動きはしない方が良さそうだ。


「ほら、行くぞ」


ユユがカリンを無理やり起こす。起こしながら、カリンと静かに会話しているのを聞き逃さない。


「…お前と同じ匂いの女はどこだ」


「…リズの事?また誘拐しようとしてる?」


「あれは、あの男が、そうしろと言ってたから、そうしただけだ…」


「ふーん…リズは、今はコミュニティに居るよ」


「…そうか」

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