02
遅くなってすいません……。仕事が忙しく、中々進みませんでした……。えたらないように頑張りますね!
ルークスから語られた言葉は、耳を塞ぎたくなるものだった。
彼等は、異世界の神により転移しやって来た宇宙人。しかも、この世界を救う為ではなく、自分の願いを叶える為──ただそれだけの理由。明白で不変の理由。
彼が話したのは、もしかするとホンの一端に過ぎないのかもしれない。しかし、一端にも関わらず、リベルは雷に打たれた様な衝撃を受けた。受けるだけの厭世を、ルークスの笑と強気な姿勢や言葉に見たのだ。
視点がロクに定まらないまま、グランを写すと目が合う。
グランは、頷いてルークスを視野に入れた。
この国は、遥か前から終わりを迎えていたのだ。内部から侵食され、気がついた時には勇者達が地位を獲得し、他の追撃を許さないほどに登りつめていた。語られ信用に足りうるとされてきた、信頼も信憑も真実も、なにもかもが全てが偽り。
だとしても、分厚く塗り固められた偽物は真実よりも遥かに力がある。人が真実とするのは思い込む事から生まれるのだ。
──よって、民の耳にリベルやグランの声は届きはしないだろう。
「お前……。何故それを今、俺達に言った??」
「何故ッて? 言った方が君達が面白い行動を取るからに決まってるじゃないか」
下卑た者を見る目で、ルークスは見下す。
風も無ければ、喧騒もない静かな謁見の間で、ルークスの仕草は異彩を放っている。無作法であっても、非国的な対応であっても、この場での法は、即ちルークス。
頭に血が登っているリベルも、それだけは理解をしてしまっていた。
ギリッと、歯軋りを立てた所で、ルークスの表情は依然として頬を緩ましたまま。
──余裕綽々である。
「君達の言葉を、誰一人として信じはしない。現に、悪とされる魔を討伐しにいっているのは、我々の力があってこそなんだからね。だけれど、君達は『はいそうですね』と、おめおめ引き下がることも出来ない。君達は、国を護る騎士団だし」
全てを見抜いていた上で、ルークスは弄ぶ。
「まあ、だから、君には任務を上げよう。リベル君」
「──任務……だと?」
ルークスは頷き、グランに向けて指を指した。
「──死を運ぶ魔物」と、囁いたルークスの足元には、触手の様な、だが物質では無い、黒い何かが蠢く。声も物音もなく、次第に黒い何かは膝すら隠れる量まで増えた。
時間にして僅か数秒。その間、リベルができる行動といえば喉を動かし唾を飲み込む。そして、初めて目の当たりにした強者であり勇者の根底にある力に鼻白む事のみだった。
死を運ぶ魔物は、凡そ正義足る力と呼べる代物ではない。立ち込める黒い霧に、見いだせるのは、禍々しくおぞましく、故に恐ろしく、死を意識せざるを得ないものだ。
正義と言う言葉を、ルークスの発動した力に扱うのなら、それは天変地異となんら変わらない。
「……ング……ッぁあ……」
「お、おい!! グラン、おい!!」
内臓を喉から吐き出す様な呻き声を上げ、立ち上がっていたグランは背から倒れ込む。目は白目を向き、口からは夥しい量の泡を吹いていた。
リベルが、肩を揺さぶり名前を何度呼ぼうとも、グランの耳には届かない。
「ガッ……ンギュグッ……」
「二週間あげよう。その間に、君達の隊長を殺った魔族の首をボクに献上したまえ。そうすれば、彼を楽にさせてあげよう」
ルークスは、玉座から立ち、階段を下りて下座に居るリベルの元へやって来て告げた。
拒否権があるはずも無い。寧ろ、ルークスが二人を生かすつもりが無いことも重々と承知だ。
リベルは、ルークスの凶悪な眼差しを浴びつつも違う事を、焦りと共に脳内に過ぎらせる。
敵でありながらも、対話をし、礼儀を尽くしていた三人の事を──。
「本当だな?本当に、連れてくればグランを助けてくれるんだな?」
「連れて──? まぁ、いいや。どちらに転んでも、ボクの名誉になんら変わりはないしね。君達レベルに倒される──もしくは捕縛される魔族なんて、たかが知れてるし」
リベルは、自分の喉を両手で締め付け、苦しそうなグランの手に触れる。
暖かさを忘れた手に、自分の思いの丈を念じ強く願う。
(この国を終わらそう。もし、その願いが叶うなら、俺は悪にでもなってやる。──絶対に、勇者達を許さねぇ)
「約束は、守ってもらう」
ルークスを睨み、リベルは未知なる力に怯えつつも意思を伝えた。
「良かろう。因みに、アウダースは使わせない。自分だけの力で何とかするんだね」
「了解した。──グラン、行ってくる」




