↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/74

46.謎な宝石の鑑定(5)

「アッチェルは大戦やヴァルナ公の反乱について知っているかい?」


「学校で習いました。大戦は30年前で、隣国やヴァルナ地方との間で大規模な戦いがあったって。

 砂漠地方はそのときにコーダ王国に併合されたんですよね?

 ヴァルナ公の反乱は10年前で、禁止されている黒魔術を復活させようとしたヴァルナ公がコーダ王軍によって鎮圧されたんですよね」


「まあ、そう習っていると思うけどね。

 南は、ヴァルナ地方は元は独立した国だったんだよ。

 ヴァルナ公国といって、ヴァルナ公爵が治める、コーダ王国とは別の国だったんだ。

 それを大戦時に砂漠と同じようにコーダ王国に併合したんだ。

 ヴァルナ公は名前は残ったが、一国の統治者ではなく、コーダ王国の支配に組み込まれた形になった。

 ヴァルナ公国は魔法がとても発展していてね、コーダ王国も負けじと魔法使いを育成していたんだが、ヴァルナ公国には敵わなかった。

 そこである年、発展し過ぎるほど発展したヴァルナの魔法を脅威と感じた先代のコーダ王が、その魔術を悪と決め付けて、“黒魔術”と呼んで大戦をしかけて、ヴァルナ公国を併合したんだ。

 ヴァルナ公国は魔法は発展していたけれど、全体的な軍事力で見たらコーダの方が上だったからね。

 そして、コーダ王国はヴァルナ地方の魔術を一切禁止したんだ。その後も、コーダ中央政府による魔法使い狩り、魔女狩りや圧政が続いたので、10年前のヴァルナ公の反乱に繋がったわけだよ」


「そうなんですね……。そんな政治的な背景は知りませんでした。ただ、黒魔術は大気を汚染するから禁止された、と習ったので」


「いま、私たちが黒魔術と呼ぶものも、コーダ王国の魔法と原理は同じだと

思うよ。

 まあ私は魔法感受性も無いし、詳しくはないがね。

 結局のところ、黒魔術は進歩し過ぎたんだ。大気を汚染してしまうほど力が強くなってしまったんだ。コーダ王国の“白”魔術だって、力が弱いだけで大気を汚染しているのかもしれないよ」


「……そうなんですねえ……」


「まあ、ヴァルナの魔法は進み過ぎたと言えば進み過ぎたのかもしれないね。人間が踏み入れていい範囲を超えて、神や精霊のみが介入して良い自然の節理に反するまでになってしまったのかもしれない。

 この骨貝にしたって、10年以上も前にかけられた魔法がいまだに人に害を及ぼしているなんて、ちょっと普通の生活からしたら考えられないほどだろ。

 だから、ヴァルナ公国が無くなって、ヴァルナの魔法が禁止されたことは結果的には良かったのかもしれない。人の世全体にとってはね。ただ、コーダ王国のやり方は気に食わないがね」


 この店主はコーダ人なのに、こんなふうに政府の批判を口にしてしまっていいんだろうか。思わずアッチェルは誰も立ち聞きしてはいないか、店の入り口を振り返ってしまった。アッチェルの父と一緒に秘密裏に黒魔術の勉強をしていた会では、こんなセリフも飛び交っていたのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。