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魔力適性Eの落ちこぼれ、俺だけが武器を複製できる  作者: 狙撃犬
Chapter 0 — Echoes of Twenty Years Ago

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Chapter 0.3 — Their First Expedition

冒険者になると決めてから、数日。


必要な装備を揃えた蓮司と玲奈は、街の近くにある小規模ダンジョンへ来ていた。


入口には何人もの冒険者が集まっている。


「結構いるんだな」


「ここは比較的安全だから。初心者も多いみたい」


「じゃあ、俺たちにもぴったりだ」


「その自信が少し心配だけど」


玲奈はそう言いながら、受付で渡された地図を確認する。


「今日は三階層まで。魔物を倒しながら魔力石を集めて帰る。それ以上は進まない」


「了解」


蓮司は腰の剣を軽く叩いた。


「準備はできてる」


「本当に?」


「たぶん」


「不安になる答えね」


二人は顔を見合わせる。


そして、ダンジョンの中へ足を踏み入れた。


外の光が少しずつ遠ざかっていく。


代わりに、ひんやりとした空気が肌を撫でた。


「……思ったより暗いな」


「足元、気をつけて」


「分かってる」


蓮司は周囲を見回す。


映像で見たことは何度もあった。


けれど、実際に見るのは全く違う。


壁も、床も、天井も。


自然にできた洞窟とは少し違って見えた。


「なあ、玲奈」


「何?」


「これ、本当に自然にできた場所なのか?」


「分からない」


玲奈は壁に手を近づける。


「研究者の間でも意見が分かれてるみたい。地層の構造が普通の洞窟と違うって話もある」


「へえ」


「ただ、まだ証明されてない」


「じゃあ、俺たちが見つければいい」


「何を?」


「このダンジョンの秘密」


玲奈が少しだけ笑った。


「簡単に言うわね」


「言うだけならタダだからな」


そのときだった。


カサッ。


奥から音がした。


二人の表情が変わる。


「……来る」


玲奈が杖を構える。


暗闇から、小型の魔物が二体飛び出してきた。


「俺が前に出る!」


蓮司が剣を抜く。


一体目が飛びかかってきた。


蓮司は攻撃を横にかわし、すれ違いざまに剣を振る。


「はっ!」


魔物が倒れる。


続けて二体目。


今度は玲奈が魔法を放った。


「――止まって」


淡い光が魔物の足元を包む。


動きが鈍った瞬間、蓮司が踏み込む。


「これで!」


剣が魔物を捉えた。


二体目も地面に倒れた。


「……やった」


蓮司は息を吐く。


玲奈は周囲を確認してから杖を下ろした。


「初めてにしては悪くないわね」


「だろ?」


「でも、もっと周りを見て」


「はい」


素直に返事をする蓮司に、玲奈は少し驚いた顔をした。


「意外と素直なのね」


「死にたくないからな」


「それは大事」


魔物が消えた場所に、小さな石が残っていた。


蓮司が拾い上げる。


「これが魔力石か」


淡い光を放つ、小さな石。


二十年前、最初のダンジョンから発見されたことで世界を大きく変えたもの。


「綺麗ね」


玲奈も覗き込む。


「これ一個で結構な値段になるんだろ?」


「質によるけどね」


「じゃあ、たくさん集めれば――」


「国や企業が欲しがる理由も分かるでしょ」


「……そんなに?」


「魔力石は魔力を蓄えられる。発電にも使えるし、魔導具にも使える」


玲奈は少し間を置いた。


「最近は軍事利用の研究も進んでるって聞くわ」


「軍事って……武器に?」


「そうみたい」


蓮司は魔力石を見つめた。


「便利なものなのに、怖いな」


「力を持つものが、必ずしも良いことに使われるとは限らないから」


玲奈はそう言って、魔力石を袋にしまった。


「行きましょう」


「ああ」


二人はさらに奥へ進んだ。


二階層。


三階層。


予定していた場所まで来たところで、玲奈が足を止める。


「……待って」


「どうした?」


玲奈は壁を見つめていた。


「この地図、ここには壁って書いてある」


「実際も壁だろ?」


「でも……」


玲奈が壁に手を触れる。


「向こう側に空間がある」


「分かるのか?」


「魔力の流れが少し変」


蓮司も壁を叩いてみる。


コン。


乾いた音が返ってきた。


「確かに、普通の壁とは違うかもな」


「今日は戻りましょう」


「え?」


「今の装備じゃ危ない。記録だけ残して、次に調べる」


蓮司は少し残念そうな顔をした。


「気になるな」


「私もよ」


玲奈は地図に印をつける。


その瞬間――。


壁の奥から、ほんのわずかに赤い光が漏れた。


二人は気づかなかった。


蓮司の腰にある古びた剣だけが、その光に呼応するように淡く輝いていた。


「帰るぞ、蓮司」


「ああ」


二人は来た道を戻っていく。


その背後で。


地図には存在しない空間が、静かに息づいていた。

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