↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力適性Eの落ちこぼれ、俺だけが武器を複製できる  作者: 狙撃犬
第1章 最下位からの始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/40

第27話 変幻自在

翌日。


 俺は公式戦闘フィールドの中央に立っていた。


 昨日までとは、少しだけ景色が違って見える。


 ここまで来る間に、何度もこの場所で戦ってきた。


 最初はランキング戦に出ることすら考えていなかった。


 それが今は――目の前に五十位の男がいる。


「黒瀬」


 向かい側から声をかけられる。


「昨日はよく眠れた?」


「一応な。榊原は?」


「俺も普通に寝たよ」


 榊原はいつも通りだった。


 緊張しているようには見えない。


「……本当に明日戦う相手って感じしないな」


「それ、昨日も言ってなかった?」


「言ったっけ?」


「言ってた」


 榊原が笑う。


 俺も少しだけ笑った。


 昨日話したからだろうか。


 これから戦うというのに、不思議と嫌な感じはしなかった。


「そういえばさ」


 榊原が俺の手元を見る。


「今日もそれなんだな」


 俺が持っているのは、いつもの木刀だった。


「ああ」


「本当にそれ一本で来るんだ」


「そのつもり」


「昨日の話、本気だったんだな」


「榊原だってそうだろ?」


「まあな」


 榊原が右手を上げる。


 その周囲に小さな魔法陣が浮かんだ。


 魔法陣から、一本の魔導剣が現れる。


「俺も昨日言った通り。最初はこれで行く」


 榊原が魔導剣を軽く振った。


「……最初は?」


「そこはまあ、試合を見てのお楽しみってことで」


「やっぱり途中で変える気じゃん」


「当然」


 榊原は悪びれもせず笑った。


 そのとき、フィールドの外から試合開始を告げるアナウンスが流れた。


『ランキング戦、五十一位・黒瀬悠真対五十位・榊原迅』


 観客席から、少しずつ声が聞こえてくる。


 ここまでランキングを上げてきた俺にとって、初めての五十位戦。


 勝てば――順位が入れ替わる。


 つまり、俺が五十位になる。


 木刀を握り直す。


 榊原も魔導剣を構えた。


『両者、準備してください』


 静寂が広がる。


 昨日の会話が頭に浮かんだ。


 武器を信じる。


 武器を選ぶ。


 どちらが正しいのかなんて、今は分からない。


 ただ、俺は一本を選んだ。


 榊原は、その場に必要な武器を選ぶ。


 なら――


 実際にぶつかってみればいい。


『――開始!』


 合図と同時に、俺は地面を蹴った。


 榊原も動く。


 距離が一気に縮まる。


「来い、黒瀬!」


 魔導剣が振り下ろされた。


 俺は木刀を横に構え、真正面から受け止める。


 ガァンッ!


 衝撃が腕に伝わる。


「っ……!」


 重い。


 ただの魔力で作られた剣じゃない。


 榊原の魔力が、武器そのものにしっかり込められている。


「どうした?」


「……まだこれからだ!」


 俺は木刀を押し返した。


 そのまま一歩踏み込む。


 振り上げた木刀を、榊原へ向けて振り下ろす。


 榊原は身体を横へずらして避けた。


 そして――魔導剣を消した。


「!」


 嫌な予感がした。


 直後。


 榊原の左右に二つの魔法陣が浮かび上がる。


「次はこれだ」


 魔法陣から、二丁の魔導銃が現れた。


「……早い!」


 銃口がこちらを向く。


 俺は咄嗟に横へ飛んだ。


 直後、魔弾が地面を撃ち抜いた。


 ドンッ!


 土煙が上がる。


 着地した俺の背後から、さらに一発。


 振り返る。


 間に合わない。


 木刀で弾いた。


 魔弾が弾け、腕が痺れる。


「これが榊原の戦い方か……!」


「そういうこと!」


 榊原の周囲に、さらに魔法陣が浮かび上がる。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 その数が増えていく。


 魔導銃。


 魔導剣。


 盾。


 そして、見たことのない大型の武器まで。


 それらが一瞬で展開され、次々と消えていく。


 まるで武器そのものが入れ替わっているようだった。


「近づいたら剣」


 魔導剣が現れる。


「離れたら銃」


 魔導銃が現れる。


「攻撃を防ぐなら盾」


 盾が現れる。


「逃げるなら――」


 榊原の背後に、巨大な魔法陣が展開された。


「もっと強い武器を使う」


 空気が震えた。


 俺は木刀を握る手に力を込める。


 昨日、榊原は言っていた。


 必要なときに、必要な武器を使う。


 それが自分の戦い方だと。


 そして今、その言葉の意味を実感していた。


「……すごいな」


 思わず口から出た。


「だろ?」


 榊原が笑う。


「これが俺のやり方だ」


 巨大な武器がこちらを向く。


 逃げれば追ってくる。


 近づけば別の武器が出てくる。


 どこから攻めても、榊原はその状況に合った武器を選ぶ。


 ――強い。


 素直にそう思った。


 だけど。


 俺は木刀を構え直す。


 俺にも、俺のやり方がある。


「……だったら」


 一歩、前へ。


「俺はこの一本で行く!」


 榊原の目が少しだけ見開かれた。


 そして、楽しそうに笑う。


「そうこなくちゃな」


 巨大な魔力が膨れ上がる。


 俺は木刀を握り締める。


 次の瞬間。


 フィールド全体を揺らすほどの轟音が響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。