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魔力適性Eの落ちこぼれ、俺だけが武器を複製できる  作者: 狙撃犬
第1章 最下位からの始まり

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第24話「連勝」

 ランキング戦の日が来た。


 放課後。


 俺は公式戦闘フィールドの前に立っていた。


 ここに来るのは久しぶりだ。


 鳴海先輩と戦ったとき。


 神崎と戦ったとき。


 どちらも、ここだった。


 今日の相手は――74位。


 高橋蓮。


 俺より八つ上の順位にいる相手だ。


「黒瀬」


 後ろから声がした。


「天音」


「応援に来たよ」


「わざわざ?」


「昨日、約束したから」


 天音は笑った。


「それに、ランキング戦ってちゃんと見たことないから」


「俺もそんなに見られると緊張するんだけど」


「大丈夫」


「何が?」


「黒瀬なら勝てるよ」


「またそれか」


「だって本当にそう思ってるから」


 その言葉に、少しだけ力が抜けた。


「ありがとう」


 俺はフィールドへ入った。


◇


『両者、準備してください』


 右手に魔力を集める。


「武装精製」


 光が集まり、一本の剣になる。


 フレアブレイド。


 向かい側では、高橋先輩が拳を握る。


『能力使用を確認』


『身体強化』


『試合開始』


 高橋先輩が消えた。


「――っ!」


 拳が迫る。


 俺は剣で受けた。


 衝撃が腕まで響く。


「重い……!」


 続けて二撃目。


 避ける。


 三撃目。


 剣で弾く。


 それでも押される。


 高橋先輩は速い。


 ただ速いだけじゃない。


 俺の攻撃が届かない場所を正確に選んでいる。


 剣を振る。


 避けられる。


 切り返す。


 また避けられる。


「……!」


 当たらない。


「お前、武器を作ることに慣れすぎてるな」


 高橋先輩が言った。


「剣を持ってるのに、剣を信用してない」


 その言葉が胸に刺さった。


 確かにそうだった。


 今までの俺は、上手くいかなければ武器を変えていた。


 もっと速い武器。


 もっと強い武器。


 もっと相手に合った武器。


 でも――。


 俺は剣を握り直した。


「……まだだ」


 高橋先輩が迫る。


 拳。


 俺は避ける。


 剣を振る。


 高橋先輩が身体を捻る。


 俺はそこで剣を止めた。


 拳の軌道に刃を合わせる。


 拳が逸れた。


 一歩踏み込む。


「なっ――」


 柄を叩き込む。


 さらに一歩。


 剣を返す。


 峰が肩に入った。


 高橋先輩が膝をつく。


『戦闘不能を確認』


『勝者――黒瀬悠真』


 俺は息を吐いた。


 勝った。


 新しい武器を作らずに。


「黒瀬!」


 天音が駆け寄ってくる。


「おめでとう」


「ああ」


「最後の動き、良かったよ」


「ありがとう」


 俺は手の中の剣を見る。


 ほんの少しだけ、剣を使うということが分かった気がした。


◇


 試合後。


 ランキングが更新された。


『74位 黒瀬悠真』


「74位……」


 八つ上がった。


 でも、まだ遠い。


 50位。


 俺は申請画面を開いた。


 次の対戦候補が表示される。


「……63位」


 11位上。


「やるの?」


 天音が聞く。


「ああ」


 申請を送る。


『対戦申請を送信しました』


 数分後。


『承認されました』


「決まった」


「頑張って」


「ああ」


◇


 翌日。


 再び公式戦闘フィールド。


 相手は63位。


 長い槍を使う近接型だった。


 序盤は苦戦した。


 リーチが違う。


 近づこうとすれば突かれる。


 無理に踏み込めば、こちらが先に削られる。


 それでも――。


 俺は剣を変えなかった。


 槍の先端を見ない。


 肩を見る。


 足を見る。


 動き出す瞬間を読む。


 一度。


 二度。


 三度。


 少しずつ間合いを詰める。


 そして最後。


 槍の柄を剣で弾いた。


 懐へ入る。


 峰を叩き込む。


『勝者――黒瀬悠真』


 63位。


 また順位が上がった。


◇


 そこから先は、勢いがついた。


 61位。


 勝利。


 60位。


 勝利。


 57位。


 勝利。


 55位。


 勝利。


 試合を重ねるたび、俺は少しずつ戦い方を変えていった。


 武器を変える前に考える。


 相手を見る。


 自分の身体を動かす。


 ただ武器を作るだけじゃない。


 武器を使って戦う。


 それが少しずつ身についてきた。


◇


 数日後。


 放課後の教室。


 俺はランキング表を見ていた。


『53位 黒瀬悠真』


「……53位」


 82位から始まった。


 ここまで、一気に上がってきた。


「すごいね、黒瀬」


 隣で天音が言う。


「ああ」


「50位まで、あと三つ」


「あと三つか」


 ランキング表を見る。


 52位。


 51位。


 そして――。


『50位 榊原迅』


 そこに、あいつの名前がある。


 昼休みに話した。


 普通に笑っていた。


 ランキングを見ていると言っていた。


 そんな印象しかない。


 なのに。


 今は、その名前が妙に大きく見えた。


「……近いな」


「うん」


 天音が頷く。


「次、50位を狙うんだよね?」


「ああ」


「相手は……」


 天音がランキング表を見る。


「51位か」


「そうなるな」


 50位へ上がるには、51位との戦いが必要になる。


 つまり――。


 あと一勝。


「黒瀬」


「ん?」


「頑張って」


 天音が笑う。


「ここまで来たんだから」


「ああ」


 俺はランキング表を見上げた。


 82位だった俺が、53位まで来た。


 あと三つ。


 あと一勝。


 50位に届けば――。


 そこには榊原迅がいる。


 俺は拳を握った。


「絶対に行く」


 その瞬間。


 教室の後ろから声がした。


「黒瀬」


 振り返る。


 榊原だった。


「ランキング、見てた?」


「ああ」


「53位か。早いな」


「榊原は50位だろ」


「まあね」


 榊原は笑った。


「あと三つなら、すぐじゃない?」


「……そうだな」


「頑張って」


「ああ」


 榊原はそれだけ言って、自分の席へ戻っていった。


 俺はその背中を見る。


 不思議な奴だ。


 何を考えているのか、いまいち分からない。


 でも――。


 50位へ行けば、あいつと戦える。


 そのことだけは、はっきりしていた。


「あと一勝……」


 俺はもう一度、ランキング表を見る。


 53位。


 ここまで来た。


 だから、止まらない。


 次は――51位。


 その先に、50位がある。

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