逆転の一手
11月22日。
No.1とNo.2を決める。決戦の日。
俺が。勝った。勝った! No.1だっ。
「No.1だあ? 百年早えぇよう。統夜くぅん」
唯我は、俺のNo.1の1枚。
後手必勝の。11月23日を見て、
「僕がNo.1さ。僕がまたNo.1だ。僕は、No.1の1枚。1枚めくる」
「7枚。俺は、7枚めくる」
唯我が、11月24日をめくり、俺に手を渡すや否や。
俺が、11月。25、26、27、28、29、30日。そして、12月1日。
上限いっぱいの合計7枚をめくり、切り取る。
すでに、読み切っていることを。誇示するために。
「No.1の1。僕は、1枚」
唯我は、また。即答。12月2日をめくる。
「統夜くん。No.1の戦いから、君降りたね。また、7枚かい?」
「……7枚。上限いっぱい……、7枚めくる」
「お前は、まだ、No.7だ」
おかしい。何かがおかしい。
後手必勝だろ?
何か……。余裕綽々の唯我に。
少し、ゆっくりと。
12月3。4。5。6。7。8。9日。の。
7枚を。めくる。
「No.1の1。僕は、1枚」
「っざけてんすか?」
「ぁあん?」
12月10日の1枚をめくった唯我は、俺に。
見下したような侮蔑。
こいつ。勝ちを確信している。
ある。
逆転の一手が。
「なに余裕こいてんすか。唯我さん。あんたは、まだ。分からないのか?」
「なにがだよ?」
「あんたの負けなんだよっ! 負け負け負け負け負け負け負け負け」
俺は、勝ちを宣言しながら。頭の中で。唯我の必勝法を必死に考えた。
「うるっせえなぁ。僕は、1枚。12月10日をめくった」
日めくりカレンダー。12月10日の1枚をテーブルの上に置いて、
「僕はエンド。終わりじゃないけれど。エンド。さあ、統夜。君の番だ」
「俺の勝ちっ。俺の勝ちなんだようっ、分かんだろっ? 俺は、7枚めくる。12月11日から、17日までっ。お前は、勝てないんだよっ! お前が、次の手番で。No.1の1枚をめくろうがっ。俺と同じ、7枚をめくろうがっ。俺は、12月18日からなら、19日20日21日22日23日24日25日。7枚めくりで勝利。お前が、7枚めくりでも、18日19日20日21日22日23日24日で、クリスマスには届かねえ。俺の勝ちっ。俺の勝ち。勝ち勝ち勝ち勝ち勝ち勝ち勝ち勝ちっ!」
「なら、めくれよ」
「違うっ」
俺はテーブルを強く叩く。
「違う。お前の勝ちだったんだ。お前が先手。初手に11月22日23日の2枚。2枚をめくれば、あんたの勝ちっ。それを。みすみす見逃したっ。No.1だから、1枚? ふざっけんな。なぜ2枚をめくらなかった?」
「僕が、No.2の2枚なんか。めくるわけ、ないだろう?」
「嘘だっ。くそっ。なんだなんだなんだなんだ?」
あっ。
逆転の。
一手。
「……唯我。俺は。7枚めくる」
「どうぞ」
「ただし」
俺は、文字通りの逆転の一手。
日めくりカレンダーを、ひっくり返した。
「この。日めくりカレンダーのルールは。テーブルの上にある、日めくりカレンダーの、一番上の1枚目のみをめくれる。今。1枚目は。12月31日」
薄く裏側に、31という数字が透けている。カレンダーの一番上の1枚目。
「12月31日。12月30日。12月29日。12月28日。12月27日。12月26日」
6枚をめくり。7枚目。
「12月25日。クリスマス……。終わりだ、唯我っ。俺がNo.1だっ」
パチパチパチパチ。と唯我は拍手をした。
「終わりは、お前だよ、統夜」




