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姫様クリスマス争奪『日めくりカレンダーゲーム』  作者: さわみずのあん


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3/5

後手必勝

 先手必勝。のはず。なんだ。

 もう一度。もう一度考えてみよう。

 頭の中に、火を灯す。


 21(トゥエンティワン)ゲーム。

 日めくりカレンダーゲームの、この類題は、後手必勝だ。

 先手後手の二人のプレイヤーが。

 互いに数字を「1」から順に数え上げていく。

 ただし数えられる数字は、3つまで。

 「21」を言った方の負けのゲーム。


 21(トゥエンティワン)ゲーム。

 このゲームは、「20」を言って手番を渡した方が勝ちのゲームだ。

 相手は、パスをすることができないから。必ず。

 「21」を宣言しなければいけない。

 「20」を言うには、どうするか。逆算すればいい。

 相手に、「17」 「17、18」 「17、18、19」のどれかを宣言させる。


 「17」なら「18、19、20」。

 「17、18」なら「19、20」。

 「17、18、19」なら「20」。


 どのパターンでも、「20」を言える。

 「17」 「17、18」 「17、18、19」のどれかを言った方が負けのゲーム。

 なら、それを言わせるには? また。逆算だ。今度は簡単。

 「16」を言えば。勝ちだ。

 なら、「16」を言うには?


 今度は、ちょっと。飛躍する。

 「12」を。言えばいい。

 「12」で手番を渡す。

 相手が言えるパターンは、

 「13」「13、14」「13、14、15」の3通り。


 「13」なら「14、15、16」。

 「13、14」なら「15、16」。

 「13、14、15」なら「16」。


 「20」を言うには、「16」を。

 「16」を言うには、「12」を。

 相手が言った数が、1、2、3つのどれでも。

 こちらが、3、2、1つで返せばいい。

 一度の手番で言える数3。+1。

 4つの数字ずつ。

 このゲームをコントロールすることができる。


 「21」を宣言させるのに、「20」を言う。

 「20」を言うには、20 − 4 =「16」を。

 「16」を言うには、16 − 4 =「12」を。

 「12」を言うには、12 − 4 =「8」を。

 「8」を言うには、8 − 4 =「4」を。

 「4」を。


 「4」を言うには。

 相手に、「1」 「1、2」 「1、2、3」のどれかを宣言させる。

 これは、先手の手番で考えられる。全パターン。


 「1」なら「2、3、4」。

 「1、2」なら「3、4」。

 「1、2、3」なら「4」。


 逆算は全て終えた。

 先手がどう宣言しようと。

 後手は「4」を言って、手番を渡し。

 「8」を言って、手番を渡し。

 「12」を言って、手番を渡し。

 「16」を言って、手番を渡し。

 「20」を言って、手番を渡し。

 「21」を宣言させ、先手番を殺す。




 後手必勝の21(トゥエンティワン)ゲーム。

 ならば、応用の、日めくりカレンダーゲームは?

 日めくりカレンダーゲームは、11月22日の日付からスタート。

 クリスマス、12月25日の日付のカレンダーをめくり、切り取った方が勝ち。

 21(トゥエンティワン)ゲームと違うのは。

 敗北条件が、勝利条件になっていること。

 12月25日の日付のカレンダーをめくるには。

 一度にめくれるカレンダーが一週間7枚まで。


 日付なんてどうだっていい。

 シンプルな枚数のゲームだ。

 11月22〜30日の9枚。

 12月1〜25日の25枚。

 合計34枚。


 「34」を言った方の勝ち。


 逆算。逆算。

 この問題では、7つまで言えるから。

 一度の手番で言える数7。+1。

 8つの数字ずつ。

 このゲームをコントロールすることができる。


 「34」を言うには、34 − 8 =「26」で手番を渡す。

 相手は、「27」からしか宣言できず。


 「27」なら「28、29、30、31、32、33、34」。

 「27、28」なら「29、30、31、32、33、34」。

 「27、28、29」なら「30、31、32、33、34」。

 「27、28、29、30」なら「31、32、33、34」。

 「27、28、29、30、31」なら「32、33、34」。

 「27、28、29、30、31、32」なら「33、34」。

 「27、28、29、30、31、32、33」なら「34」。


 34枚目の日めくりカレンダー。

 12月25日。クリスマスを手に入れられる。 


 「34」を言うには、34 − 8 =「26」で手番を渡す。

 「26」を言うには、26 − 8 =「18」で手番を渡す。

 「18」を言うには、18 − 8 =「10」で手番を渡す。

 「10」を言うには、10 − 8 =「2」で。


 そう。「2」で。「2」で。「2」で。「2」で。

 「2」で。手番を渡せば、必勝。

 先手で、2枚めくれば、必勝。

 なのに、こいつ。

 唯我(ゆいが)は、No.1の1枚?


 計算違いはない。考え違いもない。

 俺は、ロレックスサブマリーナをちらりと見る。

 深く深く。思考に潜っていたせいなのか。

 唯我が1枚めくってから、まだ、秒針は一周もしていない。

 

統夜(とうや)くぅん。 早くしてよぉ。僕は。No.1の1枚さ」

 あいつも、かなり飲んでいるはずだが、顔色一つ変えず飄々と。

 11月22日を、左手で、ひらひらとさせていた。


「唯我さん。いや、唯我。俺の。俺の勝ちだ。俺も。いや、」

 日めくりカレンダーの上に、右手を置く。

「俺が、No.1だ。1枚。俺は、1枚めくる」


 俺は、後手必勝の。

 11月23日をめくった。



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