第七話
「遅いな」
「そうだね」
祭りの開始は六時。
ぼくたちは、一時間前の五時に集合して、参加しようと決めていた。
しかし、花形である女性陣の二人は姿を現すことはなかった。
「からかわれたのかな」
「喜多見をそういう奴じゃねえ。からかうにしても、ずっきーひとりで止めとくはずだ」
「・・・どっちにしてもぼくは犠牲になるんだね」
和泉の話はさておき。
祭りと言っても、地元の小さなもの。
一応花火はあがるらしいけど、田舎で行われる祭り。
大した期待はできない。
しかし、娯楽施設の少ないぼくらからすれば、一大行事にでもなりえる。
「ぼくはなにがいいたいんだ」
「どうした、ずっきー?」
「なんでもない」
「そうか。しかし、今年は良かったな。去年は男二人で寂しく周ったもんだ」
しみじみと回想している和泉だったけど、去年は屋台巡りをして、寂しさを感じているようにも見えなかったけど。
言っていることとやっていることが違うお偉いさんもいるわけだし、人間の内心がどうなっているかなんて外からは見えないものなんだろう。
和泉や喜多見だって、ぼくのことをどう思っているか。
気にしたことはないけど、まあ、いいや。
「それにしても遅いね。時間は―――」
時計の針は五時半を指していた。
本当に騙しているのかな。
騙されたならあとで慰謝料を請求しなくては。
アメリカってこういう些細なことも裁判になるのだろうか。
アメリカに住む気はないのでどうでもいいけど。
「ちょっとトイレにいってくるね。待ってて」
「おう。出すもん出して気合を入れてこい」
上機嫌な和泉に悪いけど、言葉には気をつけて欲しい。
こんな人が集まる場所で、大声を出さなくてもいいのに。
「トイレはどこかな」
辺りを散策していると、古びた公衆便所が見つかる。
祭りの賑わいからポツンと離れたそのトイレは少し寂しそうにも見える。
「ぼくはなにを擬人化しているんだろう・・・」
用を済まし、外に出る。
細かい描写はもちろんしない。
すると、そこには、
「ふみゅーぅ。あっ、ねぇねぇ。キミ、この前も会ったよね?ボクちゃんのこと、覚えてるぅ?」
姿かたちを変えずに佇んでいた。
あの―――魔術師がいた。




