↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/14

第六話

「ずっきー」

「やあ、喜多見。どうしたの」



ホームルームを終えた放課後。

知的な創作をするわけもなく、青春の汗をかくことなく、家に帰ろうとしていた。

ぼくの所属している帰宅部は、かなり大勢の人間が所属しているが一斉に揃うことはない。

本日、和泉は用事があるため、先に帰っていた。

つまり、急いで帰り支度をする必要もなく、のんびりと時間を堪能していた。

世間的には、ぼーっとしていたというらしい。



「ずっきー。今度の休み空いてるかな?」

「え」



昨日の出来事がよみがえる。

フラッシュバック。

決して走馬燈ではない。



”あいつ、ずっきーに気があるぞ”



変に意識をしているわけじゃないけれど。

それに休みを聞いているだけで、誘ってきたわけじゃ



「お祭りあるよね。一緒に行かない」

「え」



失語症になってしまった。

話せないぼくの存在意義が薄れることはない。

村人Aがひたすら「アッカーマ村です」と喋ることにだって価値はある。

ぼくは村人に話しかけずに先に進むタイプだけど。



「休日はやることがあるんだ」

「ずっきー。女の子が誘っているんだよ。青春だよ!!」



よく分からない思考回路だった。

青春とは女の子とお祭りに行くことなのか。

確かに女の子は春を売ってると耳にするけど。



「午前中は体調を整えるための睡眠。午後は学生の本分である勉強。戦いは何も生まないということを書物から学ぶんだ」

「・・・つまり、昼過ぎまで寝てて、少年漫画を読んで終えるってこと?」

「言い方を換えればそうだね。活字離れは深刻化しているみたいだし」

「えー!!ずっきー。私なんか午前中は部活なんだよー!朝から早起きして汗水垂らして太陽と格闘しているんだよー!!!!」



エクスクラメーション・マークが多い発言だった。

太陽と戦うとは80年代にはやった戦隊ヒーローみたいだ。

分かる人いるかな。



「戦士に休息は必要だよ。がむしゃらに戦えばいいというわけじゃない」

「先生に言って欲しいよ。顧問が変わってから厳しくなってやんなっちゃうよ」

「お疲れさま。愚痴ならいくらでも付き合うから場所を変えない?ハックのコーヒーならおごるよ」

「ホントに!?・・・って話をずらさないの!!それに私のお店で驕ってもらっても嬉しくないよ!!!」



ポカン、とたたかれた。

この痛みは忘れることにしよう。

明日には覚えていない自信に命を懸けても良い。



「喜多見と二人で行くってことかな。いいよ、デートしよう」

「で、でーと!?違う、違う。私の友だちと一緒にだよ」

「?それなら友だち同士、仲良く楽しんできた方がいいんじゃない。ぼく一人、余計だと思うけど」

「ずっきーも友だちを連れてきて。和泉くんなんていいんじゃない」

「ダブルーデートか。喜多見をやり手だね」

「あーもう。ずっきー!行くの?行かないの?」



問い詰められたぼくは断る理由もなかったので、「行くよ」と返した。

喜多見から誘われるのは嬉しいけど、誘うならもっと早めが良かった。



お祭りは明日に迫っていた。

もちろん、先月に聞かされたとしても、準備をすることなくお祭りに参加すると思うけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。