第四話
目当てのものはあっさりと見つかった。
和泉のかばんの中に入っていた。
ぼくの記憶もたまには当てになるなと思いつつ、和泉の将来が心配だ。
かばんぐらい持って帰ろうよ。
教室の鍵を壊すことなく、ぼくは教室をあとにした。
人が居ない学校は、最小限の明かりしか存在しない。
ぼくらの教室は二階に存在しており、目的地までは些細ながらも恐怖を感じた。
日常が非日常になる瞬間。
学校という場所こそ適しているといえると身に沁みた。
問題なく一階へと辿りつき、あとは家に帰るだけだ。
女子トイレの窓を深夜に跨ぐというのは、いかにも怪しい。
トイレに忍び込んだのだから、いかがわしい行為をしそうものだが、ぼくは至って普通であり、つまらない人間であることを自覚している。
面白い味もなにもなく帰ろうとしたところで、微かに擦れた物音が聞こえた。
「・・・・・・・・・?」
ぼくも心霊現象に遭遇してしまったのだろうか。
学校の七不思議で一番の有名率を誇る「トイレの花子さん」。
花子さんを呼んだ覚えはないけど、幽霊とは身勝手なものかもしれない。
夏に肝試しに、本物の幽霊が出てくることはなく、脅かす正体はいつも人間である。
我ながらつまらない人間になったものだ。
きぃぃぃぃ
水の流れる音と共に、扉が開いた。
ぼくは呆然と立ち尽くしていて、手は触れていない。
つまり、本物と対面する日が来てしまったようだ。
ふむ、落ち着いている場合じゃないな。
ぼくの焦燥感は何処に消えたのだろう、とくだらないことを考えていたら現れた。
それはトイレの場所という場所に相応しくなく、
学校という場所にも相応しくない。
なぜなら、
―――魔術師がいた。




