2人のデート
数日後の休日。私は駅前にいた。
休日の私はベージュのTシャツ、黒のフレアスカート、上着に薄ピンク色のカーディガンを着ていた。
駅前で待っていたところにマコトくんが手を振ってやってきた。
マコト「アヤちゃん、お待たせ!」
マコトくんはジーパン、黒の長袖シャツ、上に紺のパーカーを着ている。
アヤ「大丈夫だよ。それじゃ、行こう!」
私はマコトくんと腕を組んで歩き出す。
ふと周囲を見渡すと私たちをじっと見ている気配を感じる。2人が私たちを見ているようだ。
マコト「アヤちゃん、どうしたの?」
マコトくんが私に尋ねる。
アヤ「ううん。何でもないよ。」
私とマコトくんは映画館に向かう。
映画館の近くの植え込みの影から、アスマとユミが2人の様子を見ていた。
アスマ「……マジかよ。腕組んでやがる……。」
アスマは悔しそうに呟く。休日のアスマは、白のTシャツにデニムジャケット、黒のパンツという服装だ。
ユミ「……仲良さそうね。」
ユミも複雑な表情で2人を見つめる。ユミは白のブラウスに紺のロングスカート、ベージュのカーディガンという上品な服装だ。
アスマ「なあユミ……俺たち、何やってんだろうな。休日にこんなところで……。」
ユミ「……わからないわ。でも、気になって……つい……。」
2人は気配を消しながら、アヤとマコトの後を追う。
アスマ「……アヤ、楽しそうだな。」
ユミ「……ええ。本当に、幸せそう。」
2人の表情には、嫉妬と寂しさ、そして祝福が入り混じっていた。
アスマ「……でも、俺たち、このままでいいのかな。ストーカーみたいじゃん。」
ユミ「……そうね。でも、アヤの幸せな顔、見たいじゃない……。」
映画館。様々な映画が上映されている。
アヤ「あ、これなんてどう?」
私は映画館上部に飾られている「果てしないバイオレット」のポスターを指す。
マコト「あれは止めておいた方がいいよ。台本が無茶苦茶で意味がよく分からないんだ。」
マコトくんの評価は的確でいつも信用できる。
アヤ「じゃあ、あれはどう?」
私は「世界の中心で愛をさけぶ」のポスターを指す。
マコト「世界の中心で愛をさけぶか。最初は退屈だけどヒロインとの交流を見ていくうちにだんだん泣けてくるらしい。」
アヤ「じゃあ、それにしようよ。」
私とマコトくんは「世界の中心で愛をさけぶ」のチケットを購入し、シアターに入る。
アスマとユミは柱の影に隠れて、アヤとマコトの様子を見ていた。
アスマ「……世界の中心で愛をさけぶ、か。あれ、めちゃくちゃ泣けるやつじゃん……。」
アスマは小声で呟く。
ユミ「……ええ。私も見たことあるわ。最後、本当に……」
ユミは言葉を濁す。
アスマ「……アヤ、絶対泣くだろうな。で、九条がそれを慰めて……くそっ。」
アスマは悔しそうに拳を握る。
ユミ「……アスマ。私たち、本当にこのままでいいの?こんなところで2人を見てるだけで……。」
ユミは複雑な表情でアスマを見る。
アスマ「……わかんねーよ。でも、アヤの幸せそうな顔見てると……俺たちがどうこうできる問題じゃねーんだよな。」
アスマは寂しそうに呟く。
ユミ「……そうね。私たちは、ただアヤの幸せを願うことしかできないのよね。」
ユミもまた、諦めたような表情を浮かべる。
2人は映画館のロビーで、アヤとマコトがシアターに入っていくのを見送った。
シアターに入り、私とマコトくんは並んで座る。続々と観客が入ってくる。
やがて照明が落とされ、映画が始まった。
まずは主人公の恋人がテープを聞くシーンだ。それから主人公もテープを聞き、元恋人明子との交流が回想される。
やがて主人公と明子は夢島に向かう。旅行で帰る直前、明子が倒れ、主人公は明子の父親に殴られる。
アヤ「わっ!」
私は思わずマコトくんの腕にしがみつく。
それから明子は白血病で入院してしまう。私もかつて入院していたことを思い出し、思わず泣いてしまう。
主人公は学校の体育館でアキのテープを聞いている。ピアノを弾いていたようだ。
そして空港。明子と主人公はオーストラリアに行こうとするものの、台風により欠航。「助けてください!」と主人公が叫ぶ。
マコトくんが私の手を強く握る。
明子はその後亡くなってしまい、主人公の恋人が最後のテープを聞いていたところだった。
「後片付け、しないとな」と主人公が話し、オーストラリアに行き、明子の灰を空に撒いたところで主題歌の「瞳を閉じて」が流れ、映画は終わった。
シアターを出て、私とマコトくんが映画の感想を話し合う。
マコト「最後、灰をオーストラリアで撒くところ、良かったな。」
マコトくんが頷いている。
アヤ「そうだね。明子ちゃん、ウチみたいな病気にかかってたんだね……。」
私はしみじみと物語の余韻を噛みしめる。
マコト「でもアヤちゃんはこうして生きている。それだけで十分だよ。」
マコトくんが私の頭をなでる。
マコト「ん……?」
マコトくんが辺りを見渡す。
アヤ「どうしたの?」
私はマコトくんに尋ねる。
マコト「いや、誰か見ていた気がしたけど……。気のせいかな。それより昼飯にしよう。」
アヤ「あ、だったら駅前のドトールに行こうよ。」
私とマコトくんは映画館を出て、駅前のドトールに向かった。
映画館の外。アスマとユミは柱の影から2人を見送った後、顔を見合わせた。
アスマ「……アヤ、泣いてたな。映画見て……。」
アスマの声が震える。
ユミ「……ええ。きっと、自分の入院のこと思い出したのね……。」
ユミの目にも涙が浮かぶ。
アスマ「……くそっ。俺たち、あの時何も気づいてやれなくて……。アヤが苦しんでた時、側にいたのは九条で……。」
アスマは悔しそうに拳を握る。
ユミ「……そうね。私たちは、アヤが一番辛い時に、何もしてあげられなかった……。」
ユミも悔しそうに呟く。
アスマ「……でも、九条がアヤを支えてくれたんだよな。アヤが今こうして笑ってられるのは、九条のおかげで……。」
アスマは複雑な表情を浮かべる。
ユミ「……ええ。だから、私たちはアヤの幸せを願うしかないのよ。」
ユミは諦めたように呟く。2人は映画館の外で、アヤとマコトがドトールに向かうのを遠くから見送った。
アスマ「……帰ろうぜ、ユミ。これ以上追いかけても、意味ねーし。」
ユミ「……そうね。帰りましょう。」
2人は寂しそうに、映画館を後にした。
私とマコトくんがドトールに入る。ふと窓の外を見ると知っている顔を見つけた。アスマとユミだった。
アヤ「アスマくんに、ユミちゃん!?」
マコト「えっ!?」
マコトくんは大きな声で驚く。ふとアスマ、ユミと視線が合った。
ドトールの窓越しに、アスマとユミはアヤと目が合ってしまった。2人は一瞬固まる。
アスマ「……あ。」
ユミ「……し、しまった……。」
2人は慌てて顔を背けようとするが、もう遅い。アヤとマコトに完全に見つかってしまった。
アスマ「……ど、どうするユミ……!?」
ユミ「……逃げるわけにもいかないわね……。観念しましょう……。」
2人は諦めたように、ドトールの入り口に向かう。
ドトールの入り口を開け、2人は恐る恐る中に入る。
アスマ「……よ、よう。アヤ、九条……。奇遇だな……。」
アスマは気まずそうに笑う。
ユミ「……こんにちは。偶然ね……。」
ユミも同じように気まずそうに微笑む。2人の表情には、バレてしまった気まずさと、どう言い訳しようかという焦りが浮かんでいた。
私は恐る恐る尋ねる。
アヤ「……えーっと、もしかしてウチたちの事、ずっと見てた?」
マコトくんが気まずそうに話し出す。
マコト「……とりあえず何か注文しましょうか。ここで立っていても迷惑ですし。」
私はアイスティー、チョコレートケーキ、ミラノサンドを注文する。マコトくんはアイスコーヒー、ウィンナーロール、厚切りトーストを注文する。それから私とマコトくんが並んで座り、向かいにアスマとユミが並んで座る。
アスマとユミが気まずそうに席に座る。しばらく沈黙が続いた後、アスマが口を開く。
アスマ「……えっと、その……ごめん。正直に言うと……見てた。」
アスマは申し訳なさそうに頭を下げる。
ユミ「……私たちも、ごめんなさい。アヤたちのデートを……尾行してしまって。」
ユミも同じように頭を下げる。
アスマ「……映画館で、アヤが泣いてるの見て……俺たち、何も気づいてやれなかったこと、改めて後悔してさ……。」
アスマは悔しそうに呟く。
ユミ「……そうね。アヤが一番辛い時、側にいてあげられなかった……。だから、今のアヤがどれだけ幸せか、確かめたくて……。」
ユミは寂しそうに微笑む。
店員が注文の品を運んでくる。アスマとユミはまだ何も注文していない。
アスマ「……俺たちも、何か頼むか。」
ユミ「……そうね。」
2人は気まずそうにメニューを見る。
私はミラノサンドを頬張る。
アヤ「うーん、美味しい!」
マコトくんは厚切りトーストにマーガリンを塗って食べている。
マコト「もしかして、俺がアヤちゃんに何かするんじゃないか、って心配してました?」
マコトくんがアスマとユミに尋ねる。
アスマはホットコーヒーとミックスサンドを注文し、ユミはカフェラテとツナメルトを注文した。
アスマ「……ああ、それもある。でも、それだけじゃねーんだ。」
アスマは複雑な表情でマコトを見る。
ユミ「……私たちは、アヤが本当に幸せなのか、確かめたかったの。九条くんと一緒にいて、本当に笑顔でいられるのか……。」
ユミは真剣な表情でアヤを見つめる。
アスマ「……映画見てる時、アヤが泣いてたの見て……俺たち、何もしてやれなかったこと、改めて思い知らされてさ。」
アスマは悔しそうに拳を握る。
ユミ「……でも、九条くんがアヤの手を握ってたのを見て……ああ、この人ならアヤを幸せにしてくれるって、思えたの。」
ユミは少し寂しそうに微笑む。
アスマ「……九条。お前、アヤを泣かせたら絶対許さねーからな。」
アスマは真剣な表情でマコトを睨む。
ユミ「……そうよ。アヤは、私たちの大切な幼馴染なんだから。」
ユミもまた、真剣な表情でマコトを見つめる。
アヤ「心配してくれてありがとう。でもマコトくんは本当にいい子だよ。それはウチが保証する。」
私はアスマとユミの目を真剣に見る。
マコト「はい。俺がアヤちゃんの事を守ります。ですからどうか俺を信じてください。」
マコトくんもアスマとユミの目を真剣に見る。
マコト「そういえば気になっていたんですけど、お2人は映画ってみました?」
マコトくんがアスマとユミに尋ねる。
マコト「もし俺たちのことをつけていて、映画館に入ったのであれば、『果てしないバイオレット』という映画がおすすめなんですけど、どうでしょう?」
マコトくんはあえて嘘をついている。私は笑っていることがばれないようにアイスティーを飲む。
アスマ「え? 果てしないバイオレット? あれって……」
アスマは一瞬戸惑った表情を見せる。
ユミ「……ふふ、九条くん。意地悪ね。」
ユミはマコトの意図に気づき、くすりと笑う。
アスマ「……あー、そういうことか。お前、俺たちが映画館にいたか確かめてんだろ?」
アスマは苦笑しながら頭を掻く。
ユミ「……正直に言うわ。私たち、映画館には入らなかったの。外からアヤたちを見ていただけ。」
ユミは素直に認める。
アスマ「……でも、アヤが映画見て泣いてるの、窓越しに見えてさ。それで、九条がアヤの手を握ってるのも見えて……。」
アスマは複雑な表情を浮かべる。
ユミ「……九条くん。貴方、本当にアヤを大切にしてるのね。私たち、安心したわ。」
ユミは穏やかに微笑む。
アスマ「……九条。お前のこと、認めるよ。アヤをよろしく頼む。」
アスマは真剣な表情でマコトに頭を下げる。
マコト「はい。よろしくお願いします。」
マコトくんはアスマとユミに頭を下げた。
アヤ「そうだ! せっかくだから4人で一緒に映画見ようよ!」
私が提案をする。
アヤ「アスマくん、ユミちゃん、どうかな?」
私はアスマとユミの顔を見る。
アスマ「え? 4人で映画?」
アスマは驚いた表情でアヤを見る。
ユミ「ア、アヤ……本気で言ってるの?」
ユミも同じように驚いている。
アスマ「……でも、俺たち、お前らのデート邪魔しちゃうんじゃ……。」
アスマは遠慮がちに言う。
ユミ「……そうよ。せっかくの2人の時間なのに……。」
ユミも同じように遠慮する。
アスマ「……でも、アヤがそう言うなら……俺は嬉しいけど。」
アスマは少し照れたように笑う。
ユミ「……私も。アヤと一緒なら……楽しいと思うわ。」
ユミも穏やかに微笑む。
アスマ「九条、お前はいいのか? 俺たちも一緒で。」
アスマはマコトに確認する。
ユミ「……九条くん。貴方の意見も聞かせて。」
ユミもマコトを見つめる。
マコト「ああ。大丈夫だよ。」
マコトくんは頷く。
マコト「それで、何の映画を見る?」
マコトくんが尋ねてきたので、私はマコトくんにそっと耳打ちした。マコトくんは初めは驚いた様子だったが、やがてニヤニヤし始めた。
マコト「ああ、その映画か。面白そうだね。お二人とも、一緒に行きましょうか。」
私とマコトくん、アスマとユミは食器を戻し、映画館に向かった。
映画館。
私とマコトくん、アスマとユミがメタルマンのチケットを購入する。シアターに入り、私とマコトくんが並んで座る。マコトくんの隣にアスマ、ユミと隣り合って座る。
アスマ「メタルマンか……アクション映画だよな?楽しみだな。」
アスマはポップコーンを買ってきて、ユミに渡す。
ユミ「……ありがとう。でも、貴方が食べなさいよ。」
ユミは少し照れたようにアスマからポップコーンを受け取る。
アスマ「いいから。お前と一緒に食おうぜ。」
アスマは気軽に言う。
ユミ「……ふん。まあ、いいわ。」
ユミは少し嬉しそうにポップコーンを一粒つまむ。
やがて照明が落ち、映画が始まる。メタルマンの予告編が流れ、派手なアクションシーンが映し出される。
アスマ「おお! すげー!」
アスマは興奮した様子で画面を見つめる。
ユミ「……確かに、迫力あるわね。」
ユミも真剣に画面を見ている。
映画が進むにつれ、アスマとユミは自然とポップコーンを分け合いながら、映画に集中していた。
メタルマンの映画が始まった。
まずは主人公のカイルが自転車でどこかに向かう。
カイルは建物の前で自転車をとめ、中に入る。建物の中では博士らしき人物がカイルを迎えた。
カイル「博士、遅れてすみません!」
博士「おお来たか。開発が最終段階に進んだんだ。さあこれを身に着けてくれ。」
博士はカイルに次々とパーツを装備させていく。黒い胸のアーマー、紫の足のパーツ、そして紫のマスク。全部装着するとまるで子供向けの特撮に出てくるヒーローのような見た目になった。それから博士はカイルをどこかの部屋に閉じ込めた。
しばらくして博士のもとに黒ずくめの男が二人やって来た。片方はサングラスに山高帽。もう片方は長髪で博士を見下すようににらんでいる。
男1「博士! 例の物をもらいますぜ!」
サングラスの男が博士に銃を向ける。
博士「な、何だね君たちは!?」
男2「ブレイク博士。あんたはおとなしく我々に従っていればいいんだ。メタルマンの実験データをよこしてもらおうか。」
博士と2人の男がもみ合いになる。やがて博士が勝手に吹っ飛び気絶した。二人の男は近くのメモリーチップらしき部品を拾ってポケットにしまい、どこかに去っていった。
博士が起き上がると部屋からカイルを引きずり出す。その後カイルから電流が流れ、博士は亡くなってしまった。
あまりの超展開の連続に私は笑いをこらえている。マコトくんも笑いをこらえているようだ。
アスマは映画の超展開に目を丸くしている。
アスマ「……え? 今のなに? 博士、勝手に吹っ飛んだ?」
アスマは思わず小声で呟く。
ユミ「……ふふ、これは……なかなか凄い映画ね……。」
ユミは必死に笑いをこらえている。肩が小刻みに震えている。
アスマ「……つーか、あの博士、カイルから電流流れて死んだって……え?マジで?」
アスマは信じられないという表情で画面を見つめる。
ユミ「……アヤ、貴方……わざとこの映画選んだでしょう……?」
ユミはアヤの方を見て、くすくすと笑いを堪えながら囁く。
アスマ「……九条も笑い堪えてるじゃん。お前ら、俺たちにこれ見せたかったのか?」
アスマも笑いを堪えながらマコトを見る。
映画は続き、カイルが街を歩いていると、先ほどの黒ずくめの男たちが現れる。そして突然、カイルに襲いかかる。カイルは慌てて逃げ出すが、追いつかれそうになる。
その時、カイルの体から突然電流が流れ、黒ずくめの男たちを吹っ飛ばす。
アスマ「……え? 今度は敵が吹っ飛んだ?」
アスマは完全に困惑している。
ユミ「……ふふふ……これは……ツッコミどころしかないわね……。」
ユミはもう笑いを堪えきれず、小さく笑い出す。
やがて最後、マスクを着けた男女がキス(マスクを着けているから無理だろうが)する場面で映画は終わった。
私たちは映画館を出て、感想を話し合う。
マコト「こんな酷い映画は見たことがないよ……。」
マコトくんは笑いをこらえている。
アヤ「ほ、ホントだね……。二人とも、どうだった……?」
私も笑いをこらえている。アスマとユミに感想を尋ねる。
アスマ「あははは! もう無理! 笑い我慢できねぇ!」
アスマは映画館を出た途端、お腹を抱えて笑い出す。
ユミ「ふふふ……あれは酷かったわね……。博士が勝手に吹っ飛ぶとか……ツッコミどころしかなかったわ……。」
ユミも笑いを堪えきれず、上品に笑っている。
アスマ「つーか最後! マスク着けたままキスとか! 物理的に無理だろ! あれ絶対キスできてねーよ!」
アスマは涙を流しながら笑っている。
ユミ「そうよね……。しかも、あの電流で敵を倒すシーン……何度も同じ演出使いすぎよ……。」
ユミも笑いながらツッコむ。
アスマ「アヤ、九条。お前ら、わざとこの映画選んだだろ?」
アスマは笑いながら2人を見る。
ユミ「……でも、楽しかったわ。久しぶりに、こんなに笑ったかも。」
ユミは穏やかに微笑む。
アスマ「ああ、俺も。アヤ、九条、ありがとな。」
アスマも嬉しそうに笑う。
アヤ「あちゃー、ばれちゃった?」
私は舌を出す。
マコト「あまりに酷い映画だったから絶句すると思っていたけど、た、楽しめたようで何よりです……」
マコトくんは依然として笑いをこらえている。
マコト「それでは俺は失礼します……。」
マコトくんは走ってバス乗り場に向かって行った。笑いながら走っている。
アヤ「それじゃ、二人ともまたね……。」
私もバス乗り場に向かった。笑いが止まらないままであった。
アヤとマコトが去った後、アスマとユミは2人きりになった。
アスマ「……ぷっ、あはははは! もう無理! まだ笑いが止まんねぇ!」
アスマはお腹を抱えて笑い続ける。
ユミ「ふふふ……本当に酷い映画だったわね……。でも、楽しかったわ。」
ユミも笑いながら、穏やかに微笑む。
アスマ「……なあ、ユミ。アヤと九条、本当に仲良いよな。」
アスマは笑いが収まった後、少し寂しそうに呟く。
ユミ「……ええ。本当に、幸せそうね。」
ユミも同じように寂しげな表情を浮かべる。
アスマ「……でも、俺たち、今日アヤと一緒に映画見れて……楽しかったよな。」
ユミ「……そうね。アヤが、私たちを誘ってくれて……嬉しかったわ。」
2人は穏やかに微笑み合う。
アスマ「……ユミ。俺たち、これからどうする?」
ユミ「……どうするって?」
アスマ「……アヤのこと、諦めるって決めたけど……でも、やっぱりアヤと一緒にいたいんだよな。幼馴染として。」
アスマは真剣な表情でユミを見る。
ユミ「……私も、同じよ。アヤとは、これからも仲良くしたいわ。」
ユミも頷く。
アスマ「……じゃあさ、俺たち、これからもアヤを支えようぜ。幼馴染として。」
ユミ「……ええ。それがいいわね。」
2人は笑顔で頷き合った。




