40話 裏ダンジョン再び 下
「っと、どこに目ぇつけんですかコンニャロー!」
ぶつかった相手に罵声を浴びせられてしまった。
ああしまった怒らせちゃったかな、と鬼一は思う。
相手は鬼一よりもやや大きめの体格の人物だった。
魔術師特有の銀の杖に、内側に星座の刺繍が施されたローブを羽織った、灰色の髪の女だ。
「んんんんー?アンタもしかして鉄等級の、鬼一って名前じゃないかしら」
こちらを値踏みするかのような視線。
若干の不満を持ちつつも鬼一は答える。
「そうとも、鬼一顕二だ。よろしく」
「へぇー噂通りの体格ね」
ポンポンと肩の辺りを叩かれる。
不意打に気味にボディタッチをしてくるのを気にしてか、鬼一は少し目を細める。
「それで、きみは?」
「あら見て、わかんないかしら?」
首からぶら下げた等級証を自慢気にひらひらと動かして見せる。
わざとらしく見せびらかすようにして等級証を鬼一にかざす。
緑青の吹いた独特の青、の青銅等級。
「まさか、「冥海の光」の人か?」
ピンと来た鬼一の言葉に嬉しそうな反応をする女。
「御名答!うれしい反応してくれるじゃないの!」
襟をただしこちらにお辞儀をする。
「私「冥海の光」のリーダー、エルネ=グレイヴスターと申します」
「·········」
「·······無いわけ?拍手とかさ」
その言葉を受けて、鬼一の乾いた拍手が辺りに響く。
「ありがとう、ありがとう。では早速、本題に入りましょうか。実は同じく裏ダンジョンに潜る相手を私直々に見ておきたくて、わざわざこっちまで来たわけですよ」
ずずいと鬼一に顔を近づけるエルネ。
「···あー、なるほど」
「パーティ名ハウンド。そのリーダーをやっている鬼一顕二······。まだまだ鉄等級ですが、勇者としても活動しているとお聞きしています。お噂はかねがね、なんでも土のマグヌスマルクトを打倒したとか···」
にやりと笑みを浮かべるエルネに対し、怪訝そうに見つめる鬼一。
「まぁ勇者様で、す、し?出来て当然とは思いますが。まぁ及第点でしょう」
(上から目線に急に何なんだよ)
表情には出さないように、イライラとする鬼一に対し、煽るように続けるエルネ。
「まぁ、魔王軍程度ならあたしら冒険者が間引いておくくらいはできますが、全く魔王軍と戦ったことがないというのは、····とっと話が脱線していました」
仕切り直して、と。
「裏ダンジョンに潜る前に顔合わせをしておきたかったのですが、こちらから探す手間が省けました。こちらは前衛が少ないので、きちんと背後を守っていただけそうか不安になったので見に来ましたが、杞憂でしたね」
「·········」
杞憂か、と言われ半ば微妙な心情になる鬼一。
「まぁ裏ダンジョンではよろしくお願いしますよ」
さよなら、と一声をかけてエルネは去っていく。
「·····勇者様?」
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