表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
占い師リリーの当たりすぎる恋愛予報  作者: わがままな饅頭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/18

第四話:友人の恋、という体で

翌々日、占い小屋の扉が開いた瞬間、リリーの肩がびくりと跳ねた。


「ごめんください」


現れたのは、やはりヴァンスだった。今日は自警団の制服ではなく、私服姿だ。心なしか、いつもより気合の入った身なりに見える。


「だ、団長さん! 今日はどのようなご用件で」


「実は、友人に頼まれてな」


「友人、ですか」


「ああ。俺の同僚なんだが、気になっている相手がいるらしくてな。占ってやってほしいと頼まれた」


あからさまに怪しい前置きに、リリーの中で警戒心が最大限に膨れ上がった。


(絶対、それ本人でしょ……!)


「そ、その、ご友人というのは、どのような方なんですか」


「そうだな。自警団の団長を務めていて、鍛えた体つきで、精悍な顔立きだと専らの評判だ」


「団長さんの説明ですよね、それ!?」


「いや、あくまで友人の話だ」


しれっと言い張るヴァンスに、リリーは頭を抱えたくなった。この人は絶対に、確信犯でやっている。


「そ、それで、その友人さんの、恋のお相手というのは」


「占い小屋を営む、変わった娘らしい」


「……」


もはや誤魔化す余地もない設定に、リリーは乾いた笑いを漏らすしかなかった。


「では、視て差し上げます……友人さんの分として」


半ば投げやりな気持ちで、リリーは水晶玉に触れた。だが、当然ながら、視える光景は先日と何も変わらない。困った顔でこちらを見つめる、水晶玉越しの自分自身。


(同じ光景しか視えないんだけど、これ、どう外し占いすればいいのよ……!)


「ど、どうだ。友人の恋は、実るのか」


「そ、それが……」


苦し紛れに、リリーは新たな作戦に打って出た。


「実は、占いを重ねすぎると、精度が落ちてしまう体質でして。この件については、もう視ることができません」


「この間も、似たようなことを言っていた気がするな」


「そ、それだけ繊細な力なんです!」


食い下がるリリーに、ヴァンスは少し考え込むような素振りを見せた後、不意に、真っ直ぐな目でこちらを見つめた。


「なあ、リリー」


「な、なんでしょう」


「その友人の話は、半分は本当で、半分は嘘だ」


心臓が、大きく跳ねた。


「ど、どういう」


「友人に頼まれた、というのは嘘だ。俺自身のことだ」


あっさりと明かされた真実に、リリーは言葉を失った。


「な、なんで、そんな回りくどいことを」


「お前が、あからさまに誤魔化そうとするからだ。真正面から聞いたら、余計に構えられそうだったのでな」


その分析は、悔しいくらいに的確だった。


「じゃ、じゃあ、なんで今、明かしたんですか」


「これ以上、遠回しにしても、お互い時間の無駄だと思ってな」


ヴァンスは、いつになく真剣な表情で、リリーを見据えた。


「単刀直入に聞く。お前の占い、本当は当たっているんじゃないか」


図星を突かれ、リリーは思わず視線を逸らした。


「そ、それは……」


「答えなくてもいい。ただ、俺は、お前がどう答えようと、もう一度ちゃんと聞かせてほしいことがある」


ヴァンスは、一度深呼吸をしてから、静かに続けた。


「占いじゃなく、リリー自身の言葉で。俺のことを、どう思ってる?」


占い小屋の中に、しんとした沈黙が落ちた。


リリーは、水晶玉に映る自分の顔と、目の前のヴァンスの顔を、交互に見比べた。誤魔化しの言葉は、もう、どこにも見当たらなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ