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衝突

 それは会いたいけど、会いたくないやつだった。


 だって、そいつとは喧嘩をしている最中だったから。


「......亮介」


 黙って見合うのもおかしいと思った俺たちはとりあえず並んで歩き出す。


 でも、それは偶然出会った友達が一緒に行動をするなんてことではなく、たまたま居合わせたあまり仲良くない知り合いと意味もなく行動を共にするといったことに近かった。


「―どうして一人でこんなところで?」

「友達がいないからだよ。それに、能天気にしゃべっていたお前らには俺の姿が見えてなかったみたいだからな」

「そうだったのか......ごめん」

「......ふん」


 やっぱり雰囲気は最悪か。それもそうだよな。あれから、ろくな会話なんてしてないんだから。


「さ、最近どう?」

「最近ってなんだよ」

「ほら......その、いろいろ」

「別に特にねぇよ。その点、お前はいいよな。椎名と天野さんだけかと思ったら、まさかあの鬼教師も狙っているなんて」

「別に俺は! 天野さんと鬼寺先生のことを......!」


 心もないことを言われ、つい反射的に声を荒げたけど、その後の肝心な言葉が出てこない。


「じゃあ、なんだ? 付き合っているのは椎名だけで、ほかの二人はキープってか?」

「...」

「はっ。図星かよ」


 その馬鹿にするような態度に俺もぐっと怒りを感じる。


「なんでそんなことを言うんだよ! 亮介の気持ちを無視したのは悪いと思ってるよ! でも、そんなこと......言わなくたっていいじゃないか」


 亮介が怒っているのももっともだし、俺が悪い。でも、わざわざ意地悪なことを言わなくてもいいだろ。


 そう、そうなんだけど、


 ―それしか言えなかった。


「......なあ、俺たちって仲直りできないのかな?」


 今でも痛切に願うのはそれだけであった。


 前のように休み時間に一緒にだべって、遊んで、くだらないクソみたいな会話を二人で交わしたかった。


 前と同じように―


『優、昨日のテレビ見たか?』

『どれ? なんてやつ?』

『火曜ロードショーだよ』

『あのつまらない映画ランキングから放送するってやつ? 誰が見るんだよ、そんなの』

『いや、見ると意外と面白いんだって。昨日のは主人公がトイレになっちゃったって話で』

『どんな話だよ!』



『亮介、また課題やってないのか?』

『部活終わりだと眠いんだよ』

『仕方ねえな。俺が手伝ってやるから。やるぞ』

『流石優様。サンキュー』



『亮介。テスト、何点だった?』

『二十九点!』

『ぎりぎり赤点じゃん!』

『そういう優は何点なんだよ』

『九十五点』

『お前! それ自慢したかっただけだろ!』

『まあねー』

『ったく。高校に入ってからまじで頭よくなったよな』

『亮介が勉強しなさすぎなのでは?』



『優、今天野さんのこと見ていただろ』

『はぁ? 見てないし』

『まったく、優は隠すのが下手だなぁ』



『優!』

『亮介!』


 ―でも、それは叶いそうにない。


「わかったよ。俺たちは仲直りした」

「え? 亮介―」

「だけど、友達はやめる。お前には、もう俺は必要ないからな」


 前を見るとそこには手を振って俺を呼んでいる天野さんたちがいた。


「優君! どこにいってたの? 気づかないうちに姿を消しちゃうなんて。やっぱり優君はおもしろいね」

「心配したんだから!」

「青井! お前は」 


 ......みんな。


「って、上谷! 一人で行動するなっていっただろ! なんでここにいる!」

「へいへい。邪魔者を消えますよ」

「おい! 上谷!」


 そのまま、鬼寺先生の制止をきかないで亮介は前に消えていってしまった。


 亮介。やっぱり、その背中は寂しそうだよ。


 友達をやめるのなら、もう一度亮介と友達に戻れることもできるのかな。


「......亮介」



そういえばなんですけど、この違いに気づいている人はいますか?


三尹「優くん」

天野さん「優君」


このちょっとした呼び方の違いで差をつけていたんですが・・・・・


個人的には「優くん」の方が好きです。。。。


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