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魔力不足で冒険者になり損ねたおっさん、生け贄召還魔法に覚醒して無双する

このシリーズは設定厨が思い付いた設定を元に第一話分だけでっちあげてみた、というシリーズです。

設定だけなので続きとか考えていません。

もし、続きが読みたいという奇特な人が居たら、適当にパクって自分で書いてみてください。コメントに作品URL張っていただければ読みに行きます。

「魔力不足ですね。冒険者カードの発行は出来ません」

「そうですか、今日が最後のチャンスだったのに……」

 冒険者資格の新規取得年齢制限は29才。俺は明日で30才になる。もう、これで俺は冒険者にはなれないことが確定してしまった。

 薄々覚悟はしていたが、やはりショックだった。冒険者になるぞと意気込んで故郷の村を飛び出して15年、人形工房で下働きをしながら魔法使いの勉強を続けていたが、全てが無駄になってしまった。

「ですから、もっと早くに見切りをつけた方が良いと……」

 冒険者ギルド受付嬢の声は冷たい。ギルドにたむろしている冒険者たちの視線も同様だ。

「今日は乾杯だな。しけた面のおっさんをもう見なくて済む記念によ」

 ギルドを出る背中越しに下品な笑い声が聞こえてきた。


 ギルドを出てまず向かったのは召還術の師匠の家だった。俺の様子を見て結果を悟ったのだろう。師匠は黙って俺を応接間に迎え入れて、少し上等のお茶を入れてくれた。

「すみません、ダメでした」

「そうか、冒険者ギルドも頭が固いのぅ。召還術なら多少魔力がなくとも並みの冒険者以上の働きが出来るというのに……」

 師匠はこのあたりでは名の通った元冒険者で、30年ほど前に冒険で一山当てて引退してからは貧乏魔導師志望者のための私塾を開いている。授業料は二束三文なのだが「学びたければ自ら学べ」というポリシーで、授業は聞かれたら軽くアドバイスをするだけで、訓練所のような内容を期待しているとただ世間話に付き合わされるだけに終始する。

 なので、冒険者資格があるなら実戦で鍛えた方がましというのが冒険者たちの間での評判なのだが、訓練目標をきちんと定めて下準備をして話を聞けばちゃんと有用なアドバイスをくれる。

 魔術師適正しかないのに魔力不足に悩んで居た俺に召還術を勧めてくれたのも師匠だ。召還術士は一度召還した魔物を上手く扱えば魔力を消費せず長く戦い続けることが出来るからだ。

「それで、これからどうするんじゃ」

「はい、故郷の街に戻って人形細工師の仕事をしようと思っています。この街だと、素材を取りに行くにも冒険者資格がないと森に入れてもらえないので……」

「そうか、なら餞別にこれを持っていくが良い」

 そう言って一冊の本と魔導師用の杖を俺に差し出した。本のタイトルは召喚魔法における代償と魔力の法則、となっている。

「先日の王都魔導師学会で発表された論文を書物にまとめたものじゃ。おぬしの鍛錬をヒントにわしの研究も載っておる」

「それはおめでとうございます。しかし、冒険者を諦めた俺にこんな立派な杖はもったいない」

「技術だけならおぬしは一人前の召還術士じゃ。副業でかまわぬから、召還術の研究は続けて欲しい」

 遠慮する俺に、素材採集の時に魔物と遭遇したら使うこともあるはず、と強く説得され、師匠の好意に甘えることにした。


 師匠への報告を終えた俺は、次に住み込みで働いていた人形工房へと足を向けた。

 冒険者になってもなれなくても下宿は引き払うことが決まっていたため、まとめて置いた荷物を取りに行くためだ。

「ただいま戻りました、親方」

「おう、戻ったか。結果は……そうか、残念だったな」

 表情を見てダメだったことを悟った親方が複雑な表情を見せる。冒険者になれなかったら、田舎に帰って人形細工師をするという話は元々伝えてあった。当面の間は素材を自分で採集して人形素体を作り、この工房に卸すことになっている。

「長い間お世話になりました。いや、人形師の仕事でまだお世話になり続けるわけだからこう言うのも変ですが」

「おう、なら、こいつを持っていけ」

 親方は鉄製の吊り看板を持たせてくれた。意匠は工房のものと同じだが、俺の名前が彫ってある。事実上ののれん分けだ。

「いいんですか、俺みたいな下働きにこんな」

「下働きなんてとんでもない、おめぇの腕は俺が保証する。冒険者資格のことがなければとっくの昔に独立させてるよ」

 これがあれば、冒険者にもなれなかった落ちこぼれではなく、一人前の職人として故郷に帰ることが出来る。15年を棒に振った俺にとって涙が出るほどうれしい贈り物だった。

「それと、裏の荷車を一台持っていけ。おめぇなら馬のかわりにあれに引かせられるだろ」

「何から何まで……本当にありがとうございます」

「なに、まだまだこれから長い付き合いになるんだ。人形素体を運ぶのにも必要だろうしな」

 まとめて置いた荷物に親しい人たちからの選別、それと最初の仕事の依頼として加工用素材も受け取ったため、荷車はすぐに荷物でいっぱいになった。荷馬をつながないととても動かせない重さだ。


「ファイレクシアの名において命ずる。宙を漂う粗霊たちよ、集いて我が絡繰りに宿れ『多足の絡繰り人形』」

 荷車を引かせるため、俺が使える数少ない召喚獣『多足の絡繰り人形』を呼び出す。全長1mほどの蜘蛛とムカデのあいのこのような木製絡繰りを2体召還し、馬の代わりに荷車に固定する。

 通常の召喚獣は魔力を使って器を作り魂を呼び寄せて体を作るのだが『多足の絡繰り人形』は完成した絡繰り仕掛けの人形に周囲にただろう雑霊を集めることでかりそめの命を与えて使役する。絡繰り素体を自前で用意する必要がある代わりに、まったくといって良いほど魔力を消費しない。魔力不足を補うために師匠と力を合わせて開発したオリジナルの召喚魔法だ。

 素体になる絡繰りをしっかり作っておけば、ゴブリンや狼程度の雑魚モンスターなら足止めすることが出来る耐久力を誇るが、粗霊を集めただけなので動きが鈍重で攻撃が出来ない。

 戦闘はできなくても、荷馬の代わりに荷車を引かせることは出来る。駆け足が出来ないのでスピードは出ないが、それでも歩いて運ぶの比べると雲泥の差だ。街から離れた故郷の村に工房を構える決断が出来たのも、こいつの存在が大きい。

「いやぁ、相変わらずすげぇなぁ、こいつは」

「いやいや、人形師の技術と召還術士の技術があれば誰にだって出来ますよ」

 ちなみに、そんなやつは世界広しと言えどお前さん一人だけだだろうよ、と親方と師匠の両方に言われたことがある。


 昼前に街を出て街道沿いを進むこと半日、街からだいぶ離れて山道に入ったところで、運悪く野盗に囲まれてしまった。

「おっさんよう、命が惜しけりゃ身ぐるみ置いてきな」

「ここに積んであるのはただの加工前の素材だ。売り払っても金にもならないし腹の足しにもならないぞ」

「へっ、金目のものを運んでるやつぁみんなそう言うんだ。馬のかわりになるマジックアイテム使ってる商人が金持ってねぇわけがない。おい野郎共、やっちまえ」

 頭の悪い野盗は問答無用で襲いかかってきた。

「マジックアイテムじゃない、召喚獣だよ!」

 俺は手持ちの『多足の絡繰り人形』と『羽ばたく飛行絡繰り』を次々に召還して野盗たちの壁とする。

「こんな動きの鈍い人形で何が出来る。図体がでかいだけのガラクタだ、ゆっくり始末してやる」

 機械人形たちの動きがあまりにも鈍すぎてはったりにもならなかった。時間稼ぎにはなるが、それだけだ。

「狂乱の死人よ、無機なる魂を代償に我が召還に応じよ!『スケルトン・バーサーカー』」

 俺が呪文を唱えると、1体の『多足の絡繰り人形』がはじけ飛んで、斧を持ったスケルトンが召還される。師匠から選別にもらった本に書かれていた召喚魔法の応用テクニック、生け贄による魔力代替を使った強化型のスケルトンだ。

「くっ、ひょろいガイコツの癖してでっかい斧を軽々と……。いや、ガイコツ一体に何が出来る、てめら、雑魚はさっさと片付けろ、数で押し込むぞ」

 俺はさらに最後の魔力を振り絞って追い打ちで強化魔法を唱える。

「スケルトンバーサーカーに暗黒の権能を与えん『嗜虐者の権能』」

 この強化魔法も師匠にもらった本に書かれていたものだ。比較的少ない魔力で唱えることが出来るが、その代わりに効果が現れるまでかなり時間がかかる。近くに居る敵味方の誰かが倒さると、そのたびにその力を吸い取ってパワーとタフネスを強化するという魔法だからだ。

 こんな使い勝手の悪いバフを使う好き好んで使う魔術師はいないが、今の俺にはぴったりだ。壁にしている『多足の絡繰り人形』と『羽ばたく飛行絡繰り』が一つ破壊される度に、スケルトンバーサーカーは力を増していく。

 スケルトンバーサーカーが強化されれば、野盗も一人、また一人と倒れ、そのたびにまたスケルトンバーサーカーが強くなっていく。一度勢いが付いてしまえば、あとはひたすら殺戮が繰り返されるのみだった。

 8体いた絡繰りは全て破壊されてしまったが、6人の野盗たちもまた首領を除いて全滅していた。


 『嗜虐者の権能』で強化されまくったスケルトンバーサーカーのパワーは凄まじかった。逃げ出そうとして木の陰に隠れた野盗の首領を木ごと横薙ぎに一閃する。樹齢100年はあろうかという巨木と、野盗の首領がただの一撃でまとめて真っ二つになる。ミノタウロスにだってこんな芸当は不可能だ。


 ちなみに、村に帰って知ったのだが、俺を襲った野盗は村から街の冒険者ギルドに討伐依頼が出ていて、駆け出しの冒険者パーティーをいくつも返り討ちにしていたそうだ。

 村長に野盗を退治したことを伝えると、とても喜んでいた。なけなしの金を全てつぎ込んで街の冒険者ギルドに討伐依頼を出していたが、冒険者でもない俺が退治してしまったので、依頼を取り下げて預けていた報酬も回収することできるからだ。

 村長が依頼を取り下げに行ったとき、冒険者たちが手を焼いた野盗をたった一人で返り討ちにしたと話すとずいぶん驚かれたらしい。冒険者ギルドのメンツ丸つぶれである。

 頼もしい魔法使いが村の住人になったので、もう冒険者ギルドには依頼を出さないだろうと話をすると、そんな凄腕ならぜひ冒険者ギルドに紹介してくれと言われたそうだ。

 俺の境遇を知っていた村長はギルドの受付嬢にこう答えたそうだ。「今更そんなこと言っても、もう遅い」と。


昔、M:TGで遊んでいた頃に使っていたクリーチャー召還の平均マナコストが1未満という超黒ウィニーデッキのコンボをギミックにしてざまぁ系の話にまとめてみました。

Phyrexian WalkerとかOrnithopterを生け贄にしてKjeldoran Deadを1ターン目に召還し、Sadistic GleeやUnholy Strengthで強化しながら殴るというコンボが決まるとなかなか強力でした。







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