えいえい。怒った?
昼食を作ってるから、それまでビーチで遊んでてもいいよ。なんて言われても、正直あいつらとは絡みたくない。誘われたから断ることもできないんだけど。
「上一枚羽織った方がいいか」
なんか俺だけ上半身裸ってのは居心地が悪いから、Tシャツ一枚だけ羽織っておこう。それに体も全然仕上がってなくて、見せれるようなものじゃないしな。
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「おまたせ〜ダイちゃん」
あまりバレないようにと言いつつも、ある程度は家族だから怪しまれない。ということで、堂々と姉様を迎えに行く。姉様も水着の上にパーカーを羽織っている。白とピンクの横縞がいちごみるくの配色っぽくて、可愛い仕上がりになっている。
「どう?似合ってる?」
閉じていたパーカーの前のチャックを開けて水着を見せてくる。柄はない真っ赤なホルターネックビキニ。急にバストサイズが大きくなってはいないけど、逆にそれがいい。サイズに合うのがなかなかないから、上から覗き込んだら見えるんじゃないか…
「とてもお似合いですよ…」
「見たいの?」
俺の目線が完全に胸に言ってることを確認して、姉様は悪戯に煽ってくる。
「そういうのがダメなんですよ」
陽依姫様や中嬢、先輩がいるから自制心は大丈夫だ。今のところは。
「まあ、いっか。それより海行こうよ」
俺の手を引っ張って行くんだが、俺を待たせてここで足踏みをさせたのは誰なんだろう。好き勝手にする姉様も天真爛漫で素敵だが。
「ダイスケ様〜!こちらですわ」
陽依姫様はもう海に入ってるのか。真っ白なホルターネックビキニ。そんで中嬢は…泳げないもんな、砂浜で三角座り。上も下もひらひらがついたパンツタイプビキニかな?あとでっかい麦わら帽子。そこから少し離れた場所に、先輩。パラソルの下で優雅に本を読む。少しカジュアルな格好にはなってるけど、海に行くような格好ではないし…ここにくる意味あったの…?
「齋藤さん、似合ってるね」
やっぱりホルターネックのタイプはバストが強調されるから、こいつには似合ってる。べ、別にデカけりゃいいってもんでもないしな…はは…
「去年のがちっちゃくなって、全て新調しましたのよ」
ん?何恥ずかしげもなく、また胸が大きくなっちゃったなんて言ってるの?
「そう…なんだ」
返す言葉に困るよ。姉様もいるし。
「どうしましたの?気分でも悪いんですの?」
飛行機に乗ったからとかじゃないんだ。さっきの発言にまだ戸惑っているだけだ。
「そんなことないよ…っ」
否定した刹那に水をかけられた。つめたい。
「あははは狐につままれたような顔でしたわ」
やられたし、やり返していいんだよな。今くらいは自分の考えのままに遊ぶか。
「やりましたわね〜こうっ…ですわ!」
なんか周りからの視線がものすごく痛い。姉様だけじゃないな…いいだろ!少しくらい遊んだって。
「私も…混ぜてっ…」
聞こえた時には俺に水がかかってるんですけど。なんで俺だけ袋叩きにされるの?中嬢、教えてくれよ。陽依姫がライバルじゃなかったのかよ…
「あらあら。みんな元気なこと」
後ろを振り返ると、ものすごい気迫の姉様。助けることなく海から上がって行くって…酷いぞ!今まで一緒にいたことは…全て幻だったのか…
「ダイスケ様っ!背中を向けたら、命取りですわっ!」
いや、怖えよ。殺すなよ。
「切り捨て御免…っ!」
中嬢、その台詞を言って切り捨てられなければ、切腹なんだぞ?堅実に行くならばその台詞は言わないべきだろ。
「ギブ…」
もう無理だ。陽依姫様が水をかけてくるたびに揺れる双をずっと見ていると耐えきれない。
「ちょっと休憩してくる…」
多分姉様を見るとだいぶ和らぐんだろうが、さっき俺を見捨てたんだから、こっちからも陰湿な反撃だ。先輩のところに行ってやろう。
「先輩」
本を読んでいた先輩の隣に座る。姉様からの目線なんて気にしない。
「ダイスケくん…」
周りに聞こえないからなのか、四条くんから戻っている。読んでいた本に栞をしてこっちを向いてくる。
「くらえ」
目を合わせていい雰囲気かと思ったら、どこから出てきたのかわからない水鉄砲。目が…目がぁ…これ塩水だよなぁ…しみるもん。
「鳩が豆鉄砲を食ったようだね…」
水鉄砲と豆鉄砲をかけたのか、自分の思った通りに事が進んだのか…得意げに言われても困る…
「何うまいこと言ってんですか」
「許して…にゃん…」
え?どうしたんだ急に…一部特定の人間に媚びるのはいいんだが、俺はその一部じゃないぞ。
「大成功…」
ああ、この声か。いっつも聞いてる、大好きだった声だ…犯人は…姉様か…
俺は力尽きた。
唐突というか話のつながりがないと思ってる方が多いと思うんで、明日はそれがわかるようにしたいと思います。




