俺、この戦いが終わったら結婚するんだ…
やっぱり小学生は最高ですね。これは夢叶ちゃん出すしかないですね。え?どんな子か忘れたですって?私も忘れてます。
そういえばどこに行くか聞いてなかった。姉様からもかからなかったし、陽依姫様も言わなかったしな。意外とみんな抜けてるんだな。
「姉様…気合い入れてくださいね」
車の中でそう言って、炎天下、陽依姫様の屋敷に突入する。
「ダイちゃんも…ヘマしないで」
日傘をさしながら、隣に歩く姉様が言ってくれたぐらいに、陽依姫様が見えて来た。でっかくて黒いおじさんに日傘をさしてもらってるからよく見えるな。
「ダイスケ様!それにさゆり様まで、来てくださって嬉しいですわ!」
犬みたいに駆け寄ってくるけど、今は暑さでそれどころじゃない。
「改めて、今日は誘ってくれてありがとうね」
「陽依さん。お誘いいただき感謝しますわ」
「そう言っていただけると、ますます嬉しいですわ。ささ、外はお暑いですし、中でゆっくりしてくださいな」
陽依姫様に言われるがまま、俺たちは屋敷に足を踏み入れる。案内された場所には、もう先輩がいた。中嬢まだか。
「先輩。お久しぶりですね」
「四条くん。久しぶり。さゆり様もごきげんよう」
なぜか他の人の前では関係を隠そうとする。どうでもいいんだけど。
「ごきげんよう。華蓮さん」
そんだけの短い会話の中だってのに、なんで呼んだんだろう。何か些細なことでも不手際があれば角が立つっていうのに。まさか俺狙いか?俺と仲良くして姉様にアピール。力がある中嬢と先輩に牽制。そんなところか?で、それを中嬢も使おうとしてるってわけか。なるほどな。先輩を呼ぶ必要はなかったみたいだけど。
「あら、皆さま来てたんですか」
中嬢の登場。そっから少しだけ屋敷の中でくつろいだが、準備ができたとのことでプライベートジェットに乗せられた。
「ダイちゃん、どこ行くの?」
姉様が小声で聞いてくる。
「すみません。わかってないんです」
隣にいる姉様に聞こえるように囁く。
「それでは菊島に出発いたします」
機内アナウンスが入る。菊島か…菊が綺麗に咲き誇るらしいが、今7月の終わりだぞ?近場だから楽でいいが。
「では姉様、着いたら起こしてください」
そんなに何時間もかからないだろうが、誰にも話しかけられたくないから、寝たふりをする。アイマスクを装着して、おやすみ。
ー
「ダイちゃん、着いたよ」
ちょうど着陸に起こすなんて、さすが姉様だ。
「最悪…いえ、最高の目覚めです」
冬の季節に咲き誇る菊なんかよりも幾倍も美しい姉様が隣にいるからな。着陸の衝撃なんてどうでもいい。
「あんまりそんなことも言ってられないよ?」
ああ、そっか。家の感覚で話していたが、ここは家なんかじゃない。俺は監視されているという意識をちゃんと持たないといけないな。
「これは失礼」
俺はどんなにシスコンと言われたって耐えなく自信があるが、姉様が心配でならない。そうなると必然的に隠し通さなくてはいけない。
「さあ、着きましたわよ」
陽依姫様が先陣を切って出ていったから、俺たちも続いた。
「お待ちしておりました」
陽依姫様のところの使いなのかは知らないけど、雰囲気がイカしてる白髪のおじさんと、背が低いお姉さんが出迎えてくれた。
「荷物はこちらに」
台車みたいなのに荷物を乗せる。けど、自分のものは自分でしたい。
「あ、運ばせてください」
「いえ、大丈夫です」
やんわりと断られて諦めたら、カッコがつかない。
「やらせてくださいよ。若い男が助けてもらうなんて、僕の男としての面目が立たないので」
「そうですか。ではお任せします」
お前のためじゃどかないから、俺のため。簡単だな。…そっから1キロくらい歩いたかな。やっと別邸が見えて来た。それより、車もないくらいの田舎ってのはわかる。でも、お嬢様方のために何か用意してやんないのかな。中嬢なんてバテバテ。ライバルだから何もしないってか?
「中嬢さん。水あるよ?」
一応のために持って来といて正解。あ、手はつけてないから安心して。って、弱った人間なら手をつけてても飲むか。
「いただきます」
俺の手から水を奪い取った中嬢は、ゆっくりちまちまと水を飲む。小動物に餌をやってるみたいで、いつまでも見てられるな。
「このご恩は忘れません」
「いいっていいって。その元気な声が聞けただけで満足」
いつもと違って姉様が近くにいるから、心が寛大になってる気がする。ってあれ?姉様怒り気味…?
ここまでお読みいただきありがとうございました。




