SSSS(ショートショートショートショート)
ホワイトデーだし
五月もそろそろ終わって紫陽花が綺麗に咲くんだなと、しみじみと感じる。そんな五月最後の日曜日の暗くなって来る頃。
「姉様。行きましょうか」
おめかしした俺は、また新しいドレスに身を包んだ姉様をエスコートする。待ちに待った覚えなんてないし、きてほしくないとはおもわなかったがきてほしいともおもわなかったくらいどうでもいいお祭りへと出発だ。
「ええ」
深い赤の唇は、見ているだけで吸い込まれそうだ。普段は可愛い感じなんだけど、妖艶な大人の女性って感じがする。胸は相変わらず小学生みたいだけど。
「ダイちゃん」
いつもよりも低い声が響く。
「ごめんなさい。つい、綺麗なので」
「今日はそれで許してあげるけど、次はないから」
本人曰く女の勘らしいのだが、そこまでに鋭いのか。俺が思っていることをことごとく当てる姉様なんだが、最近は少し機嫌が悪い。それでも姉様を一人にするなんて考えは存在しないんだけど。
姉様からの説明を聞いてなかったからか、送迎車で連れてこられた場所はわからない。学校に行くまでと同じくらいの時間だったから10kmくらいのところだろうか。自然を感じられるんだけど、明らかに人工物が多すぎてとてもじゃないが蛍を味わえない。金持ちたちは適当に理由をつけてどんちゃん騒ぎがしたいだけってのは痛いほどわかってるんだけど。
「神楽坂先輩。お久しぶりです」
とはいうけれど、金曜日にあったばったかり。
しかし、神楽坂先輩もよく似合ってるな。
「ダイスケ君、さゆり様もごきげんよう」
「ごきげんよう」
さっきまでの不機嫌な姉様はなく、愛想よく猫を被った姉様が隣にいる。
「ドレス、お似合いですね」
辺りは暗いはずなのに、とっても大きな照明のおかげでよく見えるや。川を流れる清水みたいな、春風が気持ちよかった時の青い空みたいな淡い水色のドレスは先輩の雰囲気にぴったりだ。
「ありがと」
嬉しそうにお礼を言った後、くるりと回ってみせた。
「ちょっとダイちゃん。仲良さげじゃないの」
先輩には聞こえないように、小声で囁いてくる。
「学校でお世話になってるんです。姉様も懇意にされてる先輩の一人や二人はいるでしょう?」
「むぅ…」
俺の周りの女性全てに嫉妬しようとする姉様をなだめるのも一苦労だ。
「では僕たちも挨拶をしてこないといけないので。失礼しますね」
長い間いても姉様の起源また悪くするだけなので、ひとまずは退散。
「嫌になっちゃう…」
「姉様、猫が被らないほど弱ったんですか?僕を頼ってくれなかったんですか?」
ふと、姉様がこぼした弱気な言葉に俺は迫っていく。姉弟だからいいものの、迫り寄る俺の姿はまあまあに恐怖だぞ。今更思ったんだけど。
「違うもん。今日は調子が出ない日なんだから」
調子が出ない日。あんまり深く考えると姉様に失礼だけど、わかるよ。大好きな姉様のことだし。
「だったら、いっぱい僕を頼ってくださいね。全てを僕に任せて、姉様への借りを返させてください」
「…任せるから。今日だけは」
仕った。
いつもはだいたい2000字なんですけど、ごめんなさい。今回は1400字ぐらいで全く足りてません。色々訳が…という言い訳をする時間も惜しいほどなので。




