ダイスケは我慢を習得した!
「…四条様もアニメとか見られるんですね。意外です」
「そうかな?まぁあんまり詳しくないんだけどね」
あんまりというか、あのアホが見せてきたやつ以外には見た記憶がないからな。
「その…四条様って面白い方なんですね」
「面白いかな?もともとの僕に対してのイメージがおかしかったと思うんだけどね…」
苦笑いを浮かべる。そりゃな。
「それはもう…本当に…」
すみません、ごめんなさいは禁句だから言わせない。やっぱ金持ち校の生徒はすごいな、自分が言うのもアレだけど、覚えがいいんだよな。特に外部生だし。
「でも今こうやって楽しく会話できて嬉しいよ」
自然と炭谷との間も縮まっているし、こんなもんでお終いにするか。
「私も…嬉しいです」
「よし。じゃあ炭谷さんを笑顔にすることもできたし、帰ろうかな。送っていこうか?」
どうせ一緒に帰るかなんかはないんだが、誘わないのも心が狭く感じる。ノリって感じでふんわりと言ってみる。
「まだしないといけないことがあって…でも、気持ちは嬉しいです!」
「そっか。頑張ってね」
「はい。では失礼します」
腰を折って、俺の前から立ち去っていく背中を見つめて俺も帰路につく。送迎車なんだけど。
「待たせたみたいですね。申し訳ないです」
なんの用事でかは知らないけど、今日は皆川さんがいないらしい。俺この人と話せないんだよな。
「問題ありません」
「そうですか。よろしくお願いしますね」
機械的な答えにでも、俺は頑張って命を吹き込もうとするんだけど…まだ無理っぽい。小中高だから、10年目かな。大人ってすごいな。
家に帰って来ると、姉様が小走りに駆け寄って来る。
「ねえねえダイちゃん。大和の卒業生とかいろんな人が来る蛍の鑑賞会があるんだけど、来る?」
「姉様が開かれるのならば、俺に決定権はないはずなんですけど。行かないって言ってもいいんですか?」
意地悪に言ってあげると、思い通りの答えが返って来る。
「ダメに決まってるでしょ。いじわる」
頬を膨らませて、かわいい。炭谷の泣き出しそうな顔も良かったけど、やっぱり俺の心は姉様一筋だな。
「あれ〜?他の女の匂いがするなぁ〜?私以外の女のこと考えてるでしょ」
「そんなことないですよ。姉様は自分に自信がないのですか?僕の好きな人なんですから、もっと自信をー
「誤魔化そうとしない。さっきまで誰といたの?正直に答えて」
「嘘だ。ある程度の我慢もできる。自分の顔色に感情を反映させないことぐらい容易なんだから、わかるはずなんてない。カマをかけてるんだから、しらばっくれるしかないーって、思ってるでしょ?そんな嘘つきな弟は嫌いだよ」
一字一句違わない。無理だ。超能力者には勝てないな。
「炭谷 きのみという方といました。これは真実です」
地位や名声とか俺が持ってるものなんか全部いらないから、姉様だけが入ればそれでいい。そんな俺が、姉様に嫌われるなんて死に値するんじゃないか。生きる意味を失った、魂の抜けた人形みたいにはなりたくない。
「かわいいの?私よりもおっぱいが大きいの?私よりも好きなの?」
「姉様の方が可愛いです。綺麗で気品があります。胸はあちらの方が上ですが、僕は姉様が地球上で一番好きです」
一つ一つの姉様からの問いにきちんと答える。
「よろしい。あがってもいいよ」
気にならなかったけど俺、今まで玄関に居たんだな。だから姉様を見上げてたのか。納得。
「姉様」
自室に戻ろうとする姉様を呼び止める。
「ん?どうしたの?」
さっきの嘘一つ許されないような緊迫した空気を放っていた人間はそこにいなく、ふんわりおっとりしたいつもの姉様だ。
「姉様は僕が好きになるくらい可愛いのに、男に何もされてないんですか?」
何をしなくても女がわんさかやって来る、ハイスペック超人の俺が。間違いなく事実だから、恥ずかしいけどな。
「中学、高校、大学の今もいろんな人から告白とかうけるよ。でも、姉の純情は弟が貰うもの。待っててあげてるんだから、早くきてね。じゃないと、他の人にとられにちゃうよ?」
そうやって、また俺を誘う。いつか俺が弱り切った時にこうやって誘われたら、欲望のまま姉様を好き勝手気にしているんだろう。姉様もそれを拒まないとは、四面楚歌もいいところだ。
閲覧ゼロの誰にも見向きもされてない作品ですけど、見捨てないです。初めて私が世界に産み落とした作品です。頑張ります。




