火野エリスという人間の本質
アクション部門で昨日ランキング8位になっておりました!
皆様のおかげです!ありがとうございます!
「ソウルコマンド、虎撃!」
誰も動けなかった中で最も早くに動いたのは最上級生の新木だった。
「あんな化物の近くにいられっかよ!
俺はさっさと退散さしてとらうぜぇ!
が、全身武装
が出来ない奴は無事にこの場から離脱出来るといいなぁ!
ヒャヒャヒャヒャヒャ!」
新木は、サイクリードのいる逆方向に全身武装のブーストを使い空に浮いて逃げていく。
「クソ野郎が…!」
俺は聞こえていないであろう新木の方に毒付く。
「ギィ…」
ゾッと背中から威圧を感じる。
振り向くと、サイクリードの視線が新木を捉えていた。
「ガァァァァァァァァァァァァ!」
するとサイクリードに生えていた鋭い尻尾が伸びて新木を追って迫って来る。
「なっ!?」
そして尻尾が新木の右の脇腹を貫く。
そのまま左方向に尻尾が振られ新木の身体を校舎に吹っ飛ばされた。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
校舎の壁を破壊し、新木は倒れこんだ。
「ひっ!」
それを近くで見ていた女生徒は座り込み、恐怖で涙を流していた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その光景を目の当たりにした全員が悲鳴を上げながらパニック状態に陥り、一目散に逃げ出そうとする。
「ギィィィィィィィィィィ…」
それを許さないとばかりにサイクリードは唸り声を上げる。
翼を広げ臨戦態勢に入る。
(まずい!)
そう思ったときには時既に遅く、サイクリードは近くにいる獲物をめがけ
右腕を振り落とそうとしていた。
その攻撃の所定範囲内に座りこんで泣いていた女生徒がいた。
助けにいこうにも間に合わな――。
「ソウルコマンド、火華花!」
ふいに聞こえたその声は火野エリスだった。
素早く全身武装を装着し、ブーストで即座に女生徒を抱えてサイクリードから距離をとる。
「ギィィィ!」
降り下ろされた右腕は地面に突き刺さり、広場に大きな穴を開けた。
「あ、あの。あ、ありがとうございます!」
女生徒はいきなりの事で驚くも、状況を理解し助けてくれた見知らぬ人に感謝を伝える。
「お礼はいいから早くこの場から離れなさい。私があいつを引きつけて時間を稼ぐから」
「そ、そんな!危険すぎます!」
たまらず女生徒は反論する。
「そう思うなら出来るだけ早く教師を呼んできてちょうだい。
私は大丈夫だから」
そういうと火野はサイクリードへと視線を移す。
「私の目の前でこれ以上誰も傷つけさせないわ」
助けられた女生徒は「急いで助けを呼んできます!」と告げて、広場から無事に逃げることに成功した。
「……ねえ」
火野が尋ねてくる。
「なんだ?」
俺が聞き返す。
「なぜあなたもここに残ってるのよ」
少し声に怒気がはらんでいる。
「なぜって…あの化物を足止めするため?」
疑問系で応える。
「…本気で言ってるの?」
「ああ」
それを聞いた火野は驚き呆れて一言告げる。
「足出まとい」
うっ、確かにその通りだ。
俺がこの場で出来ることなんてたかが知れているだろう。
それでも
「お前だけ残して逃げるわけにはいかねーだろ」
心体テストのときは火野が何を考えているのか分からなかった。
しかし、今さっきの見ず知らずの女生徒を躊躇いもなく助けたのを見て俺は心を打たれる。
他の奴はは自分の事で必死だ。
だがそれも当然。
人を助けている余裕さえない状況だ。
そして火野は広場に残り、サイクリードの相手をしようとしている。
味方も一人もいなく、教師が間に合うかどうかさえ不明なのに。
だから俺は足出まといでも、火野の手助けがしたいと思ったのだ。
火野は俺の言葉を聞いて一瞬顔を赤めるも、すぐに無表情となる。
「…はあ…死にそうになっても助けないわよ?」
「ああ、覚悟はできている」
一瞬も迷いなくそう応える。
「…ほんとに変わってるわね」
「よく言われる」
「…ふふっ」
初めて見る火野の笑顔にドキッとさせられる。
「…少し離れてなさい」
「…分かった」
そして火野の纏う空気が変わる。
「ウェポンコマンド…燃月」
前に一度見た長刀が顔を出す。
「ギィィィィ…」
サイクリードが広場から離れようとする。
恐らく人の多いところに移動するつもりだ。
火野はブーストで軽く宙に浮いて加速し、サイクリードに向かう。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、サイクリードの脇腹を長刀で斬りつける。
「ギィィィィ…」
対したダメージを与えたわけではないが、サイクリードの注目は火野に集められる。
「あなたの相手は私よ」
火野は大胆不敵に宣言する。
エリスちゃん頑張ってください!




